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神戸市役所がAIで大変身!? 具体的なAI活用事例
はじめに
私たちの生活にもどんどんAIが入り込んできていますが、実は行政の現場でもAIの活用が進んでいることをご存知ですか?
先日YouTubeで公開された 「Generative AI Study Group 29th session 神戸市様お取り組み 行政におけるAI活用の実際について」 という動画では、神戸市企画調整局デジタル戦略部の担当者の方々が、具体的なAI活用事例を紹介していました。
6時間を超える超ロングの動画であり、かつ、その内容が興味深かったので、以下の方法を使ってまとめてみました。
職員全員がCopilotを活用! 神戸市のAI導入への本気度
神戸市はAI技術を効果的に活用するための「効果的なAI条例」を制定し、市民生活の向上と行政の効率化を目指した様々な取り組みを進めています。
特に注目すべきは、全職員約12,000人がMicrosoft社のCopilotを利用できる環境を整備している点。AI活用を試験的な段階から本格的な導入へと進めている、神戸市の本気度が伺えます。
では、具体的にどのような業務にAIが活用されているのでしょうか?
動画で紹介されていた事例をいくつかピックアップしてご紹介します。
1. アンケート作成をAIがサポート! 回答率アップに貢献
従来、アンケート作成は職員が時間をかけて行う作業でした。しかし、AIを活用することで、より効率的に、しかも効果的なアンケートを作成できるようになったのです。
例えば、市役所周辺の駐車場利用状況調査 のアンケート作成業務をAIがサポート。
担当職員は、AIに対し「端的に」「誰にでもわかる言葉で」という条件をプロンプトとして入力しました。
するとAIは、これらの条件を満たした上で、利用者の心理を巧みに捉えた設問と選択肢を自動生成。
「駐車場を利用する際に重視する点は何か?」 という設問に対して、料金の安さやアクセスの良さといった選択肢を、利用者の関心の高さに合わせた順番で提示するなど、回答率を高める工夫が凝らされていました。
結果として、従来よりも 高い回答率 を達成できたそうです。
AIは、市民の行動心理を分析し、より答えやすいアンケート作りをサポートしてくれる、まさに頼れる存在と言えるでしょう。
アンケート項目を評価するChatGPTのアプリ(GPTs)の作り方は、以下の拙著で解説しています。
駐車場の車の車種や台数を数えるのであれば、このようなGPTsを開発すれば、スマホで写真を撮るだけでデータ収集ができます。
2. 多様なペルソナをAIが瞬時に生成! 政策立案を加速
政策を検討する上で重要なのが、市民一人ひとりのニーズを具体的にイメージした「ペルソナ」の存在です。しかし、多様なペルソナを作成するには、多くの時間と労力が必要でした。
そこで神戸市は、AIによるペルソナ作成の自動化を実現。担当職員が「10個のペルソナを作成して」と指示すると、AIは年齢、性別、職業、ライフスタイルなど、様々な属性のペルソナを瞬時に生成しました。
例えば、新型コロナウイルスワクチン接種の促進施策では、AIが生成したペルソナを参考に、以下のような分析を行いました。
「ワクチン接種に積極的なペルソナ」 は、どのような情報源を信頼し、どのようなインセンティブがあれば接種を受けやすいか?
「ワクチン接種に消極的なペルソナ」 は、どのような不安や懸念を抱えており、どのようにすればその不安を解消できるのか?
このように、AIが生成した多様なペルソナを元に、市民一人ひとりの生活スタイルや価値観に最適化された情報発信 を行うことで、より効果的な政策を実現することが可能になりました。
ペルソナを一瞬で作れるGPTsの説明記事(ペルソナを作るGPTsへのリンクを含む)
3. AIが考課調書作成を支援! 業務効率化&標準化を実現
人事考課調書の作成は、これまでベテラン職員の経験と知識が必要とされる、属人的な業務でした。しかし、神戸市が開発したAI考課調書作成支援アプリケーションによって、誰でも簡単に質の高い考課調書を作成できるようになったのです。
このアプリケーションは、職員が GUI上で必要な項目を順番に入力していくだけ というシンプルな設計。
入力された情報に基づいて、AIが 考課調書にふさわしい言い回しや表現を用いながら、自動で文章を作成 します。
例えば、「住民とのつながり」という項目では、「地域住民との積極的なコミュニケーションを図り、良好な関係を築いている」といった、人事考課でよく用いられる表現をAIが自動で生成してくれます。
その結果、若手職員でも質の高い考課調書を作成できるようになり、業務の効率化だけでなく、 考課調書の質の標準化 にも繋がっています。
まとめ:行政サービスの未来を拓くAIの可能性
神戸市におけるAI活用事例は、行政サービスをより効率的かつ効果的に進化させるAIの可能性を示しています。
もちろん、AI活用には課題も存在しますが、神戸市はこれらの課題を克服し、市民にとってより良い行政サービスの提供を目指しているとのこと。
AI技術は日々進化しており、行政サービスにおけるAI活用も今後ますます活発化していくでしょう。
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