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人間は言語モデル



「人間は小規模言語モデルかもしれない」

ふと思ったんです。人間って、もしかして「小規模言語モデル」なんじゃないかって。世界中のデータを集めて学習して作る「大規模言語モデル」とは区別した意味です。
いや、バカにしてるわけじゃありませんよ?むしろ、この仮説には意味があるんです。だって、私たち人間も毎日、言葉をインプットして、それを自分なりに加工してアウトプットしてるでしょう?これってまさにAIの言語モデルと同じじゃありませんか。

言語モデルとしての人間、始まりは子供時代

まず、人間のインプットとアウトプットの仕組みを考えてみましょう。例えば、生まれたばかりの赤ちゃんは「小規模言語モデル」の初期状態です。最初は、まるで学習が始まっていないAIのように、何も知りません。生まれた直後の赤ちゃんに「愛って何?」なんて質問しても、反応はたぶん「アーウー」だけでしょう。それが人間にとっての「エラー」みたいなものです。

ところが、親や周囲の人たちが話しかけてくれることで、徐々に言語のインプットが始まります。「ママ」「パパ」「ワンワン」…といった言葉が、小さな脳内に蓄積されていくわけです。赤ちゃんは、インプットを繰り返しながら、次第にアウトプットも学んでいきます。最初は「ママ」くらいしか言えなかったのが、ある日突然、「ママ、あれ取って!」と立派なアウトプットを始めるわけです。

これはまさに、小規模な言語モデルの学習プロセスそのもの!「愛って何?」と再び質問すれば、「あーうー」から「知らないけど、ママが大好き!」と、少しだけバージョンアップした応答が返ってくる。これぞ、家庭環境というデータセットによる学習効果ですね。

データ量が少なければ、小規模なアウトプットしか出せない

そして、大人になってもこの小規模モデル的な特性は変わりません。考えてみてください。私たちはみんな、自分が経験したことしかアウトプットできないんです。たとえば、富士山を見たことがない人に「富士山ってどんな山?」と聞いたら、「ああ、あれでしょ?なんかデカい山で、日本人が好きなやつ」くらいの答えしか返ってきません。

一方で、実際に富士山に登ったことがある人は、「頂上から見える景色はまるで天国みたいで、朝日が地平線を染めるときは本当に感動するんだ!」と、より豊かなアウトプットを返してくれます。これは、大規模データ(=経験)によって学習した結果です。でも、どれだけ学んでも人間は小規模モデルのまま。なぜかというと、私たちはAIみたいにインターネットから無限のデータを吸収できないからです。いくら「富士山とは…」という情報を頭に詰め込んでも、実際に登ってみないとわからないことが多すぎるんです。

モデルは違えど、エラー率はお互い様

AIも人間も、時々「なんでそんな答えになっちゃうの?」というエラーを出します。たとえば、AIに「猫と犬の違いは?」と聞くと、正確な説明を返してくれることもあれば、「犬はよくニャーニャー鳴きます」と変なことを言うかもしれません。これ、実は人間も同じですよね。

ある日、友人と一緒に食事をしていたら、「お寿司に醤油つけると美味しいんだよね」と彼が得意げに言いました。いやいや、君、それ日本の常識だから!でも、彼のデータセット(=経験)が限られているから、彼にとってはそれが「発見」なんです。つまり、彼は「お寿司と醤油」についての知識が浅かったからこそ、突飛なことを言ってしまったのです。こういう小さな「エラー」も、人間が小規模モデルである証拠と言えるでしょう。

結局、人間は小規模モデルだ

AIが大規模言語モデルだとしたら、私たち人間は小規模モデルです。AIは膨大なデータを一瞬でインプットして、華麗なアウトプットを返してくれますが、人間のアウトプットには、独特の温かみやユーモア、そしてたまに飛び出すエラーが含まれています。富士山の話がしたいのに、いつの間にか近所の山の話になっているとか、愛の話がなぜか次回のランチの話題に変わってしまうとか。これは、小規模モデルにしかない味わいです。

確かに、私たち人間は、全世界の知識を一度にインプットすることはできません。でも、その分、ユニークで予測不能な応答を返すことができるんです。だから、次回「あなたは小規模言語モデルですね」と言われても、ちょっと誇らしく思ってください。大規模であることだけが優れているわけじゃないんです。少ないデータでも愛を語り、醤油とお寿司の素晴らしさを力説できる、それが人間という小規模モデルの魅力です。

なお、人工知能の世界でも、今後、活性化するのは特定の役割に特化した小規模言語モデルであると言われています。
攻殻機動隊の草薙少佐のように、電脳の膨大なデータの世界と常時接続している必要は必ずしもありません。

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