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プロ失格

プロの嬢とは、どういう女性を言うのだろうか。


友人の元キャバ嬢は、それはもう凄かった。お客さんのニーズを瞬時に見抜く。「ああ、この人はこういう女が好みなのね」と切り替える。ある種の芸と言ってもいい。七変化。八面相。一桁じゃ到底足らないだろう、恋愛営業も友情営業もそして乞食営業も全て使い分けた。彼女は人気嬢だった。No.1だったこともある。

それを「なんだ、嘘じゃないか」と足蹴にするのは待って欲しい。夢を見る場所なのだ。それを分かって来ている、けれど夢を現実としたい葛藤を抱えて。全てが現実ではないが、全てが夢でもない。彼女達だって全てに嘘は吐けない。メイクで盛れる限界があるように。嫌になったら時たま息をするように当欠するように。

その面も変化も、オリジナルありき。そして時間を割いているのは事実なのだ。ビジネスライクだったとしても、お土産を選ぶ時間。帰した後に、どんな話をしたどんな好みだったとメモを取る時間。営業だったとしてもメールやLINEを打つ時間。それらは圧倒的に現実だ。人生を割いている。


「だからさ、一瞬風俗やったけど、アレは無理。だってコール入ってから10分とかで準備じゃん? その間にキャラ変して、客の好みを全部思い出して把握して、会話の入りや流れを考えてって無理だもん」

その言葉を聞いた私は、プロだなぁと改めて感心した。例えそれが金の為だとしても、そこまで出来る人はきっと一握りだ。



私は、真逆のスタイルを貫いている。いや、貫かざるを得ない。そう使い分けられる程頭が良くはない。脳味噌が一つしかないのだ、彼女と違って。

誰にでも見せる面は同じだ、一つしかないから。する話も同じだ、オリジナルそのままだから。生い立ちも過去もプロフィールも本当の事だ(年齢のみ身バレの都合上やや違うが許されたい)。仕事スタイルも一貫して受け身。嘘はない代わりにファンタジーも夢も無い。演技が存在しないその時間は、果たして夢見る為に来た客の為になるのか分からない。分からないが、嘘を吐けないのだ、何故なら自分に吐けないから。

だから、信頼はして貰っていい。けれど、限りなく現実の延長である事は理解して頂きたい。恋愛営業もしない。彼女達を抱えているので精一杯だ、これ以上対象を増やしたら間違いなくパンクする。ちなみに女同士云々も全て此処やブログに綴っていることは本当で赤裸々だ。何故ならそれが私にとっての「裸になる」ということなのだから。嘘を吐いた時、私はこの業界を去らないといけなくなると思う。

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吉原嬢 ささら
出勤前に飲むコーヒー。ごちそうさまです。