会話中によく聞き返される状況をなくしたいなら、たった一つだけ意識する
どうも。ボイトレをさせないボイストレーナーのヨシ・トクガワです。
50代男性(Aさん)とのレッスンでのエピソードです。
「声が小さく、商談中によく聞き返されるんです」
Aさんは、ご自身の声がこもりがちで小さいことをずっと気にしていました。
もしAさんが社会人向けのボイストレーニングに通ったとしたら、発声練習をやらされたことでしょう。そんなことをさせられてしまうと、Aさんにとってとても辛く悲しい結果が待ち受けています。
これまでのことをヒアリングすると、幸いAさんはこれまでにボイトレに参加されたことがなかったとのことでした。
腹式呼吸やお腹から声を出すという類いのカラダの構造に反した誤った情報をお持ちでなかったのでよかったです。
誤った情報をお持ちでないのでそれを訂正する必要もなかったので、早速、Aさんが気にしていることを解決するためのお手伝いをしていきます。
今回は商談中というシチュエーションを取り上げてレッスンを進めていきました。
1.いつも通りに話してもらう
まずはAさんが普段はどんな風に話しているか見せていただきました。
いつも商談のはじめの方で話していること、アポイントのお礼や商談の趣旨などをお話ししていただきました。
いつも通り話していただいる姿を拝見して、カラダの軸をもっと有効に使うことができそうだと感じたのでまずはカラダの使い方からのアプローチを採用することにしました。
2.新しい使い方の提案
声はカラダの使い方とココロの使い方の結果です。
カラダの使い方、もしくはココロの使い方を変えるだけで声は変わるものです。
Aさんが話している姿を見て、もっとラクに声を出すことができそうだという確信があったので、カラダの使い方について新しい使い方をAさんに体験してもらい、どんな変化があるかに気づいてもらうことにしました。
まずは軸についての理解が大切なので、私たち人間のカラダの軸であるアタマと脊椎、そして肋骨について骨格標本を使って詳しく説明した後、カラダに触れさせていただいて丁寧にガイド。
できる限り軸を有効に使うため、普段は考えることのない「カラダをどう使うか?」ということを時間をかけて体験してもらいます。
するとAさんのカラダは少しずつ変わりはじめます。
静止していたようにほとんど動いていなかったカラダの少しずつ本来の動きを取り戻しはじめ、Aさんの呼吸に合わせてわずかに動き始めました。
実は呼吸に合わせてカラダの色んなところで動きが起きています。正確に表現するならば、カラダの色んなところで動きが起きるから呼吸ができるのですが、どうも息を吐く・息を吸うことに夢中になっている人が多いですよね(^_^;)
Aさんに「何か変わったことはありますか?」と聞くと、「さきほどよりも息が深くなった気がします」と教えてくれました。
Aさんのカラダの使い方が変わったことで、ご自分にどんな変化が起きたかに気がついたようです。
3.新しい体験
新しい使い方ができれば、新しい体験を手に入れることができます。
いつもとちがうプロセスをたどることになるのでいつもと違う結果を手に入れることができるワケです。
ちなみに、冒頭で少しボイストレーニングについて触れましたが、ボイストレーニングではいつも同じプロセスを繰り返し練習することになるので、いつまでも同じ結果ばかり繰り返しをしているんですよね。そりゃ「二年通っても成果を感じられないんです」という人がいるのも納得です。
さて、話を戻しまして・・・
Aさんがご自分のカラダに起きた変化に気づいた後、もう一度商談をしているときのようにお話してもらいました。
内容は先ほどとほぼ同じ。
話し終えたAさんにどんな体験をしたかを聞くと、こう答えてくれました。
「先ほどより引っかかることなく声が出た気がします」
Aさんご自身が気づいたことと同じことを私も感じていました。
4.新しい体験が教えてくれること
ここまでのレッスンは次の流れで進んできました。
いつも通りに話す
↓
新しい使い方を体験する
↓
新しい使い方を実践する
↓
新しい体験を得る
これだけでも満足できる体験や結果を手に入れることができるのですが、実はこれだけでは終わるのはもったいない。
実は新しい体験で得たことを元に、さらに新しい使い方を実践し、また別の新しい体験を得ることができるのです。
ビジネスにおけるPDCAサイクルに近いかもしれません。
まずは新しい使い方を計画し、実践する。実践することで得られる体験・情報をもとにさらにもう一歩進んだ使い方を計画し、また実践。そこで得た体験や情報をもとにまた計画を・・・というような流れです。この流れに乗り続ければ、変化と向上が確実に生まれるんですよね。
だから、私のレッスンではボイストレーニングのような反復練習を採用せず、具体的な状況を取り上げるレッスンスタイルを採用しているんです。
次なる新しい体験をしてもらうために、発声時の呼吸について詳しい知識をお渡ししました。
新しい知識を実践してみたAさんはこんな体験をしました。
「声が大きくなった気がするのはもちろんですが、先ほどよりも落ち着いて話すことができました」
5.レッスンを通じて伝えたかったこと
今回のレッスンでAさんに提案したことは主にこの2つです。
・軸の使い方
・発声時の呼吸
「おやおや?この記事のタイトルは【会話中によく聞き返される状況をなくしたいなら、たった一つだけ意識する】とあるけど、ポイントが2つあるぞ?」と思っていませんか?
提案したことは2つですが、実はどちらも同じことを狙って提案をしています。
私がこの提案を通じてAさんに体験して欲しかったことは、カラダ本来の動きを取り戻すことです。
私たちは学校生活や日常生活を通じて、常に動きを抑制されてきました。
「じっとしていなさい」「姿勢良くいなさい」「気をつけ」など、さまざまなことを注意されてきました。
実はこれらのことが私たちの発声を邪魔することに繋がってしまっているのです。
本来、呼吸時や発声時に起きるべき動きが起きなくしてしまったのです。しかもその使い方を長年続けているので習慣として身についてしまっているのです。
その習慣を使わずに、新しい方法を使うために先ほどの提案をしたのです。
私たちのカラダは動くことで初めて声を出すことができます。
だから動きというのは本当に大切なんですね。
あなたが、会話中によく聞き返される状況をなくしたいと考えているなら、話し始めるときにたった一つだけ意識してみてください。
「声はカラダが動くことで生まれる」
さて、この提案を実践してみて、あなたはどんな新しい体験が得られるでしょうか?
もし良ければ私に教えてくださいね。
そこから更に新しい体験を得て、変化や向上のきっかけをつかみましょう!
お読みいただきありがとうございました。
ボイトレをさせないボイストレーナー/アレクサンダー・テクニーク指導者
ヨシ・トクガワ
https://koenotorisetsu.com/