ファーストリテイリング
先日、BSテレビ東京の報道番組に柳井さんが出演していました。(その一部は今週の日経ビジネスにも掲載されています)
同社は今年、「小郡商事」から社名変更して30年になり、この間に売上高を約400倍にしています。
この躍進の理由を問われ柳井さんは以下のようなことを言っています。
・多くの日本企業はバックミラー経営を行っている。
・車のバックミラーに映るのは走行した「後」の道だ。
・世界の競争環境は目まぐるしく変わっているのに、日本人は先輩の「跡」を追いかけて、復習ばかりしている。
・昨日までやっていたことを繰り返すだけでは、成長はできない。
・日本市場はそれなりに大きく、バブル期の成功体験が強いので、多くの企業はそこに安住してしまった。
柳井さんが企業経営においてたくさんの失敗をしてきたことは広く知られています。野菜通販、スポクロ、初期の頃の海外進出などなど多くの失敗をしています。
しかし、「失敗しなければ成功もない」ということを柳井さんが大事にしてきたからこそ今があると言えると思います。
・失敗や批判を恐れていては何もできない。
・意思決定の遅れは機会損失を招く。
・将来性がなければ深追いせずに撤退すれば良い。
柳井さんの著書に「一勝九敗」がありますが、日本では「0勝0敗」の文化があり、何かに挑戦して失敗するよりも何もせず「0勝0敗」のほうが賢い生き方であるという風潮があり、それが日本経済の停滞の元凶であるとも言えると思います。
「失敗をして批判を浴びるならすべて「前例」を踏襲する又は「前例」だけを参考にして何かを行う」この思考回路は日本人に染みついていると感じます。
コロナ対応について、経済小説家で、ロンドン在住30年の元三和銀行マン(現三菱UFJ)黒木亮氏が、ワクチン接種が進む英国と比べて進まない日本を見て「日本はいったいどうしたのでしょうか?外から見ると、中途半端な外出制限と時短営業をズルズルと続け、何となく経済を回しながら過ごすうちに自然に収束するという「ラッキー」を当てにしているとしか見えません」
と言っていますが、まさに日本のコロナ対応は、バブル崩壊後の日本の多くの企業経営者が取ってきた経営手法と同じであるということであり、「未知の領域」に遭遇すると、進むことを止めてしまう、すなわち「失敗」はしないという道を選んでしまう、これではグローバルで戦えないと言うことだと思います。
よくよく考えれば日本で最大の大企業病会社は「政府機関(官僚)」であるとも言えますから当然かも知れません。
そうした日本企業の体質から脱却すること、捨て去ることで「グローバルで戦える企業」になれると考え、さらには企業の持続的成長を望むからこそ、創業オーナー経営者として、死に物狂いで企業の存続と成長のために考え抜き、実行してきてるのだと思います。