ローソン、一部で正月休業 年中無休見直し
ローソンは年末年始の店舗休業に踏み切る。2021年にかけて約90店が元日などに営業をとめる。コンビニエンスストアによる特定期間の休業実施は初めて。人手不足で従業員の確保が難しくなるなか新型コロナウイルスで客数も減っており、「24時間営業・年中無休」の原則を見直す。多店舗出店と長時間営業で成長してきたコンビニは転機を迎えている。
ローソンはコンビニ大手3社で初めて加盟店の正月休業を認める。約1万5千あるフランチャイズチェーン(FC)加盟店に対し本部が休業を認める。期間は主に20年12月30日から21年1月3日で、複数日にわたって休むことも可能とする。これまでは顧客利便を損ねるとしてオフィス内の店舗など一部例外を除き休業を禁じてきたがこれをやめる。
年末年始は売り上げが年間の中でも低い。従業員の確保も難しく、オーナー自らがシフトに入ることも少なくなかった。ローソンは19年に経済産業省の検討会で加盟店の労働環境の悪化を指摘されたことなども踏まえ対応を検討。営業時間に加え、休業のあり方も見直すことにした。
年末年始の休業制度は21年以降も継続する。夏のお盆シーズンなど他の時期については今後検討する。日本経済新聞の取材に応じた竹増貞信社長は「足元では状況が改善していても人手不足は長期的な課題。オーナーの事情に合わせて判断してもらう」と話す。
競合他社は年末年始の店舗営業を続ける構えだ。ファミリーマートは休業は認めず、本部社員が店舗運営を無償で代行する制度を活用して営業を継続する。この年末年始は派遣時間を午後9時まで拡大し、約300店程度が利用予定という。オーナーの休暇取得は後押しする。セブン―イレブン・ジャパンは通常営業する。
コンビニは19年度に店舗数が初めて減少に転じるなどビジネスモデルの転換期にある。公正取引委員会は本部が24時間営業などを強制すれば独占禁止法違反にあたる可能性があると指摘している。店舗過剰や人口減にさらされる中での持続成長は業界全体の課題だ。
新型コロナの感染拡大で夜間の外出が減っている影響もあり、営業時間を短縮する店舗も増えている。時短営業に切り替えたのはセブンが約800店、ファミマ約800店、ローソン約360店になった。
(出典:日本経済新聞電子版)