【無料note】アフターコロナ AI時代の到来
【AIの進化と到来】
イギリスの著名な経済ジャーナリストで、ベストセラー「ポストキャピタリズム―資本主義以降の世界」の著者として知られるポール・メイソンは、今後の情報技術のさらなる発展によって、物やサービスの生産費用が劇的に低下し、さらには無料で潤沢に供給される社会になると語っています。
確かに、エネルギーが無償になり、食料をはじめとする物やサービスの生産のノウハウが無償で手に入り、ロボットの利用によって生産も流通も限界まで低価格化されれば、雇用されて義務として労働し、賃金を得てサービスを買う、働けば働くほどより多くを獲得し消費できるようになるという資本主義社会のモデルは崩れます。
兆候はいくらでも見いだすことができます。
例えば音楽の世界では、もうずいぶん前から、ひとつの音源さえデータとしてつくってしまえば、ハードとしての金属製のディスクを生産し、流通・販売する必要はなくなっています。
購入はインターネット上で一瞬で終わります。
書籍も購入の必要はありません。
欲しい情報はインターネットで簡単に入手できます。
すでにアメリカでは、ものとしての書物を購入して読む人より、手元の電子デバイスにダウンロードして読む人の数が多くなっているといわれます。
あるいは今、辞書や百科事典を購入し、自宅に備える人がいるでしょうか?
インターネットにつながった検索サイトに知りたい言葉を入力し、ボタンを一つ押せば、どんなことでもたちどころに参考資料の一覧が示されます。
また、誰でも、訪ねたこともない遠い国や都市の図書館や博物館のアーカイブの中に入り、そこから自由に、ほとんどの場合無料で、専門的な資料を手に入れることができます。
今世界には18億近いウェブサイトがあるといわれ、今も刻々と増え続け、しかも基本的に閲覧は無料です。
地球上のあらゆる場所の衛生画像も、瞬時に入手できます。
これも無料。
かつて過ごしたことのある懐かしい街や、いつか訪ねたいと思っている場所に、今すぐ行くことができ、歩き回ることができる。
こんなことができると、20年前に誰が想像したでしょうか。
食料生産もすでにロボット工場で安価に安定的に取り組まれ始めており、さらに広範囲に行われていくでしょう。
葉物類やトマトなどの野菜だけではありません。
大豆やキノコなどの植物性タンパク質を主な原料とした植物由来の人工肉が生産され、すでにアメリカ国内を中心に流通しています。
大手のファーストフードチェーンが本格的な販売に乗り出しており、消費者の評価も高く、市場は大きく拡大していくとみられています。
特に、ミレニアル世代、その後に続くジェネレーションZと呼ばれる世代は、環境保全やアニマルウェルフェア(生き物としての家畜にストレスのない生育環境を与えるべきだとする考え方)に対する共感を持っており、世代を問わない健康志向にも後押しされ、世界で人工肉の市場は大きく拡大していく勢いです。
そもそも2050年には97億人になると推計される地球上の人口を養うために、現在の家畜由来の食肉供給は到底間に合わないでしょう。
人工肉が食肉市場のメインになれば、この工場生産は完全に自動化され、今の家畜の飼育による食肉生産とは比較にならない低コスト・高効率で安定します。
価格は一気に下がる。
これもまた無料に近いものになるでしょう。
(続きは本書で↓)