Webデザイナーが知っておきたい色彩理論 その① ~色のルーツを知る~
デザインにおける「色の使い方」を勉強するうえで、世の中にはすでに沢山の種類の本が出ています。
しかし、その大体の内容は、見本となるポスターやイラストを使用してひたすらにこういう配色、こういう配色、というのを紹介していく内容のものが多いです。
それはそれでいいのですが、個人的にはどうにもピンと来ませんでした。見本をただ流し見ているだけの感じがして、身になっている気がしなかったのです。
もっと、その奥にある、配色を美しく見せるための原理や理論を知りたいと思ったのが、色について勉強しはじめたきっかけでした。
そもそも色とはなんなのかというところから始まり、先人たちがどうやって色を体系化していったか、理論を積み上げていったか…その歴史を辿ることが、いろんな配色のパターンを知るよりも、理解が深まり応用も利くかと思ったのです。
今回のシリーズについて
そういった経緯から、昔筆者が色について学習した内容をシリーズに分けて書き綴っていこうと思います。大まかに分けて下記の三部構成でお送りしたいと思います。
・色のルーツを知る
・配色の基本
・配色力とカラーセンス
記事はもっと細分化されると思いますが、不定期で少しづつ更新していけたらと思っております。
ではさっそくいってみましょう。
色のルーツを知る
まず、「色」とはなんなのか、説明出来ますでしょうか?
そもそも色とはなにか?という根本的なその実態から入っていこう思うのですが、先に答えを言います。
ズバリ「色」とは…
「光に乗った可視の電磁波である」
と、言われても大半は↑のような顔になってしまうと思うので、もう少し深掘りしていきます。
色の話かと思ったのになぜ電磁波が出てくるのか?と混乱されるかもしれませんが、順を追って説明していきます。
電磁波のスペクトル
我々が生きている世界には、周波数が高いものから低いものまで、様々な種類の電磁波が存在します。
周波数が大きいものであれば、宇宙線、X線、紫外線。小さなものであれば携帯で通信するための電波や電子レンジ、テレビ、ラジオ。周波数が低くなれば最終的には電力に集約されていきます。
出典:http://blog.sizen-kankyo.com/blog/2013/08/1380.html
そしてその周波数のなかで3000GHz〜300GHz上に存在しており、唯一視認できる「光」。
その「光」を構成しているのが「色」になります。
ニュートンの発見
時を遡ること西暦1676年、アイザック・ニュートンが太陽光をプリズムで分光すると、光は一直線に虹色状になって現れることを発見しました。
これにより、光は大きく分けて7種類の色相で構成されており、色とはそもそも光の中の種類であるという概念が生まれたのです。
※ちなみに虹を初めて「7色」と定めたのもニュートンだと言われています。
ここでふと自分の周りの景色を見渡してほしいのですが、世界には様々な物質の「色」が溢れていると思います。
そして意識してみてほしいのは、「物質自体に色は無い」ということです。
例えば、ここにレモンがあります。
「レモンは黄色い」というのは周知の事実です。
しかし、先程も言ったように、レモンという物質自体に色はありません。
レモンが黄色く見えるのは、レモンの表面の分子が光に含まれている他の色を全部吸収し、黄色だけを表面に反射するからなのです。
つまり「色」とは、光・物体・視覚の3つの要素から成り立っているものであり、光があってはじめて眼を通して認識できるもの、ということになります。
カラーサークル
ニュートンが発見した色の帯は、帯の両端の赤と紫をつなげることで、色相がループする「カラーサークル」という輪の形にすることができます。
一般的な色彩学では、基本的にこのカラーサークルを用いながら色の仕組みを説明していくことになります。
今回はまず色というものの実態の理解と、色を扱ううえでのカラーサークルというものを紹介させていただきました。
次回は色を扱いやすくするための概念であるマンセル・カラー・システムを解説していきます。
今回のまとめ
・色とは光に乗った可視の電磁波である。
・光・物体・視覚の3つの要素から成り立っている
・色相の帯の両端をつなげてループさせたものが「カラーサークル」
その②につづく