地域に根付く揺るがない大義と居場所を感じ続けられる仕事がしたい。
JOINSの代表の猪尾です。
JOINSは、地域企業と大都市の大手企業・IT企業で働く30-50代の副業・兼業プロ人材をマッチングするサービスを2019年2月から約5年弱運営してきた会社です。
この間に地域企業は2,000社超、人材は1万人超の皆様にご利用いただき、1,200件超のマッチングをサポートして参りましたが、今回、JOINSが目指すものに向けて、私自身の見誤りがあったことに気づき、根本からサービスを見直す決断*を致しました。
今日はこれまで当社サービスを利用してきてくれた企業・人材の皆様、提携や出資などを通じて当社を応援してくださったきた皆様、そして、これまで一緒にサービス・プロダクトを作り上げてきた当社のメンバー・卒業メンバーに皆様に向けて、決断の背景に考えたことをお伝えしたいと思っています。
*2023年12月末で、一部の地域企業の案件を除いて新規受付終了することと致しました。(当然ながら現在契約中の案件や上記期間で募集開始後に成立した案件については、責任を持ってこれまで通りのサービス提供を行わせて頂きます。)
1.JOINSが目指すもの
「JOINSは、誰の何のニーズを満たすのか?」
JOINSのサービスの利用者は、2020年春のコロナ禍以降に一気に増加しましたが、2022年から2023年に向けては増加ペースは緩やかになってきたこの2年くらいは特にずっと考えてきました。
そして、最近、言語化できたことは、
働くことに大義と居場所を求める人に対して、地域に根付く揺るがない大義と居場所を感じ続けられる仕事を得ていただくこと
ということでした。
私は東京生まれ、東京・横浜育ちですが、前職のクラウドファンディングの仕事で、偶然に、日本酒の酒蔵の方々をはじめ、日本各地の地域に根ざした企業の経営者の方々と現地で会い、お仕事をさせていただき、日本の地域での仕事や暮らしに魅せられてしまいました。それが2007年のことなので、気付けば、JOINSの仕事も含めて、もう16年以上、地域に根ざした企業の仕事にどっぷりハマってしまっています。
私は何に魅せられたのか。
「この山を、海を、大地を生かして、地域全体に貢献したい。」
「代々受け継がれてお客さんに支持されてきたこの技術や商品を、さらに自分たちの世代で発展させて、次の世代にもつなげたい。」
私がこの16年間で出会ってきた地域に根差して働く皆さんの根っこにあるこうした想いを肌で感じて、私が感じていたことは
「自分もこういう、ちょっとやそっとでは揺るがなくて、自分と明確に繋がってる大義を持って、仲間の一員となって働きたい」
でした。
山や海や大地は揺るがない。代々受け継がれ、喜ばれ続けてきた技術や商品の歴史や伝統の事実は揺るがない。
もちろん大都市で働いていても、その会社の目的のもと、会社の社員という仲間に属することはできますが、不確実性が高く、変化も激しいこの時代は、自分が寄って立つ軸は何なのかとても迷うし、すごく揺らぎます。また、それを誰かと分かち合えない寂しさもある。私自身、その不安を感じながら働いていました。
だからこそ、地域に根差して働く企業の仕事には、これからの日本において、揺るがない大義と居場所を感じられる絶対的な魅力があると心から思っています。
その揺るがないその大義と居場所を感じられる仕事をもっと多くの人が出会い、そしてその仕事が続くようにしたい。
これがJOINSが目指しているものです。それを目指して創業しました。そして、それは今も変わっていません。
2.見誤っていたことは、仲間の一員になる勇気の重さ。
2017年当時、地域に根ざすいい企業といい人材との出会いを作る際に、立ちはだかっていたのは、移住と年収ギャップのハードルの高さでした。政府も地方創生の取り組みとして、地域への定住人口を増やす施策を行っていましたが、結果的には大都市への流入超過の結果となっていました。
そして、このハードルを超えるための手段として目をつけたのが、当時広がり始めていた「副業」と「リモートワーク」でした。その後、コロナ禍がもたらした社会変化が追い風となりました。
副業で働ける現実的な時間は月30時間程度であることがわかってきました。その業務時間とリモートワークで働く人材がその企業で居場所を感じてもらうためには、できるだけ早く課題を解決して役に立つことだと考えました。そのことを元に生まれたのが、地域の企業の具体的で小さい課題に対して、人材が解決案を提案する形で応募し、1ヶ月契約更新で、スモールスタートをしやすいマッチング方式でした。
居場所を感じるためには「役に立っている実感を得ること」という要素は今でも正しかったと思っています。
しかし、もう1つ重要な要素がありました。それは、地域側の経営者・社員と人材とが、面倒で煩わしいことではあるけど、それを越えてでも相手と向き合って垣根を越えて深い関係となることだったと思います。これもサービス開始初期の段階ではある程度気付いてはいました。このために、人材募集を行う企業担当者の動画メッセージや、心理的安全性プログラムという名称で、企業担当者・人材双方に好きなことや苦手なことなどのアンケートを用意して、スキルだけでなく、ひととなりを相互理解しやすい仕組みの提供を行ってきました。
しかし、私が見誤っていたことは、上記の行動を行うことは「そこまで本気で自分を仲間としたいと思ってくれていないかもしれない」という恐れを、リモートワークと限られた30時間のパートタイムの接点・関係性からでも越えていけると簡単に捉えていたことでした。
その背景には、私自身が、近い関係の家族や同僚などに対して相手の人生の責任の一部を引き受けることに臆病で、関心が相手よりも自分に向きがちな自己中心性が高い未熟な在り方に起因していたと気付きました。これは、当社に2021年に参画し、CHROのを勤めてくれている吉澤さんが徹底的に私にこのことに向き合わせてくれてことで気付けたことでした。
その結果として、企業担当者や人材の皆さんにこの恐れを越えていくためのサポートを軽く考え、対応策が不十分であったため、企業側の自社の課題をできるだけ早く安く解決してほしい、相手の境界線を明確においた上で自分が持つ経験・スキルで役に立ちたいというニーズだけに応えるサービスになってしまっていたのではないか、と考えています。
以下の図で言うと、本当は、2つのニーズを満たして円が重なる部分のニーズを満たしたいと考えていたのに、左側の重なりがない部分だけのニーズを満たすサービスとなっていたのではないかと考えています。
もちろん、仕事に求めることは人それぞれであり、仕事に、大義と居場所を感じ続けれることなどを求めていない方もたくさんいます。私自身も、全てのライフステージで全ての仕事でそれを求めているかといえばそうでないと思っています。
よって、上記の領域のニーズも市場として十分に成立しうるものだと思っています。当社のサービスにこの領域を期待してくれていた企業・人材、提携パートナーの皆様もいらっしゃると思っています。
一方で、JOINSとしては、このニーズだけでなく、他者との垣根も越えて、とてもドロドロとした面倒なことも含まれるけれど、勇気を持ってそれを乗り越えて、大義と居場所を感じ続けらる仕事を得たいというニーズに全力で応えることにまずは専念しないといけないと考えました。
そのためには、原点に立ち返り、一旦、根本からサービスを設計しなおす必要がある、そう考えたことが今回の決断の背景でした。
3.これから
これまで、JOINSの組織においても、全員、業務委託・リモートワークの働き方を創業以来、自社でも実践して参りましたが、自社でも居場所を感じられるような深い関係を作ることはうまくいっていませんでした。そして、もっと深い関係へ移行しようとする時に感じる恐れは自分自身が嫌というほど体感しました。
しかし、参画してくれたCHROの吉澤さんの大きな力で、オフィスを作り、コアメンバーについては出社を前提の働き方に変え、来年からは初めて正社員として採用するメンバーが決まるところまできました。
私自身がそうでしたが、地域の経営者・担当者や人材も、向き合う機会があればあれば自らの力で乗り越えられることも、その向き合う機会を自分だけの力では難しいことがあったことに気付けました。
まだ私自身の在り方も改善中ではありますが、今回の間違えと経験も活かし、改めて、他者との垣根も越えて、とてもドロドロとした面倒なことも含まれるけれど、勇気を持ってそれを乗り越えるために必要なサポートを行い、地域に根付く揺るがない大義と居場所を感じ続けられる仕事を得ていただくことを提供していきたいと思っております。
その一歩として、幹部人材の人材紹介サービスを段階的に始めています。こちらのついてはまた別の機会にご紹介をさせてください。
改めて、これまでのJOINSのサービスをご利用いただき、誠にありがとうございました。別の形で、ご期待に添えるようなサービスを改めて展開してまいりますので、今後とも何卒よろしくお願い申し上げます。
JOINS株式会社 代表取締役 猪尾愛隆
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