ニコラス・ゲルシュベルグ & 柴田奈穂 Bs.As. Tokyo Connection 2022 (2022/12/15 東京・杉並公会堂小ホール)
昨年の「ブエノスアイレスのマリア」の印象も未だ鮮明な柴田奈穂さんが、今年はアルゼンチンから素晴らしいピアニスト、ニコラス・ゲルシュベルグさんを迎えてコンサートを行いました。私は12月15日に行われた東京公演に行って来ました。
ニコラスはタンゴとジャズで活躍するピアニスト。アストル・ピアソラ財団五重奏団 (Quinteto Astor Piazzolla) やアストルの孫のピピ・ピアソラが率いるコンテンポラリー・ジャズ・バンドのエスカランドゥルム (Escalandrum) への参加でも知られます。
柴田さんとニコラスは、柴田さん率いる Last Tango の2015年のブエノスアイレス録音にニコラスも参加したのがきっかけで意気投合し、2017年にはデュオでアルバム “Bs.As. Tokyo Connection” をリリース。
今回はその2022年版ということで、日本の精鋭ミュージシャンとの五重奏による公演でした。
コンサートの前半は「現在生きている私たちのタンゴ」と題してニコラスと柴田さんの作品を、後半は「アストル・ピアソラへのトリビュート」としてピアソラの作品を演奏。2つのパートの間に休憩なし、MC も最低限で、畳み掛けるような演奏でした (実は杉並公会堂は撤収の時間が厳しいらしく、それに合わせての構成だと思います)。
内容的にはやはりニコラスのピアノのタッチが強い印象を残しました。自作曲ではミロンガの「ラ・サナータ」のぐいぐいとドライブする感じが良かったです。ピアソラの楽曲に関しては基本的にはオリジナルに忠実な演奏を極めて高い精度で実現。加えて「エスクアロ」で挿入された即興パートはロックやジャズを感じましたし、本来ピアノとバイオリンだけで演奏される「ミロンガ・エン・レ」において他の楽器が作る空間も幻想的でした。サプライズで登場した西村秀人さんの朗読を加えての「ドゥエンデのロマンサ」は昨年の感動が甦ります。アンコールの「リベルタンゴ」はニコラスのポリリズムな編曲が効果的。
そんな感じで一気呵成に演奏し切った感のあるコンサートでしたが、その密度・濃度は非常に高いものでした。
ちなみに昨年の「ブエノスアイレスのマリア」のライブ録音 CD がこの日会場で先行販売され (公式には2023年1月22日発売)、購入者には終演後この日のポスターと CD に出演者がサインしてくれる、というサービスもありました。もちろん購入して恩恵に預りました。
CD は素晴らしい内容でした。これについてはまた別途。
ニコラス・ゲルシュベルグ & 柴田奈穂 Bs.As. Tokyo Connection 2022
日時:2022年12月15日 19:30〜
場所:東京・杉並公会堂小ホール
出演:
ニコラス・ゲルシュベルグ (ピアノ・音楽監督)
柴田奈穂 (バイオリン)
早川純 (バンドネオン)
鬼怒無月 (ギター)
西嶋透 (コントラバス)
ゲスト:
西村秀人 (10の語りと通訳)
曲目
【現在生きている私たちのタンゴ】
Argentina-Japón (un solo corazón) アルゼンチン-日本 (ひとつの心) (作曲:Nicolás Guerschberg)
Bs.As. Tokyo Connection ブエノスアイレス東京コネクション (作曲:柴田奈穂)
Nocturno ノクターン (作曲:Nicolás Guerschberg)
La sanata たわいもないおしゃべり (ラ・サナータ) (作曲:Nicolás Guerschberg)
Mirando atrás 後ろをふりかえって (ミランド・アトラス) (作曲:Nicolás Guerschberg)
【アストル・ピアソラへのトリビュート】
6. Escualo 鮫
7. Milonga en Re レのミロンガ (ニ短調のミロンガ)
8. Milonga loca ミロンガ・ロカ
9. La muerte del ángel 天使の死
10. Romanza del duende ドゥエンデのロマンサ (作詞:Horacio Fererr)
11. Adiós Nonino アディオス・ノニーノ
【アンコール】
12. Libertango リベルタンゴ
(6〜12の作曲:Astor Piazzolla)
ブログとの同時投稿です。