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【#毎週ショートショートnote】忘年怪異

昔から自分の顔を変えたいと思っていた。

小学校の頃から何人もの男子にこう言われ続けてきた。


「霊長類最強美女」



なにが美女なのか基準はわからないけど、霊長類最強とか言われて正直迷惑だった。

何人もの男子にコクられては振り、町中でスカウトされては断りの繰り返しでなんだか人生がつまらない。


皆をあっと言わせたいワタシは、ひたすらバイトに明け暮れた。

目標額に届くため、夜の仕事にも手を出した。


「よし、目標額貯まった!」


そのまま有名な美容クリニックへ向かい、ドクターとのカウンセリングのときに1枚の写真を見せた。


「この顔にしてください!」




ドクターはしばらく絶句していた。



「正気ですか!そもそも人の顔じゃないし!」



半ば怒りながらたしなめるが、ワタシの意思に変わりはない。


その後、無事に整形が完了した。


年末に帰省したとき、家族全員が顔面蒼白だった。

今年の出来事をすべて忘れるほどの怪異な顔になったワタシは、その顔で満面の笑みを浮かべた。



(408文字)

今回のショートショートは以下のマガジンに収めています😌



この記事は、たらはかにさん企画【毎週ショートショートnote】参加記事です。
今回のお題は、【忘年怪異】でした。


なにかに突出している人を羨ましいと思ったりしますが、実は自身が非常に悩んでいるケースが多いと思っています。

例えば、職場の先輩の娘さんがギフテッド(先天的に高い知性などを持っている人)で、独学で難関中学に合格したのですが、小学校の同級生と 考え方があまりにかけ離れていたことから登校拒否を繰り返していたそうです。

自分は頭の良さも仕事の出来もいたって平凡ですが、変に悩まず気楽に生きているので、今のままが一番幸せなのかもしれません。


次回のお題にも挑戦します。
引き続きよろしくお願いします!!




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