3.MLMの歴史〜イメージが悪くなった原因〜
前回は、MLMの起源について説明しました!
今回はMLMの歴史において、何故悪質な詐欺のレッテルが貼られたのかを徒然に書きます。
普及の果てに、
1940年前後にアメリカでMLMが誕生し、1960年代には国内の約200社が採用をしておりました。
さらには、アメリカ国内だけではなく、カナダやヨーロッパまでに流行しました。
当時は口コミを使った商法がそれほど画期的だったというわけです。
しかし、画期的商法だったゆえに、悪質な手口を使う企業も当然いたわけです。
特に有名な事件は、ターナーエンタープライズの総帥グレン・ターナーが発端となった事件である。
天才的な男、グレンW.ターナー
こちらはグレンW.ターナーさんのHPです。
始めに、ターナーさんのプロフィールを軽く紹介します。
ターナーさんは14さいのころに中学校を退学し、ミシンのセールスマンをしていました。
また、ホーム用品や化粧品を販売するMLM会社、ホリデーマジックで一時的に働いていました。
その後、ターナーズグループを設立し、MLM方式でオーディオおよびビデオテープ、書籍、学習帳などを売り捌きました。
1971年にはアメリカの有名雑誌ライフマガジンの表紙を飾り、総売上3億円と報告されました。
こちらはHPから引用した当時のライフマガジンの表紙と内容の一部です、
スクリーンを背景に、二個の椅子の上に堂々と立って演説。
さらにはリムジンに乗って美女と戯れていますね。
まさにアメリカンドリームを叶えましたって感じです。
では、そんなターナーさんがどんな事件を起こしたのか見ていきましょう。
ピラミッド商法の疑惑で告訴される
1972年、ターナーエンタープライズの傘下企業であるKoscot Interplanetary、Inc.(化粧品会社)が連邦取引委員会(米国の消費者保護委員会)に告訴されました。
その理由は当時、会社が行っていたMLM方式の悪質性が疑われていたからです。
その詳細はというと、
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当時、ターナー氏は「自己の確信する夢は叶えられる」という自己改善プログラムを展開していました。
これはターナー氏が深層心理学に基づいて開発したプログラムです。
要するに洗脳プログラムです。
彼は人々をマインドコントロールすることによって金を巻き上げたのです。
さらに彼はミーティングと称したパーティーを開催して、多くの消費者を集めました。
そこで、入会金、タイトル獲得料、権利金などいろんな名目をつけて、実質的に多額の出資をさせました。
扱った商品は粗悪なものばかりで、中には商品が存在しないケースもありました。
販売員はランクアップして多くの権利収入を得るために、費用をかけるだけでなく、粗悪な商品を売り付けていたわけなんですね。
巻き上げた金は上位の連中で山分けしていたということです。
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この一連を流れを、米国では「ピラミッド商法」と呼んでいます。
つまり、
ピラミッド商法=ねずみ溝
です。
高額の入会金を支払わねばならなかったり、ランクアップするために粗悪な品や存在しない架空の品を売りつけるのは、現行のピラミッド商法の構成用件に含まれています。
残念ながら、当時アメリカにはまだこの種の商法を取り締まる法律が存在しませんでしたが、
この事件をきっかけに、正当なMLMビジネスをしているネットワークビジネス企業も疑いの目で見られるようになりました。
これが、MLMが疑われるきっかけになったのです。
1973年にターナー氏と弁護士F.リーベイリー氏、およびその他8人は、連邦大陪審により陰謀と郵便詐欺容疑(ポンジスキーム)で起訴されました。
1987年にターナー氏は有罪判決を受けて、7年服役していました。
ターナー氏はMLM以外にも、1974年には選挙に出馬、服役後には自身の哲学を伝播するなど精力的に活動していましたが、2020年1月18日にこの世を去りました。
彼はすごい頭の切れる天才だったみたいで、今でも信者は多くいるそうです。
ピラミッド商法に対する米国の法整備
1973年以降、連邦取引委員会事務局はピラミッド商法を行う悪質な会社を摘発して、業務停止命令が下しています。
例えば、先ほど紹介したホリディマジックは1973年に「非良心的で詐欺的商法」として、出資金の全額返還と賠償を命じられました。
ホリデイマジックには4つの階層から成る独特の販売組織がありました。
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「ホリディガール」とよばれる末端の販売員は、3,900円を支払うと、化粧品を30%引で購入する権利を得られました。
その上位の「オーガナイザー」は、32,550円を会社に納めることで、「ホリディガール」を束ね手数料を得られました。
「マスター・ディストリビューター」は、825,000円支払えば65%引で仕入れができました。
最上位の「ジェネラル・ディストリビューター」になるためには、750,000円を納め、代わりの「マスター・ディストリビューター」を組織することが条件です。
それを加えて自己啓発セミナーによる洗脳を行います。
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この一連の流れは「ホリディマジック商法」と呼ばれています。
ホリディマジックは、なんと27か国まで事業展開しました。
ターナー氏はホリデイマジックにいた頃から、これをヒントにして自分の組織を作ったわけです。
1973年、事業がピラミッド商法にあたるとして、創業者ウィリアム・ペン・パトリックに対し販売員から集めた資格料の返済が命じられましたが、ほどなく彼は航空機事故で死亡したそうです。
おそらくバチが当たってしまったのでしょうか。
翌1974年、米国の会社が解散しました。
日本にも会社があったそうですが、こちらも出資金の返還を求められ、1977年には倒産しました。
やがてMLMはアメリカで社会問題になり、合法でやってる企業まで業務停止命令を食らうまでになりました。
結局MLMって危ないんじゃ、、
ここまで見ると、結局MLMって上位が得して下位が損する商売なんじゃないかと思ってしまいますよね。
しかし、ねずみ溝ではなく合法で取り組んでいるMLM企業が存在するのは確かです。
そこで次回以降は現行しているMLM企業について紹介していこうかと思います。
MLMは本当に危ないビジネスなのか、詳しく見ていきましょう。
参考文献
Kugler v. Koscot Interplanetary, Inc., 120 N.J. Super. 216 | Casetext Search + Citator
Read Kugler v. Koscot Interplanetary, Inc., 120 N.J. Super. 2
casetext.com