ジャニーズ性加害問題に関して

ジャニー喜多川氏による性加害、そしてジャニーズ事務所による隠蔽の問題が明るみになりました。
取引先であり同じ音楽業界にいる私もこの件に向き合い、反省する必要があると強く感じております。

ジャニーズ事務所と弊社は不定期ではありますが2014年から約9年間に渡りお仕事をしております。
弊社に残った営業利益は過去を遡ったところ、約86万円になります。
テレビ、ラジオの共演もありますが、ツアーバンドや楽曲アレンジに対する対価が主になります。
(作詞、作曲、プロデューサー印税はありません)

「この件を知っていながら仕事をしたのですか?」という問いに対し、嘘偽りなく答えるのであれば「知っておりました」と言わざるを得ません。
私は生前ジャニー喜多川氏に会った事はありませんし、もちろん性加害の現場を見た事はありません。
しかし、ネットなどを通じて過去に沢山の方々が被害を訴えている事は把握しておりました。
取引先という近い距離だからこそ細かい部分まで把握していたという事はありませんが「全く把握していなかった」と言ってしまうとそれは完全な嘘になります。

今回の記者会見を見て、様々な事を考えました。
まず第一に弊社は「性加害の上に成り立っていた会社の繁栄の一端を担った」という事。
そして逆に「弊社の繁栄の一部もジャニーズ事務所からの売上である」という事。
また「被害を訴えている方々がいるのにも関わらず気を止める事なく利益を優先した」という事。
どんな理由があれど、その事実に向き合う必要があります。

仕事の現場で関係者に「噂は本当ですか?」と問う事なんてできない…あくまで噂だと思っていた…と言ってしまうと過去の自分と全く同じ「逃げ」になってしまいます。
クラスにいじめがある噂を聞いているが、それを誰にも報告する事なく静観する事は結果として加担している事になります。
もちろん子供であれば恐怖からそういった行動を取れなかったという事はあると思いますが、大人である私は加担した側にいたという事を認識すべきだと考えております。

自分の利益や立場よりも抵抗できない子供達を守る事を最優先に考える、そして盲目的に強者の側に付き弱者の声を潰すという構造を改善する、日本がそういった社会へとアップデートしていくために必要なのは、一人一人が当事者意識を持つ事だと考えております。

そのような考えから、私個人としてはこれまでの利益をそのままにしておく事はできない、という結論に至りました。
そこで今までに得た86万円全額を子供の虐待や貧困に支援をおこなっている団体に寄付する事に決めました。
性加害に関わった方、加担した方それぞれの事情や状況は私には分かりませんし、どのような形で反省し今後に活かしていくのかも人それぞれだと思います。
つまりこれは、私自身の判断によるものですので他者に同じ行動を促しているわけではありません。

長きに渡り被害に遭った方々の声を無視し、利益を優先した事に関してここで謝罪いたします。
自分の身を守る事を優先した過去の自分を大変恥ずかしく思います。
子供に対する性的搾取、性的虐待、マインドコントロール、グルーミングによって繁栄するような構造を問題として認識し、然るべき対応を取るよう自分自身に言い聞かせる必要があると感じております。
また、自身の行動も省みて加害者にならないよう肝に銘じていこうと思います。

株式会社FRAGMENT(origami PRODUCTIONS / ASTERI ENTERTAINMENT)
代表取締役
対馬芳昭

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