第三章 高岡 六

 小学五年生の冬、学校に登校すると高岡の上履きがなくなっていた。

 今まで私物がなくなったり、上履きの中に画びょうやガムに紛れてカッターの欠片が入っていた事はあり高岡は慣れたものだったが、自分の誕生日の日に上履きがなくなるとは思わなかった。

 高岡は、今朝祖母に「もうお前の誕生日は今年から無しだよ」と言われていた。この祖母の言葉は毎年の事だった。高岡は何も貰えなくてもいいと思った。ただ、こんな日に私物が無くならなくてもいいじゃないかと久しぶりに悲しくなった。母親に怒られると思ったからだ。

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