第三章 高岡 六
小学五年生の冬、学校に登校すると高岡の上履きがなくなっていた。
今まで私物がなくなったり、上履きの中に画びょうやガムに紛れてカッターの欠片が入っていた事はあり高岡は慣れたものだったが、自分の誕生日の日に上履きがなくなるとは思わなかった。
高岡は、今朝祖母に「もうお前の誕生日は今年から無しだよ」と言われていた。この祖母の言葉は毎年の事だった。高岡は何も貰えなくてもいいと思った。ただ、こんな日に私物が無くならなくてもいいじゃないかと久しぶりに悲しくなった。母親に怒られると思ったからだ。
ここから先は
3,343字
解毒剤(げどくざい)
700円
ー俺の殺人告発文書。人を探しています。ー ウェブデザイナーとして働いている高岡優希には秘密がある。それは高岡が過去に実家を燃やし、その…
期間限定!Amazon Payで支払うと抽選で
Amazonギフトカード5,000円分が当たる
Amazonギフトカード5,000円分が当たる