第五章 地獄 六
「あんた単位もう足りないって。だからもう一回一年からやり直すか、中退だって」
母親は朝自室のベッドで横たわっている高岡に、襖越しに大きな声で伝えてきた。
だから転校をしたいと伝えたのにと高岡は思った。
今はもう高校二年生になる春休み前だ。今から転校手続きは何処も手遅れだろう、どのみち周囲より一年遅れる事になると高岡は思った。担任教師も母親も、何故こんなに間に合わなくなってから伝えてくるのだろうと高岡は横たわったまま思考をした。
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