「スタスキー&ハッチ」レビュー
Q.2004年公開、トッド・フィリップス監督34歳時、長編5作目に当たります。
A.格段にテンポがよくなっていますね。それまでの「ロード・トリップ」や「 アダルト♂スクール」とは違い、下品な描写もなく、刑事アクションとしてよくまとまっています。
Q.ベン・スティラー、オーウェン・ウィルソン、主役二人については。
A.日本ではどちらかというとベン・スティラーのほうが知名度があるかと思いますが、私はオーウェン・ウィルソンの良さもとてもよく出ていると思います。軽やかさを出しつつも、きちんと刑事として仕事させたら凄いんだろうな、と思わせる感じとかですね。
Q.内容については
A.70年代に放送されていたドラマ「刑事スタスキー&ハッチ」の劇映画化という形なので、あまり自由に変えすぎてもいけませんし、かといってオリジナルに忠実にする、ということも難しい。しかしながら、全編に漂う70年代的な雰囲気はよく出ていますね。やはり二人が乗るあの車(フォード グラントリノ)の役割が大きいでしょうね。
Q.途中、ロシアンルーレットのシーンが出てきます。
A.「ディア・ハンター」のあの有名なシーンを彷彿とさせるようですが、特に本作との関連はないと思います。というより、ロシアンルーレットを本気でやったら、大体ディア・ハンターみたいになりますよ(笑)。
Q.ラストで出てくる二人組は、オリジナルTVドラマの二人でしょうか?
A.そうです。ハッチ役のデヴィッド・ソウルと、スタスキー役のポール・マイケル・グレイザーです。リスペクトが感じられてやっぱりああいうのっていいですよね。
Q.女優の扱いについてはいかがでしょうか。
A.はっきりいって、そこはフィリップス監督作の弱点です。女優陣がセックス・シンボルから抜け出せていない。毎回誰かがトップレスになる(笑)。本作でもジュリエット・ルイスの使い方はなんだかもったいないな、と思ってしまいます。今後の課題でしょう。
Q.「ジョーカー」との関連や影響は何か感じられましたか?
A.フィリップス監督作は、ジョーカーから逆算して見るようにしているのですが、本作はそう考えると、人物配置の構図や動きがとても美しい。すでにジョーカーでのアクションの見事さや、画面内のどこにアーサーやジョーカーを立たせるか、といった美的センスが垣間見えます。あとは、やはり音楽の使い方でしょう。これはもうニューヨーカーとしての監督の抜群のセンスとしか言いようがありません。
Q.知ったか解説ありがとうございました。
A.いえ、こちらこそ。