倒産した社長が就職活動をしてみたら
廃業の法的な手続きがひと段落してから「これからどうしよう?収入もないし、子供も小さいし、やっぱり就職した方がいいかも。。。」と思って20年ぶりぐらいに就職活動をしてみました。サラリーマン時代には確か紙媒体のDODAで募集広告を見て電話で応募した記憶があります。紙媒体の就職情報誌が軒並みなくなっているのは時代の流れを感じます。自分なりに状況を整理してみると
①廃業歴あり②無資格③50歳手前の中年
という事でなかなかハンデがあるなというのが、正直なところです。ただミドル向けの転職サイトなどをみると年齢的には応募できそうなところもあり、「曲りなりにも経営者としての経験があるし、チャンスがあるんじゃないか」と思って就職活動に取り組んでしました。自分としてはM&Aで取得した会社の経営で失敗した事もあったのでM&Aの仲介会社をメインに応募をしてみる事にしました。
使ったサイトやサービスをまとめてみると、こんな感じになりました。振り返ってみると色々使ってやってみたんだなぁという感じです。
(転職ポータル)
doda
リクナビNEXT
(転職エージェント系)
リクルート エージェント
type転職エージェント
ワークポート
(転職エージェント紹介サイト系) 転職エージェントを紹介するサイトからも5社ほどエージェントを紹介してもらい活動をしました。
マイナビ転職エージェントサーチ
ミドルの転職
(社長募集系) ネットを検索すると「社長募集」求人も以外とあったりします。こちらもアプローチしてみました。
(知人系) 仲のいい若い社長に「ヒマにしているんだったら、ウチでどう?」という流れで誘いをうけました。
(働いてみたい中途採用ページからの応募系)
求人の出ているM&A会社は全て応募してみました。
(保険会社)
2年ほど給与が出て、その後は個人事業主として活動するタイプの生保と損保に応募してみました。
倒産社長が就職活動をすると、どんな気持ちになるのか
ネットからの応募の数でカウントすると100社以上は応募をした事になります。応募→書類選考通らない→応募→書類選考通らない→応募→書類選考通らない。。。という事を続けているとさすがに「転職市場では求められていないんだ」とへこんできます。僕の場合は目指していたM&A仲介の会社は全くもって反応が無かったので、今までの職歴の中でマッチしそうな「IT系営業」であればなんとかなるだろうと方向転換をして、手当たり次第に応募をしていきました。ただ、面接にたどりついても、かえってくるのはこんな返信ばかりでした。
大変恐れ入りますが今回はご期待に添えない結果となりました。 【企業名】 株式会社○○
【仕事の名称】【法人営業(新規商談担当)】資金調達○億円/SaaSサービス
【理由】今までのご経験とスキルが企業側の求めるものと若干異なったため ※今後選考のご参考のためお送りします
これまでのご経験から即ご活躍頂けるイメージが持てず、
組織構成上マッチしないと判断されたようです。
また、カルチャーフィットの面でも、懸念が残ったようです。
社長をやっていて会社潰したりしたおっさんがピカピカのベンチャーに入ったらそりゃカルチャーフィットしないでしょ そりゃ当然だ!という話です。もし僕が採用担当でも、自分が来たら採用しないと思います。役員面接や社長までたどりついて、自分ではなかなか手応えを感じていたのに、いあゆるお祈りメールがくるとガッカリ感がハンパないです。この会社ならこんな感じで仕事が出来そう、通勤は○○分ぐらいだなぁなどと想像を膨らませている分、不採用になった場合は特に堪えました。
倒産社長が就職活動の面接で困る事
経営者をしていたので、採用面接は沢山経験してきたので面接官が聞きたいことは理解しているつもりでした。ただ、履歴書に会社を倒産させた事を書いていると必ず「なぜ、倒産という事になったのですか?」という質問がやってきます。債権者への個別説明や債権者集会の説明でも、何度もされた質問ですが、結局のところ「全ては私の経営力の無さが原因です。」と答えるしかない訳です。いくら丁寧に事情を説明しても、倒産に至る諸要因を短い面接の時間で説明できるものではありません。出来る限り丁寧かつ簡潔い倒産に至るまでの経緯を面接官に伝えたつもりですが、何か納得してもらえたという手応えはだれからもつかめませんでした。結局のところ、採用というプロセスで倒産経験はプラスとしてとらえられないという事を身をもって知りました。僕も経営者として採用活動をしていたとき、破産経験がある方の面接を何度かした事がありますが、その人の経験値やポテンシャルを知る為の質問よりも、「なぜ会社をつぶしてしまったのか?」という質問をしていてなぁと恥ずかしながら思い出しました。
倒産社長が就職活動の正直しんどい事、あれこれ
倒産社長が就職活動の中で困る事としては、倒産経験を合理的に説明できないこと以外にも色々と困る事がありました。
①応募する業種や会社を決め撃ちするとうまくいかない。
私の場合はM&A仲介という業種に絞って当初は応募をしていたのですが、下記のような募集があると、ついつい「僕でも出来るんじゃないか?」と思って応募をしてしまいました。もちろん不採用になるのですが、M&Aの経験はあってもM&A仲介の経験はないわけで、45歳を過ぎた未経験の人間を採用する訳はないという当たり前の事に気づかされる事になります。やはり、自分のスキルと今までの経験した業種での実績をベースに応募しないと就職活動はうまくいかない事を痛感しました。当たり前だ。
②知人の会社であっても採用されない事もある
経営者の知人もいるので、倒産に至った経緯を社長仲間に話す中で「大変な経験をしたね。何もしないって訳にもいかないから、ぶらぶらしてるくらいなら、ウチに来たら?」というありがたい言葉をかけてもらう事も有り難い事に何度かありました。カジュアル面談的に会社にお邪魔して、お話させて頂きましたが、結果はNGでした。社長がその気でも、従業員さんはそうは思わない事もあります。社長と仲がいいおっさんが急に入ってきたら、当然扱いにいくいですね。倒産社長はカルチャーフィットしない問題がここでも存在します。NGという判断をした幹部の方の判断は正しいと思います。
③業種によっては官報から、破産歴を調べられる事もある
アプローチする業種を広げていく中で、独立も視野にいれた採用を行っている生命保険会社と損害保険会社にもチャレンジしてみました。一定期間は社員として給与が出て、その後はフルコミッションか代理店になるという方法のものです。話を進めていくなかで、保険の販売には「保険募集人」という資格を取らないといけない問題が出てきます。破産をすると免責許可が出るまで、保険募集人にはなれません。私の場合は、免責にはなっているので、法的になれない訳ではないのですが「保険会社が官報を調べる」という採用プロセスで躓く事が想定されました。官報を調べたら当然、私の名前も出てきますので、普通に考えて採用される事はないだろうと思い、保険会社の応募も断念しました。
④社長募集系の求人はハードルが高い
ネットで「社長募集」「経営者募集」と検索をすると、いくつかの求人が出てきます。一応経営の経験はあるので、こちらにもアプローチしてみました。いくつか応募して担当の方や代表の方にお話を聞いてみると、こうした求人には大企業や規模の大きいな会社で経営をしたいたいわゆる「プロ経営者」の方が多く応募されているようでした。そんな素晴らしい経験を積んだ方にかなう訳もないと思い、この方向性はないと判断しました。
上記のように、色々と難しい事があり、僕の就職活動は3ヵ月ぼどで終了しました。破産や廃業を経験しても、うまく企業にフィットしてお勤めされている方もいるかと思いますが、僕の場合は「サラリーマンはどうやら無理そうだ」という事にしっかり気づけたのが収穫でした。「生きていく為には別の働き方を見つけないと!」というのが就職活動の後のテーマになりました。
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