Column #25 ホップステップステップステップ......
本名名義になってからすぐの2018年1月に書き始めたマンスリーコラム、3年目から不定期に書くことにしていたが、案の定丸2年何も書かなかった。というわけでこの2022年1月から復活! 今回は月末だけど、ハットピンのブログも月末だから、来月からは15日くらいにしようかな。
僕はSNSで、率先して自分の心情を書くタイプではなく、最新情報とそれにまつわる雑感を書き込むくらいだから、こういうコラムはやっぱり大切だよね、きっと。さて、何を書こう。ちょうどこの2年を振り返ると、まずどうしてもコロナのことになるかなぁ。
2年前の今頃 = 2020年1月の下旬は、腰の手術で入院していたんだった。その東京の大きな病院は、コロナ患者をいち早く受け入れていた。感染予防ということで入院患者への面会は禁止。しかしそれはコロナではなくインフルエンザ予防のためで、つまりコロナはまだそこまで警戒されてはいなかった。
退院した翌月の2月、伸び切った髪を切りに美容院へ。「春になれば絶対におさまりますよ」と、いつもの美容師さんに自分から話したのを覚えている。きっと季節性のものだろうと思っていた。まさかその後あんなに増えたり、去年みたいに夏に大流行するとは。売れるアーティストと伝染病の予測は苦手。あ、それだけじゃないか(笑)。
そのあとの6月のmeunotaのワンマンライブ。お店の方たちとぎりぎりまで、開催の可否や開催する際の対策を話しあったのも覚えている。まわりのミュージシャンはどうしているんだろうということを、暇さえあればチェックしていた。
対して、今度(2022年)の2/6のイベントの延期決定に向けて共演者と話し合った際には、そこまでの逡巡はなく、自分も含めて判断は早かった。ウィズコロナが身に付いてきたというか、身に付いてしまったというか。
自分の場合はほとんど自宅で仕事をしているから、それこそ興行については細部まで責任を持って判断するけど、それ以外はどこか宇宙船から地球を見ている感じもする。
ドローンを使って街を見下ろす。パトロールのつもりが、たまに映画館に侵入して映画を見たり。そんな風に日頃通勤する人に比べると、どうしても"呑気”がつきまとう。もし僕が「最前線に立つ人たちの気持ちもよく分かる」などと言ったら、それは真っ赤な嘘だろう。
専門家によると、今の"オミクロン"は警戒すべきレベルで考えれば、風邪(インフルエンザを含む)と一番危険なウィルスの、ちょうど真ん中くらいに位置するのだという。政府関係者から見ても、僕ら民間人から見ても、一番厄介な状態。日本は慎重な社会だから、やっぱり重く捉える。シーソーと一緒で、少しでもそちらに傾けば、座面が一旦はそちら側の地面に落ちる。
いや、緊急事態宣言は現時点でどの都市も出ていないので(病床使用率次第なので、時間の問題?)、かろうじて両足を曲げて踏ん張っている状態なのかも。もちろん座面が地面に付かなくても、向こう側へ傾けられる。そのときに伸ばす足は、なんとも頼りないけれど。
ライブの本数は本当に減った。それはコロナの影響だけじゃない。HARCO当時は一番多いときで、年間60本余り。それが本名になって4年間でまだ69本。(このnoteの「青木慶則のライブの記録」というマガジン内でナンバリングをしているので、誰でも分かってもらえるのではと思う。あと数字的にホームランっぽい。)
去年の最後の2本(12/25&12/31)は、今までにないアーティキュレーション(抑揚)の方法が発見できたような、個人的には今後に向けた大きな手がかりとなる重要なライブだった。それだけにホップステップ……の次が出せないのがもどかしい。
いわば今は、部屋でずっと「ホップステップ……」のステップを踏み続けている状態。2000年に出した「部屋でクイズ!」というシングルの曲があるけど、あのMVでの僕の軽妙な腰つきを参照してもらいたい(当時の曽我部恵一さんにその動きを褒められたことを今でも忘れない)。もしくは昔の映画で、主人公が自分の部屋でひとり、小躍りして床を踏み鳴らすような。
だから今は、どこへジャンプするかを考えている。今年はライブを多くするか、去年(とくに後半)同様、極力減らすか。ライブだけじゃなく自分の曲も書いていきたいので、歌のあるものをたくさん書くか、インストにもっと挑戦するか、もしくは他人のための曲をより積極的に書くか。さらなる別名義も楽しそうだ。
そういった意味で今の気持ちはわりとフリー。「悩んでいる」や「迷っている」と書くと聞こえが悪い。選択自由な道の途上にいる。そういう解釈でいい。コロナという霧はまだ相当深く、手元しか見えない。基礎体力と最低限のスキルを今一度目視で確認して、試しに小さくジャンプする。