Well-beingを達成する、よい組織の仕組み「周りを幸せにする行動」「幸せな集団」「心の資本」〜GLOBIS知見録の学び【321】
「GLOBIS知見録」で学んだことを記録しています。自分がクラスや組織のマネージメントが必要になった時に振り返るためのものです。
ここでは日立製作所の未来投資本部ハピネスプロジェクトリーダーの矢野和男さんのお話を記録しています。
20世紀から21世紀に起こった変化(日立製作所の資料より)
20世紀の社会
需要:社会・産業・生活の共通基盤
供給:工場や拠点での一律な大規模展開
利益源:標準化と横展開の仕組みづくり
→ルールやマニュアルを忠実に実行する人と組織
結果:第一次生産性革命、中間層の拡大・環境負荷
労働:指示やルールに従って、決められたことを実行する人や組織
21世紀の社会
需要:多様で短期のニーズ、環境・リスクへの配慮
供給:多様で変化する状況への適応
利益源:実験と学習の仕組みづくり
→経営方針に沿って自律的に動く組織とポジティブな個人
結果:第2次生産性革命、中間層・地球環境の再興
労働:常に変化や多様なニーズに柔軟に適応して、結果を出す人と組織
人口増加時代と人口減少時代では、成功戦略は大きく異なる
(別動画「予測不能な時代の働き方とウェルビーングより」)
「ハピネス」を求める現代
歴史学者ユヴァル・ハラリ『ホモ・デウス』にて
21世紀に人類が追求するもの「不老不死」と「ハピネス」
→これだけ物質的に豊かになっても、うつ病や自殺者が多くいる
イェール大学では、「ハピネス」のクラスに学生が殺到した
「幸せな集団」の特徴
無意識の身体運動(柔軟性を持った体の動き)
状況に合わせて身体運動の持続時間が長かったり短かったりする
→それらのデータを収集
行動の柔軟な人の周りの人が幸せになっていることが分かった
→身体運動が「個人の幸せ」につながっているかどうかはわからなかった」
※視点の変化
自分が幸せなのはある程度把握することができるが、周りを幸せにしている行動が何かを自分から気づくのは難しいのではないか
周りを幸せにする行動の多い組織は「生産性」が高い
ポジティブ心理学の研究(S.Lyubomirsky,et)
【「幸せ」はどこから来るか】
・固定的要因(遺伝・幼児期)50%かもう少し下
・日々の行動習慣(周りを幸せにすること)40%
・状況要因(お金、資産、健康ほか)10%
→給料が上がったり、宝くじが当たることは、一時的な幸せを感じることはあるがすぐに元に戻る
「日々の行動習慣」が幸せの源泉として大きな割合を占めている
「心の資本」=持続的な幸せ(Fred Luthans教授)
持続的な幸せにつながる要素を考える
→これからが幸せ、生産性、業績、心身の健康、人間関係、離職率につながっている
企業の業績は「心」が反映されている
「周りを幸せにするための行動」が心の状態に影響する
人は他の人がいるから幸せになれる
マズローの欲求階層説でいうと上位目的(承認、自己実現、利他・超越)が重要になってくる
質疑応答でのお話
遺伝子による「ネガティブな思考」は払拭できるのか
半分しかないと考えるか半分はあると考えるかで分かれてくる
遺伝的に「不機嫌になりがちな遺伝子」を持っている人でも、
幼少期にたくさん褒められると、かなり上機嫌な人になれる
母親のストレスを下げることが子どもにとっての幼少期の幸せにつながる
テレワーク:複雑で難しい課題をする時は一人の時に適している
簡単なルーティーンワークはみんなでいるところでやる方が捗る
雑談をどのようにして活性化させるのか
「タバコ部屋」は立場や役職を超えてコミュニケーションができる
その代わりをタバコを使わずにどうやって設置するかが課題
人間は習慣の生き物なのでリラックスルームは効果なし
動線のクロスポイントに飲み物と駄菓子が有効
都市空間が人間にとってアンハピネスなのではないか
都市空間は人間にとって不自然
人間は直角が苦手(エビデンスあり)
視界の中に緑がどれぐらい入っているか
森の中の気持ちよさは「ゆらぎ」から来ている