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我が子が通うオランダ現地校「朝の授業参観"Inloopochtend"」[455]

 新しい学年がスタートして約1ヶ月が経ち、朝の授業参観が行われるということで、子どものクラス見学に行ってきました。2週目のクラス保護者会は妻が行ってくれ、今回は私が行ってきました。


 私の子どもが通っている学校は、いたってオランダのクラシックな学校です。オルタナティブ的な要素が強いわけでもなく、私たちがイメージするような一般的な授業が行われます。理科や社会の科目は統合されていて、そこではグループワークで何かを調べたり制作をします。また、学校の基本方針もありますが、担任によって学び方や雰囲気は変わります。

授業内容

 今回はiPadを使った学習で、クラスでどのように使われているのかを見ることができました。

 まず初めに、それぞれのiPadを起動させ(デジタル端末の学習を見るのかと一瞬思い笑)、週末にしたことを文章にします。すると、前のスクリーンにみんなの書き込んだ内容が表示され、一斉に内容を確認できます。

"Kahoot"を使った演習

 引き続き、語彙の演習問題を"Kahoot"を使って行いました。語句とその説明が問題や選択肢になって次々と問題が出されました。

 次に計算問題。正確さと速さを確認する問題でした。新しい計算というよりはこれまでの学年で学習したことを復習するような問題でした。 
 Kahootの場合、ランキングが表示されますがそこについて担任はあまり関心を示していないようでした。難易度の低い問題を示して、この辺りは必ず正解できるようにしておいてねという説明や、もし意味が分からない言葉が出てきたらどうしたら良いかなどを確認していました。

オランダにあるいろんな教育方針

 先述のとおり、子どもが通っている学校ではICT機器は授業の中で取り入られており、学力テストなどもオンラインで行われます。ただ、どれぐらい1日で使っているのかを聞いてみると、1日に30分の使用時間が過ぎるとタブレットは使用できないようになっているそうです。
 そのため、今回はタブレットを使った演習を見ることができたのですが、保護者が帰った後は紙ベースで言語の学習をしたそうです(むしろそれを見たかった、、、笑)。

 私の知り合いの子が通っている学校のことを聞いてみると、ICT機器が学校の授業には一切取り入れられておらず、すべての学習は紙ベースで行われ、むしろ心の発達に重点を置く方針で教育(シュタイナー教育)が行われています。また、妻が学校視察の仕事をしているので、いろんな学校のいろんな授業を見ているのですが、どうもうちはごく一般的な学校の一般的な授業だそうです。
 オランダでは学校の数だけ教育があると言われています。小学校の間で学ぶ内容としての中核目標は決められているものの、日本のように公立の学校のほとんどが「この時期にはこれを学んでいる」というような共通理解のようなものはありません。つまり、自分の子どもに合う学校は子どもと保護者が一緒に決める必要があり、どの学校に行くかを選択する(そのために考える)必要があります。

一度家族で検討した転校

 私たちの子どもが通う学校は、ピースフルプログラムなどを導入して個々の教育に力を注いでいる一面もありますが、どちらかというと勉強にしっかり取り組む要素が強く、ディスレクシアや自閉傾向のある子どもたちは学年が上がるにつれて他の学校に移ってしまいました。そういったことや、子ども自身が「勉強が多くて大変だ」と言っていた時期があったことも重なり、オランダの中でも我が子にとってより良い環境があるのではないかと考えました。
 ただ、現在今の学校にGroep1(4歳)の時から在籍しており、子どもにとって「安心できる居心地の良い場所」というのは、移民である私たちにはより大切になってくると思っています。さらに、新しい学年になって素敵な先生が担任になったこともあり、転校について進めるのは一度止めることにしました。今後また本人が何かに深く悩むことがあり、転校以外の解決方法がないようなことになったら考えたいという結論に至りました。

よく考え判断するということ

 かつて元クラスメイトの母親が「言語が苦手な子に向けたサポートがなかったからうちは転校を余儀なくされたけれど、途中で転校(この子は2年前に転校してきて当初は毎朝泣いている子でした)してきてせっかく仲良しの友達もできたのに少し残念な気持ちにはなった。幸い今の学校でも新しいお友達ができて楽しく通っている。だけど、転校を決断したことが本当に正しかったのか、彼にとってそれが良かったのかは今もわからない。」と話していました。確かに転校をすることで新しく得られるものと失うものがあります。だからこそ、他の学校が良い成果を出しているからそっちに行けば問題は解決されるかどうかはわからないのです。新しい問題が発生してくる可能性もあります。
 私個人としては、毎日学校に楽しく通えていることがどれだけ幸せなことで、価値のあることかという風に考えたいと思っています。本人にとって、また何か問題が出てきたら一緒に考えたいです。

 選択できるからこそ「考える力」が求められ、決定した後も様子を観察したり、その後も考え続けることが必要になります。考え続けることはどうしても不安がつきまといますが、むしろ変化の激しい現代社会ではこういった力がどんな場面でも必要になると言えるのではないでしょうか。

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