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2024年第4回IBDP日本語A SSST準備講座〜詩の分析・文の構成425

 前回の第3回に引き続き、日本語のエッセイを書く授業を希望する生徒がいたため、希望者向けに4回目の授業も実施しました。今回は詩「葬式列車」の分析と、シベリア抑留についての確認と分析文の組み立て方をメインに授業をしました。前回の授業内容については、以下の記事より確認していただけます。

石原吉郎「葬式列車」分析と文の構成

 4回目の授業までにこの詩から分析できることは何か、分からないと思ったところはどこかをはっきりとさせておくことを課題にしました。生徒たちは、詩の主題を概ねつかむことはできたようですが、その根拠となる表現や修辞法などを体系的にまとめるのが難しかったようで、理解ができなかった箇所が体系的な理解を妨げてしまうことを実感したようです。

 擬人法や倒置法、テーマを連想させる語句などを1つずつ取り上げることができたものの、作品全体を俯瞰して全体像を掴みながら主題に触れることが大切だと気づいた生徒もいたようで、少しずつ分析の本質が掴めてきたようです。あとは、それを日本語の文章としてどう仕上げていくかというところも課題としては残っているので、文章全体の構成に気をつけて書き直しをしていきます。次回はそれを確認した上で、書く順番や主題に触れつつ、細かい部分の分析をどのように文章として表現すべきかについて1つの例として模範解答を示しながら説明する予定です。

日本の歴史:「シベリア抑留」を学ぶ

 この科目は歴史を学ぶ科目ではないため、あくまで「作品を理解するために、時代や作者・作品に関連する場所などの背景知識を持っていることで作品理解が非常に深まる」ということを伝えたいと思って、「葬式列車」の作者である石原吉郎氏がシベリア抑留を経験したことがこの作品に反映されていることを学びました。

 もちろん、試験対策としていろんな背景知識を身につけるのには限界がありますが、このような内容の確認は「自分の知らないことを知る」機会として、あくまで生徒自身の教養が深まり物事を理解する力を高めるために行います。

 こういった小さな学びを繰り返していく中で、世界情勢のいろんなことが繋がってきて学ぶことが楽しいと感じることを期待しています。

 文学分析において詳しい知識を身につけておく必要はありませんが、少なくとも何年代のこの国(場所)は当時どんな状態だったのかを知ることが文学理解を助けることに繋がっていることが伝わればと思っています。そして、その学びが生かせるよう、次の作品分析の基礎としてあえてつながりのある作品を選定しました。果たしてどれぐらいの生徒が気づいてくれるのかが楽しみです。

長谷川四郎『小さな礼拝堂』分析

 次に分析する課題として、今回確認したシベリア抑留で学んだことが生かせるように長谷川四郎氏の『小さな礼拝堂』を選択しました。「葬式列車」で列車の中に漂っていたあの独特な空気がそのままこちらの作品でも読み取ることができ、人間の生きることへの希望や絶望、そこで見えたものなどをどのように文章として表現されているのかを見ていきます。背景知識を活かして以前よりも文章理解が深まったことがわかれば、これから学習を進める時に作者について調べたり、作品が描かれた時代背景について学ぶ時も、その意図が理解できているため、主体的に学びを進められると思います。
 今回の課題についてどこまで理解を深めて分析文を書くことができるか、生徒たちの成長が楽しみです。

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