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2024年第2回IBDP日本語A SSST準備講座〜日本語の分析・表現の練習[419]


 今年から新たにIBDP日本語Aのチューター依頼を3件受けましたので、6月から2回に分けてIBDPの準備講座をスタートしました。1回目は夏休みに一時帰国をする生徒が多いので、その時に文学作品を購入できるように仮の「ブックリスト」の作成に取り組みました。ただ、これは言語Bの作者と重複して読むことはできず、それぞれの学校によって異なる分に関してはまだ分からないので現時点でのリストを作成します。そのことも伝えた上で生徒とブックリストについて確認しました。

作成した「ブックリスト」の確認

 1回目の授業でブックリストについての条件を確認し、仮のブックリストを作成してもらっています。今回の授業でブックリスト作成における疑問点などを明らかにして、日本語Aの学習に使用する文学作品を仮確定させました。
 今後も学校の都合などで変更する可能性がまだ残っていますが、日本の一時帰国の際に必要な文献一覧はこれで完成です。

日本語の分析・表現

 日頃インターで学んでいる生徒たちは、日本語を使うことはあっても日本語で学ぶことに慣れていないことがあります。日本での生活年数やどの年齢で日本にいたかにもよるのですが、日本語でエッセイを書くとなると「難しそうだな、自分にもできるのかな」という不安がどうしても起こるようです。そのため9月から始まる日本語の学習に備えて、日本語の分析や表現力が今の生徒にどれぐらいのものがあるのか、また学習を進めるにあたってどのような課題があるのかについて確認しました。

 今回、分析・表現に使ったのは中井久夫さんの「きのこの匂いについて」です。これは2011年の最終試験で扱われたもので、この文章は複雑な日本語が一部含まれるだけでなく、五感に訴えかけるものや宗教的な要素なども含まれています。そのため、分析をするには難解な文章と言えますが、今のうちに最終試験で求められるものはどのレベルぐらいなのかということを知ってもらおうと思っています。

授業の前に生徒自身で分析をし、理解できなかったところや浮かんだ疑問を確認してから再び一緒に分析を深めていきます。つまり、一人で考えた時と一緒に考えた時を比較して、何が自分の分析に足りなかったのかを発見していきます。大抵は文章にそれとなく書かれている表現の工夫や展開に関係する部分をケースが多く、一緒に確認すると「そうだ!ここがポイントだ!」ということに気づくことができるようです。

 この作品の文章では、筆者が住んでいる家に馴染めない原因がカビや茸の匂いにあるのではないかと考え、それらが建築学上は厄介者として扱われていますが、日本家屋が放つカビや茸などが発する独特の匂いが日本の宗教である神道の考え方につながっていることを示しています。
 今回受講してくれた生徒たちは、文章の流れを掴むこと、宗教の話が対比で描かれどのようにカビや茸の匂いに帰結するのかというところを理解するのに苦しんだようです。しかし、日本語の文章を正確に理解するトレーニングを積むことで、次第にそれらが自分でできるようになり、自分で文学作品を読み進める時にもその力を発揮するようになっていきます。
 このように今後も生徒が日本語の学習に割けられる時間内でできるサポートをしていきたいと思います。

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