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国際バカロレア(IB)から学ぶ「学びの姿勢」【141】

 2021年の新年度を迎え、新たに国際バカロレアのディプロマプログラム(IBDP)の学習サポートの依頼をいただきました。今年もIBに関わることができてとても嬉しいです。
 昨年関わらせていただいた生徒は、無事スコア「7」を獲得することができました。その生徒も、海外での日本語学習に自信を持てたのではないかと思っています。

社会科教諭の経験を活かして

 私は「日本語A」の学習サポートとして、基本的には学習スケジュールの管理最終試験に向けた対策をさせていただいています。

 IBサポートの中では、高いスコアを目指すことは前提として授業を構成するとともに、私が歴史の授業をしていた時に大切にしたいと思っていた「人としての生き方」の大切さも一緒に考える授業づくりを心がけています。

 文学作品には、それぞれの時代背景に合わせて「それぞれの時代に生きてる人々はどう生きてきたのか」を学ぶことにより、自分の生き方を問うことができます。それを少しでも深く考えるための手伝いとして、文学作品が書かれた時代背景について理解することに力を入れています。そういった歴史学、社会科学の観点も文学作品の理解に取り入れることによって、より一層文学作品を深く味わえるような授業にしたいと思っています。

文学作品の中に描かれた歴史の舞台

 9月からDPの日本語Aの学習が始まった生徒から連絡をもらい、授業で読んでいる小説を理解するために必要な時代背景について教えてほしいという依頼をいただきました。

 元社会科教諭として「日本語A」という科目は、文学作品を読むことによって自分のアイデンティティに磨きをかけると同時に、歴史で学んだことをまるでその場にいたかのようにリアルに感じることができるという、学びの深さがあります。私が社会科教諭としてIBのどのようなところに魅力を感じたのかについては、以下もご参考にしていただければと思います。

 今回は、南アフリカ共和国のアパルトヘイトや、植民地時代の影響を受けた経済について解説する授業をさせていただきました。
 そもそも生徒は、文学作品を深く理解するために学びます。また、今回その生徒に与えられた課題は、資料を作成しプレゼンをすることになっています。そのため、歴史や経済を学ぶ目的は作品理解のためという明確な目的があり、南アフリカ共和国の植民地時代を中心とする歴史や経済を体系的に理解していることが求められます。

 日本では用語や年代が先行して、正しく知識が定着しているかどうかが問われます。日本の高校生を見ていると、ただ単に知識を吸収するだけの学びはとても退屈そうでした。今後、入試が変わっていくことで学校での学びも変化することが期待されます。

積極的な「科目横断」の学習

 学ぶ科目に対する意識が強すぎると、生徒たちは科目を横断して考えることが苦手になります。IBでは積極的に教科を横断した学習も勧めており、生徒たちの「生きる力」を養うにはとても大切な考えです。

 私はあくまで作品理解のための「歴史」や「政治・経済」の授業をしますが、文学作品をより深く理解するためにそれらを学ぶことは、その面白さを深めるのに役立ちますし、これからの社会情勢を考える上でも大切なことだと思っています。

子どもの柔軟な思考に学ぶ

 時に、子どもの方が柔軟な考え方を持っており、むしろ大人の方が教科という枠に囚われすぎることがあります。日本語教室で小学生の授業をしている時に、国語の授業で地球に関して書かれた文章を読んでいる時に、急に理科の話題になって地球儀を引っ張り出してみんなで観察を始めたことがあります。そういった探究心を持った学びを経験することも、子どもにとっては大切なことです。

 学びを教科に分け、それぞれを体系化することによって効率的に学ぶことも可能になります。しかし、これからの社会で生きていくための力として科目の領域に囚われすぎない学びも必要だと思います。

 そうして大人が「科目を横断した学び」「科目領域に囚われすぎない学び」を受け入れられるようになれば、子どもたちも柔軟な思考力で学んでいけるのではないでしょうか。

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