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子どもの幸福度を上げるためには、まず周りの大人が自分の幸せを確保しよう〜アーミッシュ教授の研究【249】

 イギリスのエセックス大学のジョン・アーミッシュ教授が2011年に行った調査が示した結果です。


両親、特に母親の幸福度が子どもの幸福度に関係する

 子どもの満足度は、「両親との関係、特に母親の幸福度との関係がある」ということが分かりました。つまり、保護者や周りの大人が自分の幸せを犠牲にした上での子どもの幸福度は成り立ちにくいということです。

 「子どものために自分を抑え込み過ぎると、そのストレスが逆に子どもに悪影響を与える」と考えれば、大人自身も自分らしく生きること、自分の幸せとは何かを考えることが重要になります。

大人の幸せを大切にするオランダ

 オランダで暮らしていると、保護者は子を想う気持ちと同等に自分たちの時間も大切にしている人がたくさんいるように感じます。
 自分の子どもを友達や親に預けて夫婦の記念日のディナーに出かけたり、休みの日はNiksen(何もしないこと)をして家族でのんびり過ごす時間を作ったり、自分でいることを大切にした上で子育てというのがあるのが分かります。

このエビデンスを元に、今の自分を考え直す

 夫婦関係が円満、特に母親が夫婦関係に幸せを感じている家族が子どもの幸福度が高いというエビデンスがあります。

 もし、日々の行き詰まりやストレスを感じるのであれば、そんな日々を見直して自分の幸せな時間を探して見つけることから始めると何か変化があるかもしれません。それが最終的には子どもたちの幸せな時間を作ることができるのです。

子育ては本来1人あるいは1組でやるものではない?

 少し原始的な話をすると、子育ては本来共同体の中で一緒にでやるものでした。社会構造は大きく変化してしまいましたが、それでも1人もしくは1組の夫婦で子育てをすること自体が無理があると私は感じます。

 子どもを育てることに時間を取られ、せまい人間関係が自分の価値観をせばめてしまい、子育てのプレッシャーはより重くのしかかるかもしれません。保護者や周りの大人が、自分の幸せを守るための時間ぐらいは持ったとしても、それは贅沢とは言わないのではないでしょうか。

哲学的な思考で自分の幸せを見つけよう

 11年前の研究になりますが、この研究の結論として、家族関係が良好で、家族で夕食を取る機会が週に3回以上あり、母親が幸せを感じている家庭では子どもが幸せに育つことができます。

 ということは、「自分の幸せとは一体何なのか?」という問いに対する自分の答えが必要になります。答えのない問いに対して自分の考えを持つというのは、哲学的な思考とそのためのトレーニングが必要になります。
 自分の幸せを見つけて、子どもたちにも幸せになってもらうために、日本の教育でも哲学的な思考が広がってほしいと思います。

・ボーク重子『「非認知能力」の育て方:心の強い幸せな子になる0〜10歳の家庭教育』(小学館、2018)

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