「非認知能力」は認知能力の土台である〜ジェームズ・ヘックマンの研究【250】
IQやテストの点数など、目につきやすいものに囚われて、その土台となる学習意欲や忍耐力、努力する力が、その子にどれぐらい育まれているのかを考えたことはありますか?
子どもが学校で取り組んだ学習課題を持って帰ってきた時、例えば計算や文字の読み書きのプリントを見て間違えたところばかりを指摘してしまってしまうことがあるかもしれません。
「勉強ができなければその子が将来は、、、」と心配する気持ちそのものが子どもに余計な不安を与えるようになります。
しかし、目につきやすい認知能力は、その子の能力の一部でしかありません。むしろ、その子が持つ意欲や努力、忍耐など「非認知能力」呼ばれる側面もその子の将来に大きく関わってきます。
結論としては、認知能力の土台となる「非認知能力」を理解しよう、ということです。
テストの点数や知識だけでなく、学習意欲や忍耐力、他者とのコミュニケーションなどの人間形成も育む子育てサポートを
ヘックマンの研究によると、3〜4歳頃の子どもを対象とした就学前教育に効果があるとしています。
ただ、ここで勘違いしてはいけないのが、就学前教育で国語や算数などを早く始めることではありません。日本の人は早期教育を大きく勘違いしていることが多いそうです。
早期教育で得た国語や算数の能力は、幼少期にたくさん遊んできた子どもたちがその後学習をするとすぐに追いつかれてしまいます。
著書の中で紹介されていたもので重要だと感じたのは、幼少期に介入する「ペリー就学前プロジェクト」で紹介されていた、子どもの自発性を大切にしたサポートをしたことと、家庭との連携も重視していたことです。
やはり、家庭教育と学校(あるいは外部のサポートによる)教育の両輪が機能することで、子どもの健全な発達が促されるというのは間違いありません。
認知能力と非認知能力、はっきりと分けられない部分もありますが、その子の学習に対する姿勢なども大切にしながらサポートを続けていきたいと思います。
<参考文献>
・ジェームズ.J.ヘックマン、大竹文雄解説、古草秀子訳『幼児教育の経済学』(東洋経済新聞社、2015)