「お金と幸せ」の関係 - 年収が上がれば幸福度はどんどん高まる、ただし、、、[448]
2010年にノーベル賞を受賞し、2024年3月に亡くなったダニエル・カーネマンはかつて「幸福度が最も高い年収は7万5000ドル」と発表しました。それ以来は、収入がある一定まで高まれば私たちが感じる幸福は十分になるという考えが広まっていました。しかし、同氏が共同研究を行った結果、2023年にはそれを覆す説が打ち出されました。幸福度が低いグループでは年収と幸福度の上昇は頭打ちになるが、幸福度が高いグループでは年収が10万ドル以上になるとさらに幸福度が高まる、ということが分かったそうです。
時代とともに変化する「お金と幸せ」
2010年から2023年は、たった13年といっても社会は大きく変化しました。これまで以上に経済格差が大きくなって、それに伴った幸福の格差も大きな開きを見せているように感じます。格差がある状態を放置してしまうと、激しい競争で勝ち残った方にも緊張感が継続するため、格差を是正する必要性は私が参照した記事にも書かれていました。
しかし、「お金があるから幸せ」ということではないというのがこの結果から分かります。記事によると「幸福度が高いグループでは年収が10万ドル以上になるとさらに幸福度が高まる」と書かれており、緊張やストレスが続いている状態で収入が上がっても幸福度は高まりません。ということは、社会的地位を求めたりや生活の不安を解消するためだけにがむしゃらに収入を高めようとしても、決して幸せになれないということを示しているのではないでしょうか。
収入が高くなれば幸福度も高くなる(ただし、幸福度の高いグループでは)という結果は、ある意味で自分のやりがいやメンタルヘルス、自分自身の幸福が何かをしっかりと見極めることで幸せを掴めるのかもしれません。また、論文自体に目を通した訳ではないのでこれからもっと詳しく学ぼうと思いますが、自分のやりがいや社会的な貢献を目指した結果収入が高くなり、それが良い循環を作っている(そもそも収入を上げることを目的としていないのではないか)と考えることもできると思います。
定説は社会の変化とともに変化する
このように2010年時点の研究で分かったことも、時間の経過によって社会も変化し、それまでとは異なる結果が出てくることはある意味で当然と言えます。そのため、私たち大人も定説や固定的な観念に縛られず、日々の変化を感じ取りながら自分の行動を変化させていくことが大切なんだということが学べると思います。子どもたちの教育についても、彼らが社会に出るとき、今の社会とは大きく異なっていると言えます。そのため、私たちの経験に基づく判断に頼るのではなく、変化に適応する力や社会が変化しても変わらない大切な力について考え話し合い、そういったことが実践できる教育が必要なのかもしれません。
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