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私が高校卒業後にイギリス学部留学してエジプト学の学位を取得してきた話 #4

前回で追試を受けたという話を書きましたが、年度末(夏休み)で一時帰国している間に、東京にあるBritish Councilまで行って受験しました。留学生が追試や何らかの理由で母国でテストを受ける際は、各国あるいは一番近い国に所在するBritish Councilで受けるとの説明でした。日本のBritish Councilの建物は東京の神楽坂、東京理科大学のキャンパスの並びにあります。

そもそもBritish Councilって何だ?という疑問は上記のウェブサイトで解決するかと思いますが一言でいうとイギリスの公的な国際文化交流機関です。英語のスクールも提供しているそうです。

安くない追試受験料(50〜100ポンドくらい=1〜2万円)を払って、あの悪夢の法学の前期テストの追試を受けました。難易度は後期と同じくらい下がっていたのでホッとしました。無事に合格しました。

さて、International Foundation Year Programmeという学部入学準備コースはこれで修了しまして、晴れて2007年9月から「Egyptology BA(Hons)」(エジプト学 学士課程)が始まります。

私が在籍していた頃は「School of Archaeology, Classics and Egyptology」という学部だったので「SACE」(セイス)と呼称されていました。どうやら卒業後に歴史学や言語学などの学部とくっついたようで、今は「School of Histories, Languages and Cultures」の中の「Department of Archaeology, Classics and Egyptology」となっています。

さて、エジプト学というと、何となく「古代エジプトの勉強」という感じは伝わるかもしれませんが、具体的に何をするのかハッキリしませんね。

「#とは」タグの記事として、下記のノートで少し書いているのですが、実際のところ古代エジプトを対象とするあらゆる学問を内包しうるので、「これをやる分野」というのは定義しにくいのです。

色々なアプローチで古代エジプトを紐解くのは面白い試みだと思います。よく「文系・理系で区別するのは日本くらい」ということを言いますが、実はこのエジプト学の学士課程でも若干それに近い分類はされていました。発掘とか科学分析を中心に学びたい場合は「BA(Hons) Egyptian Archaeology」(エジプト考古学)を勧められ、美術、文学、宗教、社会などを学びたい学生は私と同じEgyptologyに振り分けられました。1年目の授業は両方とも重なっているものがほとんどで、同時に取る4つの授業のうち2つか3つで入り混じっていました。

私が特に学びたいと願っていたのは「古代エジプト語」だったので、「文献学」や「言語学」を学べるEgyptologyを選びました。

古代エジプト語に関心があるヒエログリフ(聖刻文字)を読めるようになりたい、という方は私も共著者として加わっているウェブ連載もご覧ください。ひつじ書房という言語学に特化した出版社の未草(ひつじぐさ)というウェブメディアに掲載されています。

実は、International Foundation Year Programmeに参加している間も、1年先取りで「聴講生」として1年生用のエジプト語の授業に参加していました。講師のMark Collier先生にメールしたものの、その日のうちに返信が来る前に、オフィスへお仕掛けてしまったのは非常に失礼な行為でした。それでも温かく迎えてくれて、聴講を許可してもらいました。

学部へ進学後も言語学が専門なのでMarkの授業が中心にあり、卒業論文の指導教員も希望が叶ってMarkでした。ちなみに当時はSenior Lecturer(上級講師)(日本の大学で言うところの准教授に相当)だったのですが、私が卒業した後にProfessor(教授)へと昇進していました!

その聴講していた授業で使っていた教科書はMarkともうひとりの先生が共著で書いた「How to Read Egyptian Hieroglyphs」という本でした。実際に使っていたのは最初の半年間だけだったのでキレイなままだったので出身高校の図書館に寄贈しようと思い、卒業の少し前にMarkにサインと学生へのメッセージを依頼したのを覚えています。なので今は私の手元にこの本はありません。

帰国後にこの本の代わりに日本語訳された本を購入しました。翻訳監修には早稲田大学教授でエジプト考古学者の近藤二郎先生がついているので、初心者向けの学術的教科書としての質を保っています。英語だとハードルが高いと感じる方には日本語版をオススメします。

近藤先生の著書でエジプト考古学についてよく分かる書籍として「エジプトの考古学」も紹介しておきます。内容としては、古代エジプト文明の各時代を順に追いながら理解を深めていくというものです。大学の教科書に使われるような、関心のある初学者向けのものです。

次回のノートではもう少し具体的に学部でどんな勉強をしたか思い出しながら書き連ねたいと思います。


【告知】イギリス留学するまでに、それから留学中にも取り組んでいた、英語学習法を有料ノートで公開しています。一部は見れるようにしていますので是非ご覧ください。


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吉野宏志
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