「就活は嘘のつき合いですか?」と言われて、悲しかったからこそ、就活生に大事にしてほしいこと。
「就活は、学生と企業が、それぞれ嘘をつき合うものですか?」
就活相談にのっていると、ちょこちょここういった類の質問をされることがあります。ただ、そう言わせてしまうことに対しては、やはり悲しい気持ちになるのですが、改めて考えるとそういう側面もあるんだろうなと…。
もうすぐ3月。就活解禁のタイミング。
22卒の内々定率が、2月1日時点で13.5%という情報もある今、解禁という言葉に意味があるのかもわかりませんが、より就活のことを考える一つのタイミングではあるのかなということで、「就活は嘘の付き合いなのか?」というテーマに対して、思うことをまとめてみます。
企業サイドの嘘
「この企業は嘘をついている」と学生が思うのはどのような時でしょうか。
・残業は少ないって言っていたのに、Openworkを見たらハードそうだった
・配属先は希望を聞くよと言われたのに、問答無用で営業配属だった
・ほとんど東京、と言われたのに、地方配属になった
・学歴なんて関係ないよ、と言われたのに高学歴の人ばかりだった
他にもたくさんあると思いますが、これらは企業サイドとしては、「嘘をついている」とは思ってないこともあるんじゃないかな、と思います。ではなぜこのようなすれ違いが起こるのでしょうか。
唐突ですがこちら、マッチングアプリのバナー画像です。いやいや、No.1がこんなにあるわけないやん!と思いますよね。ただ、誇大広告を禁じる法律があるので、おそらく何かしらの切り口で見たら、確かにNo.1だと言える根拠があるんだろうなと思います。
これと同じで、事実は切り口を変えれば大きく変わるし、さらに解釈となればまた大きく変わります。これを踏まえて、上記のシーンでのすれ違いに解説を加えると、こんな感じになるのかなと。
・残業は少ないって言っていたのに、Openworkを見たらハードそうだった
→「少ない」部署もあれば多い部署もあるだろうし、そもそも「少ない」の定義が企業と学生で違ったのかもしれない
・配属先は希望を聞くよと言われたのに、問答無用で営業配属だった
→希望を聞く、とは言ったけど、希望が通る、とは言っていない
・ほとんど東京、と言われたのに、地方配属になった
→「ほとんど」と言っているので、地方がないとは言っていない
・学歴なんて関係ないよ、と言われたのに、高学歴ばかりだった
→地頭を見て採用すると、結果的に高学歴が多くなる
もちろん本当に嘘をついている企業も、あるでしょう。ただ、嘘をついているのではなく、事実の切り取り方が違うか、解釈においてずれが生じていることもあるのだろうなと思います。
だからこそ、事実の定義(例えば、「No.1」とはどこ界隈でどの観点で比較したときのNo.1なのか、とか)と、解釈で話していないか(「若手」と言われたときに、それは何歳から何歳なのか、など)を確認することはとても大事になってきます。
興味のある企業の話は、ついつい自分の都合の良いように聞こえてしまうものです。だからこそ、歪めて解釈していないんだっけ?というところは自問自答できると良いのかなと思います。
学生サイドの嘘
では学生が企業に嘘をつくのは、どのような時でしょうか。
・第一志望じゃないのに、「御社が第一志望です!」と言う
・実は違ったけど、サークルの副代表をやったことにしておく
・思っていないけど、「御社の〇〇という部分に魅力を感じ」と言う
・そんなに自信はないけど、協調性の高さが強みと言ってみる
こちらも他にもいろいろあるとは思いますが、「嘘をついている」というよりは、企業に受かるために自分を魅力的に見せようとしている、というものなのかなと思っています。お祈りされると苦しいし、受かるために盛りたくもなりますよね。
先程のマッチングアプリのバナーがそうだったように、魅力的に見えるような切り口や伝え方を考えることはとても大事です。
盛りたい気持ちはよくわかりますが、盛り方には注意が必要です。企業側もおそらくわかりやすい嘘は見抜いていますし、第一志望とかあるあるなことに関しては、聞いたのに信用していないことも多々あると思います。
就活生と企業は、全くもって平等じゃない
就活生は、だいたいが就活一年生。
働いたこともないまま初めての就活をして、いろんな人が自分の経験をもとに好き勝手アドバイスしてきて、それを律儀に守ってもお祈りされて、もっと自分の個性を出せと言ってくるくせに、画一的な格好で画一的な質問に画一的な答えを並べていく。
企業は、採用を何年もしていて。
就活生のことを、さばくとか、タマとか、その程度の言葉を使って考えている人もいて。圧迫面接とか水をこぼして対応を見るとか、よくわからない上から目線の対応をする人もいるらしい。
就活は結婚だとか恋愛だとか言われるけど、そんな平等な話じゃないよね、と個人的には思っています。もっと情報構造に格差がある。
だからこそ、嘘をついてでも、偽りの自分を演じてでも、とりあえずどこかから内定をもらって、その中で一番マシそうなところに決めたら良くない?という考え方はとてもよくわかります。そう考えないと傷つくから。
ただ、そんなに悪い企業ばかりではないと思っているからこそ、以下の観点は持っていてもらえると嬉しいなと思います。
就活生に大事にしてほしいこと
一番大事にしてほしいことは、「内定を得る」ことはゴールではない、ということです。
仮にそんなに興味がない会社に対し「御社が第一志望です!」と言って受かったとします。すると、そんなに興味がない会社でそんなに興味がないサービスに関わって一日の大半を過ごすことになります。
これはけっこうしんどい。
だからこそ、
・企業からは「事実」を収集して、自分で「解釈」する
・魅力的に見せるのは良いけど、自分の首を絞める嘘はつかない
の2つは意識すると良いのかな、と個人的には思います。
企業からは「事実」を収集して、自分で「解釈」する
少ないとか多いとか、若いとか若くないとか、ほとんどとかだいたいとか。これらは事実ではなく、解釈です。
人の解釈と自分の解釈は違うことのほうが多いので、しっかりと「事実」を、定義も含めて取りに行くことを意識してみてください。
そして自分が、自分にとって都合の良い解釈をしていないのか、もできる限り客観的に見てみてください。
魅力的に見せるのは良いけど、自分の首を絞める嘘はつかない
ぜんぜん興味のないことや嫌いなことを、好きと言う。これは自分の首を締める可能性が高いです。
やりたくないこと、嫌いなことをやり続ける人生は、けっこう苦しい。多少かっこつけて、多少盛ることはあっても、そういう嘘はつかないでくれると良いなぁと勝手ながら思います。
最後に
私は今、採用にがっつり携わっているわけですが、オープンにするということは大事にしています。誰がどう見ても完璧な会社なんてないから、良いところはもちろん未熟なところも伝えた上で、一緒に働きたいと言ってもらえるようにしたいと思っているからです。
SNSやクチコミサイトが普及してきたことで、良くも悪くも嘘がバレやすい時代になりました。だからこそ、自社のことをオープンにしている企業は増えてきているはず。
「就活は、学生と企業が、それぞれ嘘をつき合うものですか?」
こんな悲しいことを言わないで、自分に向き合ってくれる良い企業を探してもらえたら嬉しいし、こんな悲しいことを言わせない採用をしていきたいです。
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