合コン

男Aと男Bが舞台中央付近に腰を下ろした状態で明転。退屈している様子。

男A「あーあー。合コンやりてーなー」

男B「……」

男A「最近、全然いってないもんな―。合コン」

男B「……」

男A「合!コン!や!りてー!」

男B「……くせに」

男B、わざと聞き取れないようにつぶやく。

男A、男Bの方に体を向ける。

男A「ん?」

男B「合コンいったことないくせに」

男A、から笑いする。

男A「は? いや、いや。あるし。俺、あるし」

男B「ボキャブラリー減ったなあ。動揺してんじゃん」

男A「いや、あれよ? あんまり根拠ないことばっか言ってるとあれよ?」

男B「ボキャブラリーが戻らないなあ」

男A「例えばあれよ。合コン、あれじゃん。いったことあるじゃん。いきてーっていう。あれ、例えば」

男B「その状態で例え話は無茶だよ。ボキャブラリー足らんやつの例え話は聞くに堪えんよ」

男A「あー。えー」

男B「……なんかちょっと責任感じてきたわ。ごめんな。なんか」

男A、ただじっと男Bを見つめる。

男B、腕を組んで横柄に語る。

男B「……ついに言葉を失ったか。君はいずれまた言葉を話せるようになるだろう。しかし、それには長い年月とたゆまむ努力が必要だ」

男A、ただじっと男Bを見つめる。

男B「……おっと。やっとまともにしゃべれるようになったか。そうだよ。お前が合コンにいったことないのはすぐ分かるんだよ。お前は友達いないし」

男A、ショックを受けたマイム。

男B「……いや、いないじゃん。友達を積極的に作ろうとしてるにも関わらず友達できないタイプじゃん。お前。……ん?」

男B、驚愕のリアクション。

男B「テ、テレパシー!!! テレパシー!!! テレパシーてお前。なんか頭に直接、声が響いてくるわ。すげー」

男B、興奮するマイム。

男B「やって!!!もっとやって!!!」

男A、じっと男Bを見つめる。

男B「うそ!!! まじ??? ……なんでやってくんないの?」

男B、はしゃぎまくるマイムから急にトーンダウン。

男A、しょうがないんだという風に首を横に振る。

男B「あー、そうか。たぶん、アレだな。ちょーーーーどいい感じに心が傷つかないとテレパシーはできないんだな。きっと」

男B、腕を組んで納得したように首を縦に振る。

男B「平常時からの、合コンいったことないのバレたくらいの心の傷つきかたがちょーーーーどよかったんだなあ、だからテレパシーが使えたんだ」

男A、男Bをじっと見つめる。

男B「……ああ。よっぱりお前もそう思うか。……っておい!」

男B、典型的なノリツッコミをする。

男B「テレパシーできてんじゃーん。なんでだ」

男B、腕を組んで考える。少し間を空けてパッとひらめくマイム。

男A「さては、お前……。前からずっとテレパシー使えるんだろ!!!」

男B、男Aを笑顔でじっと見つめる。

男B、笑顔で「そういうの言えよー」

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吉村トチオ
最後まで読んでくれてありがとー