シチュエーション

「はぁ~、どうしよ」

「なに? どうかした?」

「みればわかるでしょ? 悩んでるのよ」

「ははあ、恋だな」

「ちがう」

「思春期の女子が悩むのは恋じゃないの?」

「あんたさぁ、それ、セクハラだからね」

「そういう君はモラハラだね」

「……モラハラってなに?」

「モラルハラスメント。不適切な言葉や態度で相手を傷つける行為、って感じかな」

「そんなことないです。わたしは先輩を尊敬しております」

「……しらじらしい。いまさら取り繕ったって俺に暴言を吐いた過去は消せないんだよ」

「そーなんだよねー。過去は消せないのだ! とおっ!」

「いて! やめろよ。服が汚れるだろ」

「ふははははは! 油断したな? 戦場では一瞬の油断が命とりなのだ!」

「あいにくここは戦場じゃないんでね。油断くらいさせてくれよ」

「……はぁ~、先輩をからかってもあんまり気がまぎれないなぁ」

「からかわれた上にそんなことを言われる俺の身にもなってくれよ」

「あはは。でもさぁ、どうする? これ」

血に染まった部屋の少年少女。彼らの足元には死体が一つ、二つ、……。

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吉村トチオ
最後まで読んでくれてありがとー