ジムの日記
今日は休暇をとったから、運動不足の体を動かそうと久しぶりにジムに行ったら閉まってた。
臨時休業なのかな? 看板も剥がされてたし、内装もめちゃくちゃに荒らされていたから、改装工事をしているのかもしれない。
しかたないから家の周りでもランニングしようと思いながらの帰り道、ふと、見慣れない建物が目にはいる。"AMA-ZONE"。看板にはそう書かれている。ちらりとガラス張りのショースペースに目をやると、ずらりと並んだルームランナーがピカピカでかっこいい。
どうやら、新しいジムが建てられたようだ。ちょうどトレーニングウェアとシューズもあることだし、冷やかしていこうかと店内に入る。
受付のお姉さんの言われるがままにサインと捺印を繰り返していると、1日体験入会をすることになった。
トレーニングウェアに着替えた僕はルームランナーの前に立つ。でかい。四畳半くらいある。しかもそびえ立つ謎の柱がついている。なんだこの柱は、倒れそうになったときに掴まるのだろうか。こんなに太くちゃ掴みづらいだろうに。
まあいいか。スタートボタンを探す。見当たらない。まさかと思うがこの柱の上の方に見えるアレだろうか。バスケットゴールより高くない?設計者の遊び心が過ぎる。
やれやれとルームランナーから降りると、上の方からピッピッと音がする。まさかと思い、見上げると筋骨隆々でビキニアーマーを着けた女性がルームランナーを操作している。ボタンに手が届かないどころか、腰を少し屈めながら。
しまった!ここはアマゾネス専用のジムだったのか!
ルームランナーがゴイン、ゴインと低いモーター音をだして動き出したと思ったのも束の間、ジェットエンジンのような超速で回転を始めた。一流のスプリンターのようにキレイなフォームで走るアマゾネス。巻き起こるソニックブームで吹き飛ばされる僕。
連続的に起こる突風で壁にはりつけにされている僕をみて、受付のお姉さんが駆け寄ってくる。
お客様!どうしてアマゾネス専用コーナーに!書面にあんなに注意があったのに……!
薄れゆく意識の中で、契約書はちゃんと読まないとなぁ、と思った。
あと、契約書をつかった悪質な詐欺に対しての注意喚起の広告とかにこのお話を使ってもらえないだろうか。いやぁそれはむりだろうなぁとかも思った。