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It's a small world ! 第四話
ヤナセ先生はそう言い終えると、もうこれで話は終わりだ、とでもいった感じに湯呑みにはいったお茶をすすった。ぼくは、なんだか長い夢をみていたかのようにぼーっとした頭のまま立ち上がり、軽くお辞儀をしてから先生の部屋から出た。
帰り道、ぼくはずっと考えていた。
つまるところ、先生の話はこういうことだ。人生は行くあてのない旅に似ていて、いくつもの分かれ道を判断基準も持てないままに選択しては進んでゆく…
It's a small world ! 第三話
……厳格な動作テストをクリアした後、R134号に仕事が与えられた。史上最高のロボットと名高いR134 号に何をさせるのかと世界中の注目が集まるなか、R134号に与えられた仕事は王国のお姫様の身辺警護だった。強大な力と明晰な頭脳をもつR134号にとって、それはあまりにも退屈な仕事のようだ。当時の王国は平穏そのもので、お姫様の警護に最高のロボットが必要とは思えなかった。実際、R134号の使い道に疑問を
もっとみるIt's a small world ! 第二話
ヤナセ先生は古びた2階建ての木造アパートに住んでいた。外装から考えると意外に中はきれいで、先生の部屋は八畳間のワンルームで整然と片づけられていた。中年男性の一人暮らしというものはもっと乱雑で不衛生なものかと思っていたのだけど、やはり聖職者だけあって私生活にも気遣われているということだろうか、と、思ってから、気がついたのだけど、先生の部屋にはほとんど家具や電化製品が見当たらない。本当にここで生活し
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