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受け取り方の違いを学ぶ事例集『成長する』
誰かと話している時に、「そんなつもりで言ったんじゃないのに・・・」と感じる反応に出会ったことはありませんか?
言葉の受け取り方は、人それぞれ。
自分も相手もお互いに尊重し合うために、
・『違いがあって当然』という姿勢でいること
・『どんな違いがあるか』を知っておくこと
が必要です。
違いの幅を知っておくことで、思いがけない反応があっても感情に振り回されず、冷静な対応がしやすくなるものです。
そのお役に立てるように、過去の体験談を事例として紹介します。どんな場面か想像を膨らませながら読んでみてください。
(個人が特定されないよう多少の編集を加えています)
◆『成長する』の受け取り方
安田さん(仮名) 29歳 女性の話
安田さんとは何度かお会いし、親しくお話しできる間柄になっていました。ある日、お悩みを聞かせていただく機会があったときの話です。
いろいろと悩みはあったけど自分の中で折り合いがついてきて、やりたいことに向けてこれから足を踏み出していこうという話になってきました。
「これから成長していけるのが楽しみですね」
と僕が言ったその瞬間、彼女の表情が一変したのです。
怒りと悲しみが混じりあった表情で、僕に言葉をぶつけてこられました。
『よくそんなひどいこと言えますね! 散々人に話しをさせておいて否定するなんて、吉村さんも結局そういう人だったんですね。がっかりしました』
一瞬の出来事に、僕も何のことか分からず動揺しました。直前まで心を開いてお話しをさせてもらっていたつもりだったのに・・・
頭の中は真っ白。思考停止です。
もちろん、安田さんを傷つけるようなことを言ったつもりはありません。
とりあえず落ち着かなければ、そして、落ち着いてもらわなければと思い、改めてゆっくり話を聴いていくと、少しずつ謎が解けていきました。
彼女の怒りは、
「成長する」=「現状がダメだから」
という受け取り方が引き起こしていたのです。
『成長しなければいけないのは今の自分がダメだから、と言われた気がした。辛かった思い出も話したのに、やっぱりあなたはダメですねと否定されて突き放されたような気持ちになった。』
と、話してくださいました。
僕が、「自分を受け入れることが大事です」と語っているにもかかわらず、言ってることとやってることが違うと感じて、余計に腹が立ったのもあったようです。
ここで、誤解のないように言っておきます。
安田さんの受け取り方がおかしいという話ではありません。
こんな受け取り方もあるし、そう受け取ってしまう状況もある、と知ることが大事です。
どちらが良い・悪いではないのです。
こうやって振り返ってみると、安田さんが言われた言葉にもヒントがあります。
”吉村さんも”と言われているのは、僕以外の人との間で嫌な想いをした体験があるということ。
過去には、職場でどんなに頑張っても理不尽な対応で認めてもらえなかったり、何とか自分を変えたいと思って参加したサークルで仲間外れにあうなど、とても辛い体験をされたとのことでした。
それで自信をまったく持てなくなって苦しかったそうです。
まずはその辛さを理解する。そして、これまで頑張ってきたことに目を向けることが必要だったのです。
◆受け取り方の違いを学ぶ
言葉は、それぞれ辞書に書かれている意味を持っています。
でも、その言葉をどう感じるかは、人によって違います。
そこに至るまでの経験や人間関係の影響を受けるし、その時の心の状態によっても変わるものです。
自分と違う受け取り方に触れ、その背景にあるものにも目を向けていきましょう。
カウンセリングスキルも向上していきます。
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