歴史と経済15〜オフライン〜
過当競争があちらこちらで起きている。
時代は動画配信の時代。
文章や画像による情報配信を凌ぐようになってきているのではないか。
事実、たとえばパソコン操作で分からないことがあった時に、動画をそのまま真似た方がうまくいくことが多い。
文章だと意味が入ってこないこともある。
読み手の責任なのか、書き手の責任なのか、文字から理解へと変換する時間がもったいない感じがする。
今やYouTubeの登場により、動画全盛といった感がある。
授業もこれまで講義の配信サービスはあったものの、生配信やズーム会議、研究会まで動画でできてしまう。
メルカリの出現により個人で商売ができ、noteでは文章を売ることもできる。
個人でテレビ局を持ち、商品を売り、ライターを務め、株式投資もできてしまう。
一昔前まで、それぞれの分野を一人の人間が人生をかけて仕事としていたにもかかわらず、現在では一個人が全ての分野を掛け持ちしつつ、本業の仕事を持つことが可能だ。
何という時代に我々は生きているのか。
個人が自分たちの嗜好を思うがままに表現できるツールが揃っている。
情報も大手メディアのニュースを待つまでもなく、自分で検索をかけて誰かのツイートにたどり着くことができる。
誰かの生配信が最速であることもある。
しかし、参入障壁が低くなったことで、個人レベルでクリエイトされる作品が過剰競争に陥り、一つ一つの作品が「届かなく」なってきている。
作品が存在していても、読んでもらえず、見てもらえない。
そもそも届いていないのだから。
あなたがそうであるように、みんな忙しい。
24時間という限られた資源を活用して、貴重な時間をどの媒体野どのジャンルに割こうか試行錯誤しているのだ。
その誰かの意識に、自分の作品が入り込めるスペースを生み出せるか。
そこが勝負の分かれ目。
競争率は非常に高い。
クオリティ勝負なら、他の人も負けていない。
何せ、テクニックや裏技は巷に溢れている。
それが共有される時代なのだから。
つまるとこと、プロや名もなき名人とも同じ土俵に立っている今、本当のクオリティ勝負が行われている。
自分の作品を差別化する難しさが今、立ちはだかっているのだ。
そして、ここにコロナが来ている。
コロナが来ているからこそ、オンラインが活性化しているとも言える。
どちらにしろ、見方を変えればオフラインこそが際立ち、アナログが個性となる時代になってきているのではないか。
私は結構、いわゆる有名人でも直接メールか何かで連絡をとって個人的に会うことを考えるタイプである。
他者との競争を避けたいからである。
たくさんの人がいるとなると、自分の話は聞いてもらえる可能性は低い。
もちろん、全部うまくいくわけではない。
むしろ、うまくいかないことが多い。
元々、ダメ元でやっているのだ。
しかし、数を打てば、値千金の直接対面まで漕ぎ着けることも結構あったりする。
過当競争を避けるところに、注力できるかどうか。
直の対面はオンラインとはモノが違う。
自分の話を聞いてもらえる。
仲良くなれることもある。
1対1なら、相手もそれなりに集中して見てくれ、助言してくれる。
相手がわざわざ来てくれたことに応えようという心理も働くのだろう。
一定の方法論が頭打ちになってきている今、方法論を変更してみる。
確かに、外出によるコロナのリスクはある。
しかし、今では感染に気をつけてみんな仕事に出かけている。
リスクのない勝負など、ない。
リスクを挙げれば、それこそ会って仲良くなれないリスクもあるのだ。
しかし、厚かましくも直接会おうとするような人間は、少し変わっているのかもしれない。
けっこう、距離が近くなる。
その後の付き合いが続くことがある。
こうなると、「直接会いたい!!」という熱意を持てることが一つの分岐点だとさえ思えてくる。
このインターネットでつながる時代に、ばりばりのオフラインで攻めるのだ。
ある意味、オンラインだけでは限界があるということも事実なのかもしれない。
今時、オフラインでアナログなことをやるような人間は、逆に差別化が図れ流ことが期待できる。
言ってしまえば、人間関係は相手と信頼関係が築けるかという問題だ。
SNSの投稿を見ていると、十人十色で色んなことを皆それぞれに考えていることが分かる。
しっかり考え、しっかりした意見を持つ人も多くいる。
批判的に考える人もいるだろう。
肯定的に考える人もいるだろう。
そのような様々な人々と人間関係を取り結ぶのは容易ではない。
しかし、これが直接会うとなると結構な確率で仲良くなれる。
相手もきっと、「せっかく会ったのだから」と思っているのだろう。
これは一つの原則ではないだろうか。
多くの人とは難しいが、オフラインなら深い人間関係を一定数の人と築ける。
量なのか、質なのか、結局はトレードオフになってしまう。
しかし、もし縁あって生まれた人間関係であるならば、大事にしたいと思うのが人情である。
きっと自分の作品も、その人間関係を元にして相手に「届ける」ことができるだろう。
週刊連載なんていう所業を、漫画家が睡眠時間を削ってこなしているように・・・
自分の作品を継続して見てくれている人がいると、頑張れるものだ。
オフラインの関係も大切にしたい。