勉強を楽しくする方法68〜緊急より重要〜
ビジョンがないと重要性への優先順位は高まらない。
たとえば、ある社会人が自分のスキルアップのために5年後、大学院に行きたいと考えているとする。
これを実現するためには、周囲も納得するくらいに向上心があり、実績も挙げている必要があるだろう。
人の目を盗んでは仕事を怠け、それによってミスや大失敗が続いている人が大学院に進学するといったところで、遊ぶことが目的だと思われても仕方がない。
5年後、自分がどうなっているのか?
10年後自分がどうなっているかを考えるよりも、5年という数字は現実的であろう。
5年後、大きなことがなければ自分に確実にやってくる将来。
望むと望まざるとに関わらず、5年後の自分はいる。
そこに、何か望みを持つことができれば、今この瞬間から人間の脳は5年後のその将来像を実現すべく動き出す。
あらゆる偶然の出会いや、自分の努力は全てその5年後を実現するために、方向付けられて実を結んでいく。
これがビジョンの力である。
ビジョンを持つことはそんなに難しいことではないはずだ。
しかし、多くの人が持たないままに毎日をただ忙しく生きている。
仕事を優先して生きていく。
そんな中、仕事で自分を成長させようという考えを持つと、ビジョンが生まれる。
ビジョンが生まれると、緊急性だけでなく、重要性も大切にするようになる。
緊急性を要する要件は、社会人は誰でも大切にしている。
締め切りがあることで、それに間に合うように好むと好まざるに関わらず、必死で取り組む。
そして、それで緊急な事案にいつも追われて、それで1年が終わってしまう。
緊急なことばかりをやるのではなく、重要なことに時間を割くことがビジョンを実現することにつながっていく。
緊急なことは短期的には必要なことだ。
重要なことは長期的に必要なこととなる。
重要なことは、自分にとっても仕事にとっても有益となる。
たとえば、教員をしていてインドと中国の経済に関心を持っていたら、それを調べてみることは重要なことだ。
授業では、日本の縄文時代を扱っていたとしても、それに匹敵するくらいにインドと中国の経済について知っておくことは有益である。
この話でいえば、日々の授業の準備をすることは緊急性を要することに該当するだろう。
まず目の前の縄文時代の授業の準備は完了させておく。
ただし、その完了はゴールではない。
それに加えて、自分の興味に基づいた内容も授業準備と同じ程度に勉強をするのだ。
長期的にはインドと中国の経済を知っておくことは現代史を扱うことにプラスに働くであろう。
いざインド・中国経済について授業を扱う時には、準備できてもそんなに深いレベルまで触れることは難しいだろう。
しかし、前もってやっていれば蓄積があるので、奥深い内容の授業が展開できる。
緊急性に応じて動くということは、自分の興味関心はいったん傍らに置き、当面の問題を解決するために必要なことだけを取り上げるということである。
しかし、仕事に付加価値を加え、なおかつ周囲からも評価されるのは、現代のニーズに合った深い視点からのアイデアである。
そんなアイデアを出すためには、外から舞い込んでくる緊急性の高い仕事のみならず、自分の内側から湧いてくる関心事を深掘りしていくことがものをいう。
これは他人にとっては重要ではないかもしれないが、自分にとっては重要なことである。
この重要な関心事を深掘りしていくと、それがやがてアイデアとして花開き、仕事に付加価値を加えることになるだろう。
しかし、現実問題としては、日々の緊急性のある仕事のみに忙殺され、なおかつそれを処理するだけで満足してしまっているかもしれない。
しかし、ビジョンを持って動くことができれば、重要性の高い仕事にも関心がいく。
重要性にフォーカスすれば自分を成長させ、良い仕事ができるようになっていく。
そして、最終的には周囲や組織に還元していくことができるのだ。
緊急性は誰もが大事にしていることである。
しかし、重要性も大切にしてみると、自分らしい仕事で組織に貢献できるだろう。