歴史と経済60〜過去が繋がる〜
人の人生が人間関係によってできているという部分は見逃せない。
人付き合いを一切断ったとしても社会制度の中で生きていくことになる。
自分の身の周りで起こることは、自分の人間関係の中で起こる。
もちろん、外から降ってくるような幸運や不慮の事故なんかも起こらないわけではないが、基本は自分の認識している人間関係から人生のさまざまな出来事がもたらされるのではないだろうか。
こう考えると、仏教の「縁」というものが大切に思えてくるし、不思議にも感じる。
人間同士の出会いの不思議。
そして、ただ一度しか会わなかったとしても、その記憶が脳裏に焼き付いて離れないということもある。
10年間何もなかった人間関係が、自分の境遇の変化に伴って再始動するということもある。
誰もが自分の人生を生きている。
自分の運命が変転することもある。
多忙を極める時期もある。
幸福の絶頂という時期もあり、修行中の時期もある。
どん底にいるという時期もあるだろう。
そうしたタイミングで必要な時期に必要な人が現れて来る不思議さがあったり、自分がここまで来る道のりを人が運んでくれたと感じる瞬間もあるだろう。
そうしたことから人間関係を断つ決断や人間関係を大切に生きることについても学ぶことができる。
社会に何らかの形で貢献したいと思っても、そこには人間関係が必ず生じてくるだろう。
そうした状況において、思い通りにならないことも出てくる。
むしろ、それが日常茶飯事だと言ってもいい。
人間関係の生み出す世界で自分が生きていることを念頭におき、今の自分の人生を振り返る。
そして、人間関係によって運ばれてきたこの人生を実感する。
人間関係がつながり始めた時、また自分の人生の鼓動を感じる。
人生という道を歩む上で時に振り返りながら、前を向いて歩む。
この往還によって、地面を確実に踏みしめて人生を前に進めていくことができるのではないだろうか。