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全国通訳案内士を7回受けて、思うこと

全国通訳案内士試験は、コロナ前はお盆明けすぐの時期に1次試験が実施されていた。
この試験は、外国人観光客に外国語で日本の旅行を案内するということで、社会科で扱う内容と英語の能力が要求される国家資格試験だ。

受験科目は外国語(英語)、日本歴史、日本地理、一般常識、通訳案内の実務
私の場合は、日本歴史と一般常識は免除規定をクリアしていたため、実質3つの科目を受験していた。
難易度は年によって変わるが、国家試験だけあって、どの科目も一筋縄ではいかない。
日本地理に象徴されるように、学校の社会科の教科書で扱う内容よりもさらに深く踏み込んだ内容となっている。
旅行を案内するのだから、現地のディティールな情報が必要になるのは当然なことだ。
しかし、社会科が好きな私にとっても、こんなにも日本の観光地について知らなかったのか、と思わせるに十分なコンテンツとなっている。
他の科目も市販のテキストで太刀打ちできない難問が問われることもあり、免除規定となる資格試験を受けた方が早道だと感じることが多かった。


何せ、このハードな1次試験の全科目に合格すると、次は2次試験の口述試験がある。
こちらはさらに準備のいる試験だと言われることが多い。
内容については、以下を参考にしていただきたい。

2021年度全国通訳案案内士試験
https://www.jnto.go.jp/jpn/projects/visitor_support/interpreter_guide_exams/


私は、この試験に7回挑戦して未だに受からずにいる。
準備もそれなりにかかることから、1発で受かる人と比較すると、毎年しないでいい苦労をしてきたと、言えるのかもしれない。
一度受かった科目も、翌々年には復活するシステムとなっている。
かつて合格した科目を再び受けなければならない羽目になるのだ。
それでも、2次試験に進んだことは二度あった。
しかし、もう来年はやめておこうと考えている。

私が何を言いたいのかと言うと、こんなに気が滅入るようなハードな試験であるにも関わらず、会場には熱心な受験生が参考書を片手に勉強する姿が見られるということだ。
私も自分が受からないといけないがために、そんなに周囲ばかりを気にしているわけではなかったが、お盆も休まずに勉強し、試験の合間も黙々と熱心に勉強する姿勢のある人が日本にこれだけいるのか、と。
今思えばいい光景だったと実感するのである。
年齢層は中年以降の方が多く、若者はむしろ珍しい。
仕事を抱えながら、受験される方がほとんどであろう。
そして、多くの方が全国通訳案内士に転職するわけではないと思う。
それでも、自分のスキルアップや経歴になることも鑑みて、挑戦しているのだと思う。
このさまざまなチャレンジングな姿勢を目にして、共鳴するものを感じていた。

そして、私が勉強してきたプロセスも決してただの無駄にはならなかったように思う。
今でもオンライン英会話は毎日30分必ず受ける。
流暢な英語とは言わないまでも、何とか意思疎通ができるまでにはなった。
ネイティブキャンプで世界中のさまざまな国籍の人と自宅にいながら話せるようになったのは、ある意味、私の理想の体現であった。
セルビアの歴史について深く教わることも何度もあるのだ。
英語学習に関してもやり方を変えれば、劇的に向上する可能性を内包している。
この可能性を残しながら、日々取り組むことができるトレーニングを継続できている点は大きいと感じる。
また、英語で文章を書くことを依頼されたこともあり、それがとある学術誌に掲載されたという経験もした。
別に英語が堪能でなくとも、勉強する姿勢を周囲は評価してくれることもあるということだろう。


元々、受験の動機としては英語を読むのは好きだったけど、話せるようになりたかったというのが第一にあった。
「そこまでできて、英語ができると言えるのではないか。」
個人的にはそのように考え、なぜ英語を学校で学習しても話せるようになれなかったのかと疑問に思っていた。
外国人がイキイキと英語を話す姿を見て、「何だかなあ」という気持ちがしていたのだ。
その思いは、未だに途絶えることなく、むしろ生き方になったといっていい。
向上を求める姿勢に転化するとき、そして全国にそんな人が多くいることを知った時、結果がうまくいかなかったとしてもそれはそれで価値があったと言えるのかもしれない。
今後のチャレンジの道もまた、どうなるかは未知数だが、全力を出せる場所を探していくことが大切なのではないだろうか。

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