告白水平線[ショートショート]
「卒業おめでとう!」
推しのアイドル、サンちゃんが
ホライゾンから卒業する日が来てしまった。
「君なしの人生は、もう考えられない。
真っ暗だった僕の毎日に光を灯し、生きる喜びを与えてくれたんだから。
なんだか、遠い存在になってしまった気がしていたけれど、
また、こうして話すことができている。
戻ってきてくれて嬉しいよ。」
本当の気持ちをひた隠し、凪の心で淡々と思いを語る。
そんな、僕の思いを知ってから知らずか、
最後だというのに、彼女はいつも通りの眩しすぎる笑顔だ。
「デビューから卒業まで、いつも見守ってくれてありがとう。
何があっても変わらずに、応援してくれるファンのみんながいたから、
私、思いっきり輝けたの。
カイさんの事、絶対に忘れないからね!」
彼女の言葉は、温かいオレンジ色の絵の具を注ぐように
僕の心の中にジワジワと広がる。
僕達の思いは、いつまでも交わることない平行線。
それが掟。
サンちゃんのいない日常は、僕をまた暗闇へと引き戻す。
*410字
*この作品は、たらはかにさんの企画に参加中です。
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