M-1グランプリ2021評(事後考察) ~関西人弁護士のお笑い日記~

1 はじめに

 クリスマス真っ只中でこの記事を書いています。
 なぜならば、私が今年のM-1及びM-1関連の記事を読み疑問に思っていたいくつかの事柄について、自分なりに謎が解けた気がしたからです…勝手に「M-1からの脱出」に成功した気分!早く書きたいぃぃぃ!笑
 昨今の流行りである「M-1後に演者自身&お笑い芸人が語っているメディア」を踏まえ、自分なりの考えもミックスしてそれぞれの謎を解いていきたいと思います。
 参考メディアは以下のとおり。確認ができないものもありますので多少の誤謬はご了承くださいませ…!radiko聞ける間にできる限り検証するので…!!

【参考メディア】
#M1打ち上げ byストロングゼロ ~みんなよくやった!笑って乾杯!〜

漫才サミットのオールナイトニッポン(2021年12月21日放送)

銀シャリのおトギばなし ep.43 M-1の話

ナインティナインのオールナイトニッポン(2021年12月23日放送)

2 なぜロングコートダディは高得点をとれたのか

 前回の記事に記載したように、「彼らはまだ全国区ではないのでキャラが浸透していないのでそこまで高得点は取れないかな」と予想したものの、実際ばっちり高得点(649点)をたたき出しました。
 皆さんもご存知のようにネタの発想や構成が抜群に面白いのは勿論のこと、予選敗退時のコメント(コント?)も含め2人のキャラクターもすごくすんなり浸透した印象が強い。それは何故だろうと思っていたのですが、銀シャリのポッドキャストで謎が解けました…(以下の引用はところどころはしょっています)

鰻さん「ワニになりたいって言いだしたやんか、兎が。あれホンマの話やねんて。ホンマにワニになりたいから堂前が作ってんて」
「なんでワニなんやろうって俺もずっと思っててん。ホンマに兎が思ってんねんやったら『あ、だからか、しっくりいってんの』って」
「体重乗ってんねんって、ホンマになりたいから」

銀シャリのおトギばなし ep.43 M-1の話

 …めちゃくちゃ分かる!!!!!
 
この本心からの希望だからこそ、①ネタの導入に違和感を感じることなく観客がスムーズにネタに入れた②兎さんの天然キャラが無意識のうちに理解できたということに繋がり、最終的に高得点となったのではと思う訳です。

 ってか、ワニになりたいってところからあのネタに昇華させた堂前さん、やっぱり天才すぎるやろ…笑

3 なぜ真空ジェシカの得点が伸び悩んだのか

 私の超絶お気に入り、真空ジェシカ。ネタも彼ららしさがふんだんに盛り込まれた構成で、ネット上の反応もかなり良かったという印象。
 しかしながら、点数は638点の6位タイ。過去の大会であれば最終決戦に進めるぐらいの水準であるとはいえ、今年は最下位でも628点というインフレ傾向でもあったため、やはり伸び悩んだと評価せざるを得ません。
 その理由は何か、自分なりに考察。

(1) ボケが万人受けしないものだった

 これは上沼さんが言ったところからも分かるようにかなり明白な点。
 ジャイロボールや二進法、ハンドサインなど、(私のような)ネット民であればちょくちょく目にするトピックが盛り込まれたボケでかなりの笑いは観客席から起きていましたが、どうしてもついていけない人もいたような模様。漫才って大学の講義と一緒で「一度乗り遅れると、その後追いつくのが難しい」ものなので、上沼さん(89点)含め審査員の点数も伸びなかった(本来評価されるべきの部分が刺さらなかった)のではないかと思います。

(2) ランジャタイの勢いを押し返しきれなかった

 M-1分析の代名詞、ナイナイ(岡村さん単独時代も含め)オールナイトニッポンのノンスタ石田さん出演回でこの点について石田教授がずばり指摘されていました。

石田さん「実は、後半の“跳ねきらない”というM-1を作ったのは、ランジャタイですよ。ここで、おバカMAXもやって、スピードも結構速いのやって、熱量も出したんです。なので、熱量を出す漫才師も熱量があるように見えなかったし、おバカをやるのもアレほどおバカに見えなかったし、スピードもそこまで速く見えなかったという……。ランジャタイが後半の抑止力になったというか。」

ナインティナインのオールナイトニッポン(2021年12月23日放送回)

 …さすがの石田教授すぎる。
 要するに、真空ジェシカはどちらかといえば淡々と練られたボケとツッコミで笑いを積み重ねていく「静」のスタイル(その極限は今回の決勝組でいえばオズワルド)に対し、ランジャタイは真逆の「動」。それを先に見せられた審査員&観客からすると、どうしてもランジャタイの勢いと無意識のうちに比較してしまったのかなぁと思います。

(3) 1ボケ2ツッコミによるテンポ感

 これは完全に私の私見(のつもり。もし他メディアとかで誰かが言っていれば教えて下さい!訂正する!!)ですが、今回のネタは特に「1ボケ2ツッコミ」をベースにしていた印象があります。
 具体例をあげるとこんな感じ。

具体例①
川又「どうもー、CDTVのメガネのやつでーす」
ガク「言うとしたら僕ー!」(ツッコミ1)
  「CDTVのキャラに似てるのは僕だから」(ツッコミ2)
具体例②
川又「どうも、これ隣町の地図…踏めますか?」
ガク「人間性終わってる!」(ツッコミ1)
  「よくこんな人に票が集まったな」(ツッコミ2)

M-1グランプリ2021 真空ジェシカのネタより

 今回のネタは基本この構成で、「川又さんのボケに対して、まずガクさんが一発ツッコミを入れ、その後追いツッコミを入れる」だったと思います。
 これで結構うまくいった箇所もあったのですが、どちらかというと追いツッコミのせいで笑いの連鎖が起きにくくなっていた印象を受けます。(一度この視点で見直してみてください。追いツッコミの部分での笑いは殆ど一発目のツッコミに比べて小さいです。)
 たとえばM-1チャンプの霜降り明星やミルクボーイも一発目のツッコミ&負いツッコミを用いるスタイルですが、結構意図は明確なイメージです。

 霜降り明星:粗品さんの一発目のインパクト大の一言ツッコミの補足&次への流れのための説明
 ミルクボーイ:一発目の「ほな○○やない(やない)か!」を成立させるための「にこいち」の追いツッコミ(丁寧なツッコミ)

 これらに対し、真空ジェシカのガクさんの追いツッコミは若干位置づけが明確ではなかったような。一発目のツッコミだけでも十分成立するくらい面白いので、そこはテンポを重視して割り切る等した方がもっとそれぞれのボケツッコミのセットが繋がって笑いの波が起きたんじゃないかなぁと思います。要するに「1ボケ2ツッコミの構成のため、それぞれのセット間に区切りが生まれてしまい、テンポが若干だが悪くなり笑いの連鎖が起きにくかったのではないか」というのは私の分析。どんなもんでしょうか…

4 さいごに

 本当はもう一つの謎、「本当にボケ重視の時代がきたのか」という記事についても言及したかったのですが、そろそろ朝ごはんの準備があるのでこの辺で。また機会(書く時間)があれば書きます!!

 皆さんも今年のM-1をみて気づいた点があれば教えて下さい!!

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