アナリストレポートの内容~証券会社ごとの値動きの特徴
株価レーティングで上昇銘柄を発掘するためには、証券会社の特徴を把握し、値動きのクセを掴むことが重要となります。
アナリストレポートをリリースしている証券会社やシンクタンクには、規模や抱えている顧客などそれぞれ特徴があり、「株価レーティング」で推奨した銘柄の値動きのクセを知ることができます。
証券会社では、自社のアナリストが調査したレポートを用いて、機関投資家などの大口投資家に銘柄を勧め、売買手数料を稼ぎます。
過去にはアナリストがレポートをリリースする前に顧客に買わせて、値上がりしたときに売り抜けるといった事件がありました。
しかし、現在は同じ証券会社内でも、アナリストレポートをリリースする調査部門と、自己売買などの運用部門はファイアーウォールで情報が完全に遮断されており、このような利益相反行為ができなくなっています。
証券会社は大きく分けて、野村證券、SMBC日興証券、大和証券などの国内系と、ゴールドマン・サックス、JPモルガン証券、クレディスイス証券などの外資系があります。
とりわけ、世界各地に拠点を置く外資系は規模が大きく、先物やオプション取引などのデリバティブや信用取引を積極的に駆使し、利ザヤを追求することを目的としているヘッジファンドが主要顧客であることが多いです。
具体的には、ゴールドマンサックスやJPモルガン証券は世界経済の動向を見極めて有望市場に投資する「グローバルマクロ」が多く、クレディスイスやモルガンスタンレーは大きな相場の流れに乗る「トレンドフォロー」を採用するCTA(商品投資顧問)などのヘッジファンドが多いようです。
このように、国内の機関投資家や個人投資家が中心である国内系と比較しても、外資系は株式市場における影響力は大きいといえるでしょう。
言い換えると、外資系証券の「株価レーティング」は国内系に比べて株価インパクトが強いのです。
また、機関投資家の意思決定のスピードにも大きな違いがあります。国内の機関投資家はアナリストレポートがリリースされてから実際に投資するまで1~2カ月程度かかります。
一方、外資系は数週間、早ければ数日というように意思決定が早く、短期で大きく値幅を取りに行くという特徴があります。
しかし、外資系証券のアナリストレポートは個人投資家では入手が非常に困難であること、機関投資家より先に仕込むことための時間的猶予が限られていることを考慮すれば、株価インパクトは比較的大きくないけれども国内系で安定的に稼ぐことの方が資産形成の近道になると私は考えています。