ライダー&庵野ファンの私は心スッキリ!「シン・仮面ライダー」観たよ。

 第一印象「いや、評判よりもずっと面白く観られたな
 ってー、感じだった。

 いや、そうとしか言いようがないんだよな…………。
 とはいえアマプラ版で観たので、聞き取りづらい部分は日本語字幕で拾えたし、後半のショッカーライダーたちとの戦いも映画館で観たという方が仰るほど暗くもなく観られたので、そこは若干の環境の違いがあったんだろうな~くらいには思うけれど。

 ストーリーのアウトラインは実に仮面ライダーをしている。
 「改造手術で異能のチカラを得た本郷猛がマスクの下に悲しみを隠し、ショッカー打倒の為に立ち上がる」ぐらいのアウトラインだ。
 換骨奪胎というのかな。そこに庵野監督が手持ちのエッセンスや特撮愛を結構……かなり……だいぶ……強めに注入して新生したのが今作。という見方。


 やっぱり強烈な特撮・仮面ライダー愛が炸裂しているので、サイクロン号を駆って受けた風のチカラを得る事で変身が可能になる点や、メットの下には改造手術のアザが浮かび上がる演出。それに怪人やショッカーによる改造を受けた命が絶命する際は泡になって消えちゃうところだったり、初代「仮面ライダー」の印象的な要素はしっかりと抑えてある。
 地味に「足を折った一号に代わり二号が登場」がオマージュされていた点なんかは凄くニマニマきてしまった。

 そりゃあもちろん本郷猛がいわゆるコミュ障と言われていたり、各怪人のデザインなんかも大きく変わっている。
 それでも「シン・ゴジラ」や「シン・ウルトラマン」を経て、私の中で「庵野監督が手掛けたシン・特撮は原作を大切にしながら新鮮な切り口で物語を魅せてくれるもんな~」という、言わば信頼感にも似た感覚がある程度あったからか、そこまで大きな違和感を感じる事はなかったかな。



 とまぁ、擁護的な口調が目立つのは、とにかくこの映画が2月だったかの公開時点では周りの特撮ファンからあまり良い評判を聞かなかったからだ。
 私の場合、SNSなんかでも特撮ファンのアカウントをフォローしていたり、職場にも庵野秀明展に足を運ぶくらいの、いわゆる”濃ゆい”ファンが居るので、感想を見聞きする機会は多かったので。

 で、まぁ、結局「絶対アマプラさんにも来るだろうから、それで観られれば良いかな……」に落ち着いてしまった訳だけど。
 因みにその選択そのものはそこまで問題でもなくって、事実、公開から半年足らずでアマプラさんに来てくれた訳で、私はフライパンでパチパチ作ったポップコーンなんかを食べながら楽しくマイペースに観られたので。

 登場した怪人オーグメントはクモオーグ、コウモリオーグ、サソリオーグ(これはライダーが打倒した訳ではないけれど)、ハチオーグ、カメレオン+カマキリオーグ。
 そこからバッタオーグたちショッカーライダー、ラスボスはどういう訳か腰にチカラとワザのダブルタイフーンを巻いたチョウオーグ。


 夕日、電線、線路、段差のあるあの”ああいう感じ”のビル。などなど。
 「エヴァ」なんかでも印象的に使われていた背景なんかがふんだんに盛り込まれていて、観ながら「あぁ~! 庵野監督ってこういうのホント好きだな~!!」って。楽しみながら観られた。
 クモオーグの特徴的な口調なんかは「シン・ウルトラマン」のメフィラス星人を思い出したりして、そういう点も地味に好み。
 最終盤、一号の被せたメットの中でルリ子と対話を果たすイチローなんかは「これユイさんと邂逅を果たせた碇司令じゃないの?」って思わず口をついて出た。


 そんな感じで、仮面ライダーはもちろん好きだし庵野監督作品も楽しく観られてきた私は基本的に好印象なんだ、この映画。

 前述の通り本郷猛はコミュ障気味の青年──これには理由があるし作中でもしっかりそれが提示されていたが──だし、相棒格の緑川ルリ子も中盤以降は少しずつ表情が和らいでくるものの堅いイメージのあるキャラクターだったので、途中から参戦するようになった仮面ライダー第二号・一文字隼人の明るい人柄と口調が良い塩梅に暗さを中和していてそれも良かった。

 まぁ、一号対二号が空中でバチバチ格闘するシーンは「ドラゴンボールみたいだな!?」ってなったんだけれど、アクションに関しては昭和的というか、平成以降のライダーでよく観られるケレン味の効いたものはやや控えめで(それでもハチオーグとの刀を使ったバトルなんかも好き)、しっかり肉弾戦! って感じの描写が比較的多めでそこも個人的には好みだった。
 いや、アクションといえばラスボスのチョウオーグとの素人タックルの掛け合いみたいなシーンは正直いかがなものかって気はしたんだけれど、あれはあれで「剥き出しの本能で泥臭くぶつかり合う戦士たち」みたいなのを演出したかったのかな……? と、こう……好意的に……観て……いやあればっかりはやっぱりダサかったかな……。

 前述の通り、仮面ライダーも庵野監督作品も好きな人の目から観れば「好きな事やってるな~、これはこれで面白いな~!」って思えた。


 最後は「これからも仮面ライダーとショッカーの戦いは続いていく!」と言わんばかりの爽やかな終わり方で、ええ感じの軽やかな曲が流れ……って思ってたら\チャーン!!/\ドンッ/……テケテケテー↑ テケテケテー↑ テケテケテー↑ テケテケテー↑ テケテケテー↑  と「レッツゴーライダーキック」が流れ始めたのも含めてムチャクチャ良かった。


いややっぱり結構暗いな?


 一番好きなシーンは一号、二号がトンネルの中で目を光らせてグッ! とポーズを取るところ。キュイーン!! こういう画。こういう「特撮大好きなやつ」が喜ぶようなツボを随所に抑えてくる。たまらねえ! もっと早くに観りゃあ良かったぜ!!


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