久しぶりに観た「仮面ライダーオーズ」が思った以上に一気観向けの作品だった。
ひょんな事から観返す機会があったんだ「オーズ」。
せっかくだし、せっかくだから、当時の思い出と絡めてダラダラと書くよ。
──いや、正確には3話~タジャドル回、そこから翌週にはプトティラ回~45話くらいまでを観て、その翌日に最終回の48話まで観たので、10数話ほど抜けている部分はあるんだけれど、まぁ、概ね「観返した」と書いてもそこまでバチは当たらない気がする。
見逃したのは1000回記念回とかバース・デイ初登場回とかシャウタ初登場回とかだろうか? まぁ、その辺は全編通してもそこまで印象的な回は……あー……バッタヤミー回とかは結構見ごたえがあった気がする。
「オーズ」のメイン脚本はそれまでのライダーなら「龍騎」、それに「電王」ではメインライターを務めた小林靖子さん。特撮畑からの方というイメージがあるけれど、最近観た脚本作品だとやはり白眉は「岸辺露伴は動かない」だろうか。「ジョジョ」とは切っても切れないスタンド要素を大胆にバッサリとカットしながら「世にも奇妙な物語」のような現代ファンタジー風に舵を切ったのは(どなたの発案かは知らんけど)”巧い”と思った。
ここのスタンド要素をカットして~という部分は真正面から「ジョジョ」と「スタンドバトル」に向き合おうとした実写版「ダイヤモンドは砕けない第一章」と好対比になっている気がするが。
まぁ。
まぁ。
結果は見ての通りだ。
人間は何かを破壊しながら生きていると言って良い生き物だ。
「オーズ」の話に戻そうね。
遡ること2010~11年か。当時はリア(ル)タイ(ム視聴)していた。
当時は「ディケイド」から久しぶりにライダー作品に戻ってきたようなもので、前年の「W」も物凄く面白かったので「オーズ」も中々の期待感を持って観ようとしていた気がする。
左右二分割から上下三分割とは、興味深い。
それでいて「現場型探偵」と「安楽椅子探偵」のバディモノから、今度は「無欲な旅人」と「欲望の化身」という、探偵同士のバディとは一味違う緊張感のあるバディモノ……という切り口も良かった。
それでいてこの無欲な旅人──主人公の火野映司は「楽して助かる命がないのは、どこも同じだな」と分厚そうな人生経験の片鱗を覗かせたり、「人の命よりもメダルを優先させるな!」という印象的、かつ「火野映司というキャラクターを端的に表する台詞」を早い段階でお出ししてきたのも良い。
これが2話で、平成ライダーというのは大体8話くらいまでは予算もガシガシ使って面白い画作りをしてくれる傾向にあったのもあって、これでリアタイの最序盤の期待度はかなり高かったんじゃあないかな。
当時は別の地方に住んでいる友人(この男もまた特撮オタクであった)とワイヤレスアダプタを繋ぎ、X Link Kaiというソフトを介してモンハンのP2Gだったか3rdをしていた記憶がある。
因みに称号は「コンプリートD軽弩」だった。
駆け抜けろそのクロニクル。
……で、まぁ、大体10話くらいまで観た頃の当時の印象が
・戦闘に緊張感がない
「はい変わったー」辺りで思ったんだったかな。
これは鴻上とアンクがメダルの取り分で言い争う回だった気がするけれど、人の命を大切にしてる割には戦闘のところどころでコミカルな動作を入れるのが当時はどうも好きになれなかった気がする。
アルマジロ+ウニヤミーを殴る度に痛がる動きとかね。
(まぁ、これは中盤頃の合体ヤミーなんだけれど)
・前後編のつなぎ方が下手
ネコヤミーに放った初のタトバキックがカザリの投げたコンクリブロックのお陰で不発したり、サゴーゾでシャムネコヤミーをセイヤーしようとしていたら向こうの坂からヤミーの親の女医が転がってきて水入り……だとか。
予算の関係で前後編になるのは分かるんだけれど、それにしても繋ぎ方がヘッタクソだな~と思う回が、まぁまぁの回数あった。これは後述の一気観で解消される部分なんだけれど、なにせ当時はリアタイだ! 「このヒキで次週まで待つのかよ~!」とは何度かなった。
……それも、今にして思えば毎週期待して観ていた、という事の裏返しなのかも知れないけどもさ。
で──。
大分類すると不満はこの2点に集約されていた気がする。
後は細かい部分で言えば「敵味方入り乱れてのメダル争奪戦」を前面に押し出している割にはトラクローでゾブッと腹パンしたら一気にコンボ可能な枚数のメダルが抜き取れてしまう……なんかはちょっと雑に感じてしまったりとか。
まぁ、そんな感じで当時は「トラクローさんwww」とか「ツギハハズサナイ」とか「三枚は、どういう集まりなんだっけ?」とか言いながら過ごしていた気がする。
あと「MOVIE大戦CORE」に於けるオーズパート「ノブナガの欲望」が酷かったのもある。
あれも本放送が始まる前に脚本が上がったとかいう話らしく……。
バースに変身するのが後藤さんだったり「ギル」なる恐竜グリードが名前だけ登場したり、まだまだ設定が固まりきっていなかった頃が感じられて、なんなら今観返したら逆に面白く観られるのかも知れないけれど、当時はとにかく「『ノブナガの欲望』とはなんだったのだろうか」と思っていた。
……いや、既に本放送も終わってスピンオフ的に「スカル」の物語が描けた「W」とセットで上映されてたのも不利な一因だったのかも知れないけどもね。でも吉川晃司さんと大黒摩季さんのデュエット曲のEDは今でも割と好き。ハァー↑トブレイカッ(デデデーン♪)ってやつ。
まぁそれでも「振り返れば結構面白い作品だったよな」程度には気持ちが落ち着いてはいた。
出演する映画でいえば前述の「ノブナガの欲望」を含む「MOVIE大戦CORE」、夏映画に当たる「将軍と21のコアメダル」。そこから「仮面ライダーアクア」を含む「MOVIE大戦MEGAMAX」に、映司が活躍する「レッツゴー仮面ライダー」「スーパーヒーロー大戦Z」辺りも観た。
|なんかもう一作観た気はするけれど思い出さないようにした。
《「復活のコアメダル」の話は一旦避けようぜ》
特に「将軍と21のコアメダル」は小林靖子お得意の映画村や全フォーム集結のラストバトルだったり、画的にも派手、かつ「俺の欲望は、こんなものじゃ満足しない!」と相手との交渉を逆手に取って出し抜くクレバーな映司だったりと見どころも多かった。
いや最大のオモシロ要因はやっぱり上様なんだけどね。
南蛮のメダルを使った劇場版限定コンボだったり、それに前年の「W」から引き続き「次のライダー顔見せ」としてフォーゼが登場したのも良かった。
そこから数年も経てば前述2つの不満点なんかも次第に薄れてきて、「当時は微妙な気がしたけれど振り返れば」という評価に落ち着いてきた訳だ。
というか、書いていて前年の「W」が好き過ぎてそれとつい比較してしまい……みたいなパターンが我ながら結構多いな。そこは「オーズ」単体で観る人とは少し違う、そこもリアタイならではのバイアスがかかっていたんだろうかなと今書きながら思った。
そうして時は流れ2023年──令和になった今観ると
・もう「電王」の時点でバトルに緊張感なんてなかったしなと悟る
もう私自身の精神的成長としか言えん……。
そりゃそうだ……。
後はまぁ、少々の粗(と、呼べるのか? これ)ではさして動じないというか、当時以上にライダー慣れしてきてしまっているからか、もはや何とも思わなくなってしまった。戦いってのはノリの良い方が勝つんだよ。
・一気観できるので前後編のつなぎ方が全く気にならなくなる
こういう強みが生まれる。
前作「W」はもちろん好きだけれど、その「W」との比較も当然、薄れてきている。なにせ繋ぎ方自体が少々拙かろうが一週間と言わず即座に次の話が観られるので、前述の女医さんだって即座に「院長先生の本当の願いは『技術だけでなく命を預かる緊張感』を持って欲しかったんだな……!」みたいな話への関心にブッ飛ばされて終わる。
なんなら「1000回記念や東日本大震災の影響でシャウタコンボが出しづらくなる等の制約がありながらも48話の尺で見事オモチャの販促とドラマを両立させたな……」という感想が漏れ出てくる、今にして思えば、このタイミングで再度視聴したから気付けた名作ポイントがあったりもした。
30話くらいに最強フォームのプトティラコンボが登場する訳だが、ここからの怒涛の展開が一気見でストレスなく楽しめるのは良い。 ロストアンクとの決着、伊達さんの退場&後藤さんのバース就任→後の伊達さん復活、アンクの離反、ここにきて一気に映司の掘り下げ、最終回はまさかのウヴァさん大活躍にもはや伝説級のカッチョ良さだったタカ! クジャク!! コンドル!!! ……と、縦軸の物語が一気に動く上に、映司の事が好き過ぎる北村くん回などの横軸のエピソードも印象的なものが多い。
特に最終話近くになると次々とグリードが退場していくので毎回バトルにも見応えが出てくる。この辺りはメイン脚本を担当する小林靖子さんが以前担当していた「電王」の終盤でイマジンが次々と戦線離脱していくのを思い出してしまったりもして地味に楽しい。
あとは地味に意外な事にDr.真木が早い段階で出てきている。
たぶん1桁話くらいから出てきていた。
もうネタバレするけどこの男はラスボスなので、正直イメージ的にはバース、伊達さんとさして変わらない時期くらいに登場していた気がしていたので「最終的にラスボスになる相手が物語序盤から登場している」のが好きな私は個人的に嬉しかったりもした。
でもちょっと姉と智世子さんへの執着がエグ過ぎてキモかったゾ。
まぁそんな感じ。
次は順当に「将軍と21のコアメダル」でも観返そうかな。オレ!