既知勢にしっかり舵を切った「艦これ1944」観てる。

 「艦隊これくしょん~艦これ~」の新作アニメ「艦これ1944 いつかあの海で」が始まっていた。

 「艦これ」というとリリースが2013年(だったっけ?)のDMMのブラウザゲーであり、当時は一枚絵でバトルも当然オート。DMMたる所以の成年向け演出は艦娘が大破した際に脱衣描写がある程度で、正直2022年の今見るとパッとする要素もないし、何ならもっとヌルヌル動いて操作性もあって成年向け演出・描写が過激なゲームは幾らでもあるんだけれど、まぁこれが当時大ヒットした。
 旧日本海軍の魂を受け継ぐ少女「艦娘」と海から突如として現れた謎の侵略者「深海棲艦」のバトルはDMMブラウザゲーという事もあってその公式設定のふわっと感からか、その一昔前の東方projectブームの再来かのように大いに二次創作が盛り上がり、抜きん出た同人作家は今は商業デビューや作品のアニメ化や実写映画化を果たしていたり自宅に三角コーンが送られたりもしている。

 で、そんな艦これが2015年初頭に一度アニメ化した際はもうみんなワクワクしたものだった。因みに私はリリースちょっと後の人気が出た頃から遊んで、最期にマジメに取り組んだイベントは2015年夏イベとかだったろうか。神風とウォースパイトがクリア報酬で貰えた回のやつね。

 まぁ、その最初のアニメに関しては、こう。
 あれだ。
 どうしてもコメディ、日常ほのぼの回とシリアス回とスポ根回の配分が難しかったんだろうかなーとか、細かなところで言えば艦娘の設定描写にツッコミどころがあったり、具体的には「メガネがないと見えない」とゲーム内で言っていたはずの霧島が本気モードでメガネを外してしまったりと色々あって、全体的にはそこまで好評ではなかった記憶がある。
 私個人はDMM発のブラウザゲーが大ブームになって2年でアニメ化までして、スタッフだって四苦八苦した上で色んな要素を詰め込もうとし過ぎた結果ああなってしまっただけであって、何なら当時は「動きながらゲーム内の台詞を話す艦娘」が観られただけでも価値とワクワクがあった作品だと思っているんだけれど。
 まぁ確かにちょっと1クールアニメとしてはそこまで評価高くないってのは分かる。旬のものというか、後年評価されるタイプの作品でもないしなって。

 後はなんだろうね、プレーヤーが「提督」となって艦娘を指揮するゲームという設定上、提督の描写に苦心したんだろうなぁというのは当時思った記憶がある。
 コレに近い感覚だとプレーヤーが「プロデューサー」となってアイドルをプロデュースするゲーム「アイドルマスター」シリーズのアニメは上手いことやったなぁって思っていて、艦これが「提督を直接描写しない」方向に進んだのに対してアイマスは「プロデューサーもキャラクターとして登場する」方向で進めて、何なら「シンデレラガールズ」のプロデューサーは武内Pなんて呼ばれてファンに親しまれたりしていた。女性向けの「SideM」では石川界人さんだったかな。私はアレも好きだ。
 というか「SideM」は女性向けのゲームで男性アイドルをプロデュースするゲームなんだけれど、アニメ版は男性の私でも楽しく観られたよ。
 柏木翼が好き。いっぱいご飯食べさせてあげたい。パッション


 話を艦これに戻すよ。
 映像媒体という事でならその翌年の2016年に「劇場版 艦これ」がある。
 こちらは今の「いつかあの海で」に比較的近い味付けで、ハード目のバトル描写に艦娘とは、深海棲艦とは……という根幹部分にも触れてきた作品だったのだけれど、アレもどうだったんだろうな? アマプラさんに来ているので見返したい気持ちはあるけれど、当時一緒に観に行った後輩が視聴後に感想を話そう! って入った喫茶店で
 「前の席に等間隔でハゲの人が並んでました。探照灯ですね
 って言ったせいでホントに全部ブッ飛んでいってしまった。
 それなりに引き込まれる「艦これ」解釈の映画だった記憶があるんだけれど探照灯のせいで Just tell me my life 目が眩んで何も思い出せない。


 で、ようやく話が「艦これ1944」になる。
 あんまり史実に関しては詳しくないので私の説明はふわっとしたものだ。もっと詳しい人間はTwitterランドなりにワンサカ居るだろうからそういう人たちの話を聞いた方が作品への理解も深まると思うんだけれど、とにかく西村艦隊と呼ばれた艦隊をモチーフにした艦娘たちがレイテに向かう話だ。
 なんかOPがX JAPANのToshiさんとしても知られている龍玄としさんだな。
 地味にムチャクチャびっくりした。まぁいい。

 これが第一話から結構ハードな話が展開される。
 15年版では主人公格の駆逐艦吹雪がドキドキワクワクしながら鎮守府に着任してがんばります! していたのに対して今作では仲間が退役したりブッ飛ばされたりしてズタボロになった駆逐艦時雨がオトリ部隊に配属されて~、という、もう早速なんか曇天のスタートだ。
 
この時点で「あっ、今回はやっぱりハード路線で行くんですね?」って感じがしてくる。
 そしてマジで物語の舞台設定にロクな説明がない。
 たぶん冒頭でちょっとナレーションが入ったくらいなんじゃないか? もう普通に「艦これ」の話が始まって進んであれよあれよという間に海域に出撃してしまう。でもこれで良いと思う。22年にもなって艦これのアニメ観ようって奴なんざ既に何らかの形でコンテンツに触れているだろうから、だったら余計な説明なんて取っ払ってしっかり没入感のある物語作りをする方向に舵を切ったのだとしたら、私はその判断を支持しようと思うんだね。


 思えばやはり15年版アニメは「艦娘同士のキャッキャウフフ」なのか「旧日本海軍の魂を受け継いだ少女たちの悲壮感あるバトル」なのか、そのどっちつかずで進んでしまった事が物語全体を通して観た時の”ブレ”を生んでしまった点は否めないので、ここに来て
 「もうみんな知ってるよね! 『艦これ』だよ!
 と言わんばかりに余計な説明を省き、ドンヨリした雰囲気で海戦描写を頑張ってくれるのならそれはそれで楽しみであるよ。
 ぶっちゃけキャッキャウフフなら優秀な二次創作だってたくさんあるし、それでいえばハード路線の二次創作だってたくさんあるんだけれど、そこは公式パワーで動く映像と声優さんの演技で「公式にしかできない『艦これ』の世界」を描いて貰えれば……なんて思う。

 今度はハード路線の一本芯の入った艦これが観られるという事を期待して、7年ぶりにワクワクしながら先を見届けようと思う。
 あとまぁ最期になるけど私が提督をしていた頃に唯一レベル上限を解放した艦娘が山城だったので、もう山城がなんか動いて戦ってるだけで主観的満点をあげたい。ありがとう制作。山城を動かしてくれてありがとう。









 はい。

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