見出し画像

米国発前川のニュースレター

いつも私のニュースレターを読んでいただいている方には、長らくのご無沙汰です。2月の初めから日本に滞在していました。その間にも米国では大きな動きがありましたね。トランプ政権のす早い政策実行が進む中で、今後どのようになって行きそうなのか、今日は私の予想を中心にお話させていただきたいと思います。今回の写真は、昨年の同じ時期のニュースレターに載せた写真と同じく梅に鶯です。昨年は芝公園、今年は湯島天神です。あまりに定番ですが春を思わす日差しと、寒気が心地よいすがすがしい天気でした。

湯島天神の梅に鶯

【株式・為替市場の動き】
先週、Walmartの2025年の売り上げ見通しが予想に届かなかったことや、オンラインショッピングの売り上げが下がったことなどにより株価が大きく下落しました。市場は景気減速を警戒しています。本日も株式市場は弱く、ダウ工業株は22.93ドル上昇して43,461.95ドル、S&P500は29.64ドル下がり、5,983.49ドル、ナスダックは237.08下落の19,286ドルで引けました。前回1月27日のニュースレターをお送りした時よりダウ工業株、S&P500、ナスダックとも株価を下げています。その一方で、米国債利回りがじりじり下がり、ドル安、円高が進みました。1月27日は1ドル154.51円でしたが、今日は149.86円と約3%の円高、ドル安です。
2月27日にはFRBが重視するPCE(個人消費支出)が発表されます。1月のPCEは低い伸びにとどまり、インフレ上昇の懸念はないとの予想が出ていますので、実際にそうなれば、米国債の利回りがさらに下落して、
ドル安傾向が進み、円高に振れてゆくでしょう。また、長期金利が下がり、住宅ローン金利も下がると予想されます。

 
【不動産・住宅ローン金利動向】 
ゆっくりとローン金利が下がっています。長期金利の指標である、米国10年国債の利回りがじりじりと下がり始め、それに伴ってドル安となり、円高も進んでいます。住宅ローン金利はようやく7%の壁を破って6%台に入り、6.5%を伺い始めました。しかし、最近発表された統計では、中古住宅販売が9月以来の減少を記録。その原因の一つは、住宅購入希望者が金利下落が近づいていることを信じて待っているからだと考えられます。   今年に入って不動産価格の上昇が止まり始めています。HPI(Home Price Index=不動産価格指数)によると、2024年12月から2025年1月には0.1%上昇。対前年比は3.3%の上昇となっています。値引き交渉がしやすくなっています。ただし、ロサンゼルスでは未だに一つの物件に複数のオファーが入る競争になっています。全米で見ると空き家が増えています。程度のいい物件は直ぐに売れていることを示しています。
高額物件の売れ行きがいいのはそれを証明しているのではないでしょうか?
特に$1ミリオン以上の物件が売り上げに占める割合は35%にもなっています。金持ち層が物件を買い、中低所得層が物件価格、金利が下がるのを待っている構図です。中低所得層の住宅購入が難しくもなってきています。今後、トランプ政権が中低所得層がより物件を買いやすくする法改正、ローンシステムを進めてくる可能性が大きいと思います。なにせ、住宅購入は景気を上昇させるのに寄与する大きな要因となるからです。
 
先のLos Angelesの山火事で甚大な被害を受けたPacific Palisades,  Malibu, Eaton地区のでは16,240の住宅、商業施設が焼失しました。この地区の住人の70%は自分の土地での建て替えをあきらめ他の地域に住居を替えています。建て替えに消極的な人が多い理由としては、いまだに飲料水の確保が難しいこと、今後も山火事の発生の危険性があり、火災保険の加入が難しいこと、同地区での居住に心理的な嫌悪感あることなどがあげられます。
多くの住人ははやり同じカリフォルニアの近隣のコミュニティーへの住み替えが多く、以下の地域が主な場所になっています。
Santa Monica, Brentwood, Beverly Hills, Lower Bel Air, Newport Beach。しかし、Scottsdale、AZやLas Vegas, NVへ移住する人もかなりの数いるという事です。Newport BeachだけがOrange Countyでランク入りしています。

 
べバイデン政権の無制限な移民受け入れと高インフレによる生活苦などによる浮浪者増加で住宅不足が急増していました。不法移民だけで1,200万人以上といわれています。(正確な数字は把握できていないようです)
合法移民、浮浪者を含めると人口は急速に増加して、住宅不足も家賃の上昇に拍車をかけていました。(これがインフレの最大の原因)
そこで土地取得、建設が容易な場所では大きく新築の住宅、アパートが建築されました。
これから供給される賃貸用一戸建て住宅の件数が多い州としては、Texas, Arizona, Florida, North Carolina, Georgia, となっており、    中でもTexasはダントツの多さとなっています。(21,812Unit)
また、急速に賃貸物件供給の件数が増えている州はNebraska, Rhode Island, Delaware, New Hampshire、North Carolina, などとなっています。 住宅供給が増えて不法移民の数が減ると、一時的に住宅価格や家賃が下がると考えられますが、海外からの新規工場建設やアップルなど大手IT会社の輸入関税対策としての新規国内投資も増えることを考えれば、家賃下落は長くは続かないと思われます。 
次に、興味深いデータがあります。トランプ政権が政府職員へのオフィス勤務を求める命令を出したのは大きくニュースになりましたが、
一般企業も自宅勤務からオフィスへの出勤を求めている企業が多く増えています。Return-To―Office(RTO)Policyと言われています。
そのため、田舎や大きな家から都心の小さな住居への引っ越しが増えおり、結果として、小さな家に入りきれない家財道具を置いておく
ストレージルームのレントが増えているようです。オフィスに戻らず、住居の近くで新しい職を求める人、全く別の場所で就職をする人などもいるのですが、60%は雇い主の意向に沿ってオフィスに戻るという事です。
 
 
【経済の動き】
閣僚人事もほぼ決まり、正式に動き出したトランプ政権ですが、その政策が米国経済、世界経済にどのような影響を及ぼすのか、経済はどのように動いて行くのかを私なりに予想してみました。 
最近、“Cash from your home”のような宣伝広告がInternet 上にあふれています。これは自宅を担保にしてお金を貸しますよという意味です。
また、Direct Mailでの勧誘も昨年来徐々に増えてきています。一般庶民の収入の上昇よりも、物価の上昇が早く一般庶民は、消費のためのお金が乏しくなり始めています。Credit Cardの使用が増え、使用上限金額に達してこれ以上クレジットカードが使えなくなってきている人が増えているのです。このような状況を認識しているクレジットカード会社はクレジットスコアーの良い人たちにCard使用上限の引き上げをオファーしたり、家のEquityを使ったローンを提案しています。 かつて同じような状況が現出した時期がありました。リーマンショックが起こった2007年ごろです。 当時も同様にクレジットカードの上限引き上げ、金利0%で1年間はクレジットカードが使えるプロモーションなどを知らせるダイレクトメールなどが頻繁に自宅のポストに届いていました。
 
一人勝ちだったWalmart の業績が予想より低かったこと、オンラインショッピングの売り上げが初めて減少したことなど今後の消費減退、景気後退を思わせるニュースが出ました。そのために先週は株価が大きく下がりました。 
来月の企業売り上げのデータ次第では、さらに株価が大きく調整局面に入るでしょう。それだけではなくて、実際に不景気入りが認識され始めるといろんなところに影響が出てきます。一番影響が重大なのは消費者の買い控えでしょう。外食が振るわない話は以前にも何度もお伝えしましたが、レストラン、ファーストフードなどの売り上げが芳しくない業界も多く出始めています。今日はスターバックスが1,100名の人員カットと募集中の数百人の求人の取りやめを発表しました。CEOの発表はさらなる効率化と言ってましたが、平たく言えば、業績不振です。 もう景気後退期に入っていると考えて間違いないと思います。
 
しかし、先には明るい光が灯っています。トランプ革命が進み始めていますので、いずれはその効果が出て景気が上昇してゆく道筋は見えています。ただし、ここ半年、1年の景気低迷は避けられないのではないでしょうか?  
どうして景気低迷が避けられないと言うと、これまでの生活実感もさることながら、これからトランプ政権の政策の影響です。一般的に関税引き上げ、移民の追放はインフレを高進させるといわれていますが、私は逆に、景気減速と消費の減少を引き起こすと考えています。前回のトランプ政権の時の中国に対しての関税引き上げでも、インフレはほとんどなく、中国からの報復関税もあり、景気が後退しました。輸入関税が掛けられると、輸入業者は値引きを輸出業者に要求をし、何とか価格の維持に努めます。また、関税を掛けられた国は景気悪化懸念から通貨の下落が起こる可能性が高く、それも輸入コストを下げる原因の一つになります。
それでも対応できない場合は、輸入業者は自社の利益を削って価格維持をするでしょうが、最後は値上げに踏み切ります。そうなると景気後退始めている米国の消費者は購入を控えます。消費の減退はさらなる景気後退を招きます。そうなるとFRBは金利を引き下げて景気対策に入ってゆきます。日本で流れているニュースは米国の左派系の報道機関のニュースがほとんどですから、トランプの政策は間違いだという論調ですが、実際そうではないと思います。
 
トランプの政策は確かに、一時的に景気を後退させるでしょうが、それは次の飛躍への助走をするための地ならしですね。移民の追放ですが、全米に散らばった1,000万人とも2,000万人ともいわれる不法移民を一人残らずどうやって見つけて強制送還するのは難しいですね。特に何らかの方法で職を得て働いている人たちを強制送還するのは最後で、まず、犯罪者、就労せずに避難所や仮の家に収容されている人たちから強制送還です。不法移民に生活費を支払う必要がなくなりますが、面倒を見ていた慈善団体、政府の職員も不要になります。 これは、イーロンマスク率いるDOGEの政府効率化政策で削減される数万人の政府職員も含めて雇用者数に大きな減少をおもたらします。不法移民の消費の減少や失業者の消費節約、関税引き上げにより値段が上がった輸入品価格など消費が減少する要因がいっぱいあります。 消費の減少は企業業績を悪化させ、レイオフを増やします。 
その後、徐々に個人、企業減税、規制緩和の影響が出始め、原油、天然ガス採掘を増やしたり、ウクライナ戦争を終結させてロシアの原油採掘量を増やしたりして、エネルギー価格を含め物価の下落を促進させ、さらに海外からの企業進出、工場移転の促進によって景気回復が始まるでしょう。今は、その始まりです。トランプ政権はいろんな方法によって米国の長期、短期金利を下げる方向に動いています。それはこの大きな改革の中に含まれています。例えば、政府職員の解雇は政府支出の削減と共に一時的に雇用悪化を招きます。雇用悪化はFRBの金利引き下げを促進します。銀行の自己資本関連の法律を変更することで、銀行の自己資本としての米国債の購入を促進させます。まだまだこれからですが、米国債の利回りを引き下げてゆき、FRBによる政策金利を下げることで、個人、企業の借り入れに対する支払負担額が減少してゆきます。 
このようにトランプの政策で貿易量の減少から景気悪化、雇用減少が始まりますが、同時に米国財政の立て直し、エネルギー価格、住宅価格の下落、減税、金利の下落などで米国経済は急速に回復してゆくと考えられます。
 
【今週の???な国際ニュース】
NHKのウクライナ関連のニュースを見ました。かわいそうなウクライナからロシア贔屓のトランプ大統領が希少金属を横取りしようとしている。みたいな論調でした。夫を亡くした未亡人、若者の徴兵への強制連行、崩壊した町の映像が映し出されています。我が国の外務大臣はウクライナを負けさせるわけにはゆかないといまだに言っています。ウクライナ、EUへの協力を続けることが、世界の自由と平和を守ることにつながる的な話をしていました。本当でしょうか?人々の命を守るのは即時停戦なのではないでしょうか? ロシアのウクライナ進行の理由は複雑なので、ここでは述べませんが、
ロシア進行から3か月ぐらい経った時、トルコのエルドアン大統領の仲介で和平協定にサインをするところまで行きましたが、当時の英国首相
ジョンソン氏がゼレンスキー大統領を説得して、戦争継続を進めました。 西側諸国が資金援助をするから戦争を続けろ、ロシアがヨーロッパへ
入ってこなくなるまで叩けみたいな話だったのでしょう。第二次大戦前のポーランドと同じ状況です。
それでどうなったかというと、ウクライナは多くの人命と国土を失っています。それは進行中です。
停戦を遅らせるとさらなる人命と国土を失います。米国が支援をやめて停戦させて、人命と国土をできるだけ多く保全させようとしている中で、もっと支援をするから戦争を続けろというEUの国は常識的に考えておかしいと思うのですが。EUもウクライナも人的にも経済的にも被害を被るだけです。そのことに気付いたポーランドなどは支援をやめています。
 
世界各国からの支援金で懐を太らせたウクライナの富裕層はアルプスの超高級スキーリゾートを占領して毎日100万円以上を使って豪遊していることが米国のジャーナリストによって報道されています。もちろん日本では報道されていないでしょうが。他国の戦争で儲ける国、戦争で懐を肥し、自国の国民の人命が失われることを気にせず豪遊する金持ち、どちらも人でなしです。自国の被災者や困っている人たちを助けず、他国の戦争に国民の税金を費やしている日本の政治家は立派なことをしているつもりなのでしょうか? 財政赤字のため無駄を削り、新たな国の収入源を作り出す米国と増税一本やりの日本。そうしてトランプ大統領が当選したのか、どちらが国民のための政治をしているのか、子供でも分かりますね。
というと子供に失礼ですか???

 
【豆知識】
今月発表された快適に生活できる州トップ10
1.      Massachusetts
2.      Florida
3.      New Jersey
4.      Utah
5.      New Hampshire
6.      Idaho
7.      Pennsylvania
8.      Wisconsin
9.      New York
10.Wyoming

【今日の住宅ローン金利】

2月24日


いいなと思ったら応援しよう!