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米国発前川のニュースレター

いつも私のニュースレターを読んで頂きありがとうございます。
今日は3月3日雛祭りです。子供が小さかった頃は毎年欠かさずお雛様を飾っていましたが、今は雛祭りを楽しむことも少なくなりました。
先週から今週にかけてウクライナと米国の鉱山開発の契約交渉がプロレスの場外乱闘の様相を呈して世界中のトップニュースになっています。おかげでこの混乱もあって米国株は急落。ウクライナ戦争の停戦交渉も先送り。  先行き不透明感がさらに深まってきました。

芝公園の紅白梅

【株式・為替市場の動き】
明日からカナダ、メキシコに対する関税発動の見込みを受けて株価が急落しています。さらにウクライナとの鉱山開発の契約が物別れに終わったこともあり、先行き不透明な経済を嫌気して株を売って、国債を買う動きが強まり、米国債は値上がりして利回りが下がり、長期金利が先週から引き続き下がっています。関税対象国のカナダ、メキシコの通貨が下落しています。
今日発表されたISM(サプライマネージメント協会)製造業活況指数の内容が新規受注、雇用指数が悪化したことも株価に影響しています。    ドル円は、先週よりもさらに円高の1ドル148.91円前後でさらに上昇圧力が強くなっています。ダウ工業株は648.87ドル安の43,192.04ドル、S&P500は104.62ドル安の5,849.88ドル、ナスダックは大きく値を下げて497.09ドル安の18,350.19となっています。明日実際にカナダ、メキシコに対する25%の関税が発動されるとさらなる大きな株価の下落が起こりそうです。
 
 
【不動産・住宅ローン金利動向】 
先週から引き続きローン金利が下がっています。しかし、1月の中古不動産販売件数は振るわず、12月と比べても10%ダウンとなっています。 家の購入希望者たちはこのところの金利低下傾向を見て今購入するよりもこれからの金利の低下を見込んで待ちの態勢に入っているようです。30年固定金利が6.5%近くまで下がってきました。外国人用投資ローンの金利も下がり始めています。(添付の金利表参照ください)
外国人用の投資ローンは米国在住者用の投資ローンと比べてもほとんど同じかあるいは低い金利になってきました。
今後さらなる低下が見込まれます。このローンはFannie MaeやFreddie Macのローンとは違う動きをします。                  Jumboローンと同じ投資家(投資銀行、大手保険会社、地方銀行、ファンド会社など)からの資金をそのローンの供給源としているためです。
 
金利下落を待っている自宅購入者に比べて、不動産投資家の59%が2025年は物件の買い時と考えていることが世論調査で明らかになっています。地域別では中西部が69%、北東部が68%となっています。
GOBankingRatesの調査によると、2025年のベストのマーケットは南部地区と西部地区になっています。ベストの意味は値上がり率が高くないという事です。全米平均では2月27日現在の全米平均価格の値上がり率は2.7%とほぼインフレ率と同じになっています。
しかし、物件価格が引き続き下落している街もあります。 値下がり率トップ5の街は以下となります。
Kansas City, MO     -10.3%
Austin, TX             - 9.2%
Miami, FL             - 7.9%
Columbus, OH      - 7.9%
San Francisco, CA – 6.6%
 
矢継ぎ早のトランプ政権による公約実施努力が続いています。金利の引き下げも公約の一つとなっています。その中で、今後実際に実施されそうな対策がいくつかあります。

1.    財務省に住宅ローン担保証券(Mortgage Backed Security)の購入を命令する可能性。
住宅ローンの多くは証券化されて売りに出されます。この証券がたくさん買われると値段が上がり利回りが下がります。この住宅ローン担保証券の利回り低下は実際のローンの金利低下につながります。

2.    Fannie Mae(連邦住宅抵当金庫)やFreddie Mac(連邦住宅金融抵当   金庫)という政府系の金融機関の手数料(LLPA)の廃止。 
LLPAとは上記の政府系金融機関(日本の住宅金融公庫のような機関)がConventionalローンの借り手に請求するものでこの手数料はローン金額の1.625%(条件によって変動)で実際の金利では0.625%下がることが期待できます。投資物件やセカンドハウスの場合はさらに大きく金利が下がる可能性があります。
 
カリフォルニア州の物件は高すぎて手が出せないと私も思っていましたが、まだまだ安く手が届く場所もあることがわかりました。
Countyでいうと、まずLassen Countyは中間価格$231,000、 Siskiyou Countyは$303,000、
Glenn Countyが$327,000、Tehama Countyが$337,450,Lake Countyが$340,000などです。
いずれもカリフォルニアの北部に位置しており、かなり田舎ですが、自然が好きでゆっくり暮らしたい人にはいいかもしれませんね。
 
 
【経済の動き】
今週も引き続き景気後退期に入ってゆくであろうと思わせる情報がいっぱい出てきています。絶好調だったホームデポの通期業績が減益になる見通しになりました。消費者の購買力が落ちているようです。
市場予想の一株当たりの利益が4.6%増から2%減へと減少。     リフォームの需要が減り、安価な修理にシフトしているようです。
トランプ関税の影響は不明ですが、影響を受けそうな業界からはインフレ懸念や売上減少の懸念が出ており、2月の消費者信頼感指数は前月から7ポイント低下して3年半ぶりの大幅低下となっています。連邦政府が公務員の大量解雇を予定していることも影響しています。
 
実質経済は統計よりも悪いとこれまで言ってきましたが、ベッセント財務長官は2月25日に米国経済について、実体は経済指標で示されているよりも脆弱な可能性がる。政府支出の削減と規制の緩和を通じて成長の民営化を目指すと表明しました。FRBの理事たちの認識とは異なる認識です。    長官はバイデン前政権の過剰な政府支出(根強いインフレの原因)と過度な規制に依存しているため、指標は一見すると妥当だったが、根本的には脆弱な経済状態が残されたと述べています。全く同感です。
また、長官が民間部門はリセッションに陥っているとの認識を示しています。
 
前週の新規失業保険申請件数は増加し、今年に入って最高水準となっています。スターバックス、メタ、サウスウエスト航空などの人員削減が影響しているようです。またザッカーバーグのメタは会社の登記をデラウェア州(バイデンのおひざ元)からテキサス州に移す予定とのことです。
連邦職員の失業保険はこの統計に含まれていないので、実際はこれから失業保険申請件数が増えてくるでしょう。
 
1月の個人消費支出(PCE=Personal Consumption Expenditure)はコア価格指数が小幅な伸びにとどまり、インフレ率は懸念していたほど
上昇しておらず、市場に安ど感が広がっています。
コアは対前月比で0.2%上昇、労働所得の伸びは鈍化しているため、支出が縮小しています。 2月の雇用者数は弱含みと予想されています。
また、個人消費の軟化と財貿易赤字の拡大が1-3月期のGDPにマイナスの影響を与え、今の予想では1.5%のマイナスとなる見込みになっています。
GDPの2期連続のマイナスとなれば、正式に政府は景気後退を認めることになり、FRBも金利引き下げを検討せざるをいなくなるでしょう。いずれにしても、4-6月期のGDPの発表を見なければわかりませんが、関税の引き上げで輸入が輸出に比べて相対的に減ると、  GDPはプラス方向に動きます。しかし、おそらく関税を掛けられた国は報復関税を掛けてくるでしょうから輸出額も減るでしょう。
そうなれば4-6月期のGDPは再びマイナスになる可能性が高まります。実質の経済は低調になってゆくでしょう。
 
しかし米国経済は回復してくるでしょう。今後の景気後退を乗り越えて景気を上昇に持ってゆくための政策も政府支出効率化、赤字削減などと共に行っているので、将来に明るさが見ていることも確かでしょう。TSMCなど半導体工場の建設、AI関連のデータセンター建築、関税対策のための海外からの米国への工場移転などなど。個人所得税減税(チップ、残業代への課税をなくす)、法人税減税は所得を増やすことと同じになります。エネルギー価格を下げることは大きなインパクトがあるでしょう。そのためにも、米国を含めて、ロシア、サウジアラビアの3大産油国に増産をしてほしいので、中東、ウクライナの紛争を早く解決したいのでしょう。
原油、天然ガスの増産とパリ協定離脱によるCO2規制の枠組みにとらわれない格安な石炭、天然ガス発電により、電気代を下げることも狙っています。電気代が下がれば、大規模な工場では年間何億円もの利益増になります。工場の運営費が下がることは海外からの工場移転を加速させます。 経済を回復させるためには改革をできるだけ早く完了させなければならないため、トランプ政権の改革のスピードがとんでもなく早いのでしょう。
 
【今週の???な国際ニュース】
2月28日にホワイトハウスで開かれたウクライナにおける米国の鉱山開発契約締結のセレモニーでゼレンスキー大統領とトランプ大統領、  バンス副大統領とのやり取りの実況がテレビで中継されて世界中で大きな話題になりました。
今回の鉱山開発の契約の内容は、採掘されたれたレアアースから得られる利益の半分はウクライナへ、残りの半分は基金を創設して、利益を貯めておきウクライナ再建のために使うという内容です。ウクライナにとっては、長年ウクライナに米国企業、米国のエンジニア-が入って鉱山開発をするのですから、(採掘開始までに5年、10年単位で時間がかかります)仮にロシアが侵略すれば、米国に対しして弓曳くことになり、ロシアは世界第二の核保有国である米国と戦うことになりかねませんから、強力な戦争の抑止力、安全保障と成るす筈です。また、先の契約内容はウクライナから米国が天然資源を搾取するものではなく、ウクライナを助ける内容になっています。事前にゼレンスキー大統領は同契約の内容を確認し、納得して契約書にサインをするためにのセレモニーとしてホワイトハウスにわざわざ来たのではなかったのでしょうか?  どうしてゼレンスキーがこんなに強気な態度に出て、トランプ大統領を怒らせたのか? 誰かがゼレンスキーに我々がサポートするからこのDealを断れと言っているのだと考えられますね。それは誰でしょうか?今回のゼレンスキー VS トランプ会談の前日に英国のスターマー首相はトランプ大統領に会いに米国に行っています。
そこで、トランプ大統領はスターマー首相に、米国にロシアとの交渉を任せてほしい。そうすれば英国とは関税なしの自由貿易協定を結んでもいいと提案したそうです。しかし、結果はこれでした。そのような事情から考えても英国の左翼勢力がゼレンスキー大統領を楚々抜かしていると考えるのが自然の流れです。EUや英国にはこの先戦争を継続させてゆくだけの財力がないので、米国抜きにどのように話を纏めるのか分かりません。
トルコのエルドアン大統領の停戦協定の時もそれを英国がつぶし、ミンスク合意はドイツ、フランス、英国が約束を破ってロシアをだましたので、ロシアは彼らとの交渉には応じないでしょう。それがわかっているので、トランプが交渉役として、ロシア、ウクライナと個別に話して、話を纏めたうえで関係者を集めて手打ちをする段取りだったのでしょう。ヨーロッパ諸国が入るとロシアが交渉に応じないので、トランプはあえて、現段階ではヨーロッパ諸国を停戦交渉に関与させていなかったのでしょう。ロシアは停戦を急いでない様です。逆に時間がたてば占領地が増えるのですから、急ぐ必要はありません。次に考えられるのは、ウクライナ紛争が終わると困る国があるという事です。それは中国です。トランプ政権は早くヨーロッパを安定させて、中東の紛争も終わらせ、余分なお金を使わず、中国を抑え込むことに集中したいのでしょう。 中国は米国とロシアが仲良くすることを嫌がるでしょう。ロシア、北朝鮮、米国の核兵器保有国に囲まれて中国は身動きが取れなくなります。今回のウクライナ紛争で漁夫の利を得たのは中国でした。もし、ウクライナ戦争が終わると中国経済はさらに厳しくなるでしょう。
その意味で中国も戦争が今終わってほしくない国の一つです。いずれにせよ、マスコミはこのような事情を報道しません。
ただトランプが悪い、バンスが悪い、ゼレンスキーが悪いといった論調で記事を書いているように見えるのは私だけでしょうか????
 
【豆知識】
トランプ大統領は500万ドルを払えば米国の永住権と同様の権利を持つ
ゴールドカードを来週にも販売を開始すると発表しました。
しかし、投資ビザのEB-5は廃止される。

【今日の住宅ローン金利】

3月3日

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