米国発前川のニュースレター
明けましておめでとうございます。
昨年は大変お世話なりありがとうございました。
今回が2025年ニュースレター第一号となります。
お陰様で私のニュースレター発行も今年で4年目に入ります。
今後も引き続き配信して行きますので、引き続き宜しくお願い致します。
【株式・為替市場の動き】
クリスマスから年明けに掛けての米国株式市場は通常ご祝儀相場で上がることが多いようですが、今年はあまりぱっとしません。
今までの統計では、こんな歳は年明け株価が下落することが多いという事です。トランプ大統領がワシントンポストで報道された関税の限定適用を打ち消し改めて、輸入品全てに一律の関税を導入することをツル―ス・ソーシャルに投稿したことを受け156円台まで上昇していた円が下落し結果、157円台後半まで戻っています。ダウ工業株は上昇から下落に転じ、25.57ドル安の42,706.56ドル、S&P500は若干の上昇、
ナスダックは246.13ドル高の19,867.81ドルとなっています。いずれも一時の上昇から関税のニュースによって上昇が下落に転じています。
【不動産・住宅ローン金利動向】
住宅ローン金利はドル安からドル高にトランプ関税ニュースによって潮目が変わったことで米国10年国債の利回りも上昇して先週より若干高い金利で始まっています。大きな上昇ではありませんが、やはり7%を上回る金利となっています。しかし、ジャンボ・ローンの金利は下落しています。外国人・投資用のローン金利も頭金が50%、40%の場合は金利が下がり、米国在住者用の投資ローン金利と大差ないレベルとなっています。ジャンボ・ローンや投資用ローンの資金供給は政府系の金融機関とは別のルートで大手保険会社や投資銀行、個人投資家などとなっており、米国10年国債の利回りとは連動していない為、一般ローン金利が上昇している局面でも、金利が下がることも起こります。
Realtor.comやNAR(全米不動産協会)などが2025年、新年に発表したところによると、市場に出回る物件の在庫増加、住宅ローン金利の緩やかな低下、新築の住宅、アパートの供給増により、購入者が増え、住宅価格は3%から4%の上昇、レント価格は横ばいからやや下落という予想になっています。しかし、これは経済の安定が前提で、インフレの急上昇や景気後退を考慮していないことを忘れてはいけません。
トランプ関税によるインフレ高騰が起こると物件価格が上がり同時にローン金利が上昇しますので、不動産不況に入り売れ行きが低迷して、
結局は、物件価格が上昇から転じて下落してゆく可能性があります。また、トランプ減税の一環として、不動産を取得することによる税控除などが導入されれば、不動産購入意欲を後押し、不動産市場が活性化する可能性もあります。 トランプ大統領就任後数カ月で発表されるであろう政策次第で予想が大きく変わってくるでしょう。
2024年は過去最低と言われるほど不動産が売れなかった歳でした。それ故これまでは数年賃貸で我慢して、その後購入というパタンが
定着していましたが、ここ数年は同じ場所で賃貸を続ける期間が延びてきています。大家さんはテナントの入れ替えに伴う費用が掛からないので、喜んでいますが、家賃の高止まり、インフレによる生活費の高騰で、低い家賃のアパートを求めて州をまたいで移動する人たちも増えていることが引っ越し業者の統計で分かっています。先週も人口の移動についての情報をお知らせしましたが、今週はより詳しく、お知らせします。
最新のデータでは人口流入が多かったのは以下の州です。
South Carolina
Texas (2021-2023の3年間はTexasがNo.1)
North Carolina
Florida
Tennessee
その他、昨年一気に順位を上げたのは、8位のIndiana(前年27位)、11位のOklahoma(前年41位)
Coloradoは9位から20位に下がりました。
人口流出が多いのはCalifornia, Massachusetts, New Jersey, New York, Pennsylvaniaの順になっています。
生活費、住居費の高騰が大都市から地方都市への人口流出を後押しているのは明らかです。
また、南部の都市ではDallasが人口流入No.1、以下Charlotte、Phoenix, Lakeland, Austinとなっています。
Dallasの周辺とし、McKinney, Plano, Addisonも流入が増えています。
南部ではありませんが、Boise, Idahoも人口流入がNo.17位の都市にランクされています。参考までに、2023年はCaliforniaから690,127人が他州に移動し、422,075人が入って来ました。
CaliforniaからTexasには93,000が移住しています。逆にTexasからCaliforniaへ移住した人も38,000います。
【経済の動き】
本日、米議会がトランプ前大統領が昨年11月の大統領選挙で勝利したことを正式に認定し、1月20日の大統領就任宣誓をすることが
決定しました。さて、20日に無事トランプ氏が大統領に就任するとして、経済にはどの様な影響があるのでしょうか?
これまで何度もこの話題を取り上げてきましたが、トランプ大統領就任直前にバイデン現大統領の嫌がらせとも言うべき行動が
目立ってきています。米国経済にとってマイナス効果しかないのもが多くあります。今後インフレ懸念がある中、次期トランプ政権は石油・天然ガスをどんどん掘ってエネルギー価格を下げようとしていますが、本日、バイデン大統領はエネルギー開発を阻止する環境関連の大統領令に
サインしました。約6億2,00万エーカーの海洋を石油・天然ガスプロジェクトの恒久的な禁止海域に指定したのです。次期政権のエネルギー開発を阻止する法案です。 また、引き続きのウクライナ、イスラエルへの支援は戦争を出来るだけ早く終わらせ、米国の財政赤字の拡大を止めようとしているトランプ政権の足を引っ張ることになります。さらに、トランプ氏の足を引っ張り続けてきたジョージ・ソロス、リズ・チェイニー氏(共和党)、 クリスドッド氏他に大統領市民勲章を与えるなどトランプ氏への意趣返しとしか思えない行動が目立ちます。
さて、経済の話に戻りますが、FRBは景気の先行きを本当はどのように見ているのでしょうか?
FRBのパウエル議長は、景気は底固く、雇用が強いと言っているのに何故、昨年3回連続で利下げをしてのでしょうか?
私なりに予想してみました。
1. 本当は景気後退期に入っている? 景気をこれ以上悪化させない為?
2. 政策金利を下げることで国債の利回りを下げたかった。国債の利払いが増加の一途をたどっている為、利払い金利を下げたかった。
3. 金利を下げて、わざとインフレに持ってゆき相対的な政府の借金の負担率を下げたかった?
4. 市場の余剰資金が枯渇し始めているため、金利を下げて資金供給を増やさないと大きな株式相場下落と景気後退が来る可能性が有る為。
その理由はどれなのでしょうか? これまでも、雇用が強いのはどうも怪しいと言い続けてきました。
雇用が悪化しているらというのもその理由の一つかもしれません。これから先、雇用は経済のKey Pointになると思います。
2023年失業率は3.6%でしたが、今は4.2%。失業保険継続受給率は2年連続で上昇。これは景気後退期にしか見れれない現象です。
職探しが容易でない状況を反映している為でしょう。低い給料の求人はあるが、今まで以上の収入を得ることが出来ないのでしょう。 なんでもいいから職があれば良いという層は雇用されるでしょう。企業はコスト削減の為、低賃金の人材をが来てくれることを求めます。
ですから、低賃金の不法移民を追い出せば賃金が上昇するので、インフレになるという人が居ますが、それは、あまり納得できる説明だとは
思えません。 まず、不法移民は企業にとって雇用が難しいのです。Social Security Numberを持っていなければ、給料明細が出せない。 経理担当者は不法移民に支払った給料の会計処理に苦慮するでしょうし、会計監査が通らない。零細企業は可能かもしれませんが。
ですから、農業の季節労働者などは別として、不法移民を追い出すことは一時的な費用は掛かりますが、結局米国経済にとってはプラスに働くことは歴史を見ても明らかです。低い賃金で雇用が確保できない場合は企業は賃金を上げて人材を確保します。特に景気が底固く、企業の売り上げが悪くないのであればです。収入が増えた労働者たちは消費を増やします。そうなれば、企業の売り上げが増えて、プラスの景気循環が始まります。米国の40年代、50年代、60年代、日本の高度成長期がまさにそうでした。ですから、低い賃金の移民を大量に雇う事は経済にとって逆に悪影響を及ぼします。不法移民は働かず米国の生活保護を目当てにしている人たちが多くいます。言葉が話せない人たちを雇う事は非常に効率の悪いことになります。また、不法移民に生活保護を行き渡らせることは地方政府財政を圧迫してひいては連邦の赤字を増やしています。米国の景気の好循環をもたらすためにも低賃金の不法移民を入れるのではなく、手に職がある有能な合法移民を入れようとするのがトランプ政権の狙いです。 不法移民対策は米国民へより多く、賃金の高い職を提供するための方針の1つと考えられます。
当面はインフレが進む可能性はありますが、トランプ政権は前政権時代から、経済に関する分析はかなり専門的で正確です。トランプ大統領自身も経済には造詣が深く適切な発言が多かったのは事実です。また、彼は米ドルの基軸通貨維持を主張していますので、引き続き米国株式市場は一人勝ちになると予想されます。勿論、株式市場ですから、調整、上昇を繰り返すでしょうが。 世界から製造業を米国に戻してゆくと同時に、 ドルが今より安くなってゆけば米国の製造業にとって輸入を減らし、輸出を増やすことが出来、有利になります。輸入が減れば、関税を上げたことによるコスト上昇がある程度相殺されるでしょう。ただし、この様な好循環が本格的になるには数年は掛かると思います。 私見ですが、やはりトランプ政権の経済政策は正しい方向に向かってゆくのだろうと思います。
【今週の???な国際ニュース】
カナダのトルドー首相が9年余り務めた首相の座を退くことを本日発表しました。世論調査によると、野党の保守党が支持率でトップに立っています。
トルドー首相は左派でグローバリスト的な政策を推進したことで有名でした。世界的な傾向として、保守勢力が勢力を伸ばしています。米国をはじめEU諸国、特にドイツ、フランス、英国、ハンガリー、イタリア、スペイン、ポルトガルなどです。とうとう、カナダでは、左翼政権のトルドー首相が国民からNOを突きつけられています。トランプ大統領は言います。常識を取り戻そうと。いつの時代の常識なのかがはっきりしませんが。一説によると1776年建国の精神に立ち返るつもりだそうです。日本だと江戸時代、平賀源内が活躍した頃ですね。ここ数年来、行き過ぎた左傾化、グローバリズムが巻戻っている様です。日本と韓国を除いては。
まさか、江戸の昔に戻ることはできませんが、今より当時の人の方が精神的には豊かだったような気がします。
日本のマスコミは世界の趨勢をオブラートに包んでハッキリと伝えません。どうしてなんでしょうか?????
【豆知識】
2025年値下がりすると予想されている都市
1. Albuquerque, NM (-8.3%)
2. Providence-Warwick, RI- Mass. (-7.5%)
3. San Jose – Sunnyvale-Santa Clara, CA (-6.3%)
4. Birmingham-Hoover, Ala. (-6%)
5. Madison, Wis. (-2.9%)
【今日の住宅ローン金利】