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米国発前川のニュースレター

いつも私のニュースレターを読んで頂き有難うございます。
先週の紅葉とは対照的に自宅の近所にはこんな花が咲いています。 
南カリフォルニアは紅葉、パームツリー、トロピカルフラワーが同時に楽しめる
珍しい場所です。この青空と色鮮やかな花を見ているとハッピーな気持ちになります。
明日はいよいよ世界中が注目する米国大統領選挙です。未だ何も決まっていないのに、噂、憶測だけで、
株価も、ドル円も、金利も動きます。 情報が嘘か、本当かは関係なく。

11月4日のニュースレターお送りします。

【株式・為替市場の動き】
大統領選挙を控え、米国株式市場は先週中ごろから、先行き不安、不透明感を反映してか、値を下げています。日経平均も同じく下げています。これだけ上がっているのだから、今は売って利益確定させようと考える投資家心理の反映でしょう。確かに、マスコミ報道や世論調査では民主、共和の支持率は拮抗していると報道していますので、それは無理もないでしょう。 
昨日共和党が強いアイオワ州でカマラハリス優勢との報道が出たことから、トランプ優勢でトランプ・トレードに備えて、上昇していた
米国債利回りが一気に反転し、10年国債の利回りが下落して、長期金利がさがり、円高に動きました。現在は1ドル152.16円と151円ですが、一時151円半ばまで上昇していました。
トランプ当選ならインフレになる=米国債の利回りが上がる=ドル高になるというマスコミの報道をベースに動いている様です。
しかし、カマラハリスが大統領になり、政策が実現すれば、トランプ以上にインフレが高まると思います。

目先の動きはマスコミの報道、FRBの発言などで一気に流れが変わりますが、やはり、誰が大統領になったとしても、景気後退が進み、FRBや新政権がそれにどう対応するかによって景気後退の度合いが変わってくるでしょう。選挙の直後、11月7日のFOMC(政策金利発表)とパウエル議長の会見があります。そこでは恐らく、利下げが発表され、円高方向に動きそうです。
  
【不動産・住宅ローン金利動向】 
トランプ・トレードによるインフレ懸念で国債金利が上昇し、住宅ローン金利も上昇しています。
先週金曜日の雇用統計で雇用が弱い数字が出た直後は国債の利回りが下がり、ローン金利が下がるかに思われましたが、これはハリケーンのせいだ、ボーイングの3万3千人のストが影響したと言って、雇用の弱さがあまり重要視されていません。その為、一瞬にして、利回りが上昇し、ローン金利も上昇してしまいました。それでも、先週と比べて若干の下落で終わっています。マスコミは民主党政権を後押しする為に経済の底固さを報道したいのでしょうから、無理もないのですが、FRBは出マスコミ報道には影響されず、11月、12月と利下げをしてゆく模様です。
政府の短期金利の利下げに対応して、同じ率で長期金利に連動する住宅ローン金利が下がるわけではありませんが、やはりローン金利の下落に貢献します。2時抵当権のローンの指標はPrime Rateなので、9月に8.5%から8%に金利が下がり、今月は7.75%或いは、7.5%に下がる見込みです。 大統領選挙の影響を強く受けて、なかなか下がらないローン金利にイライラしていましたが、選挙結果が確定した後はもう少しはっきりと金利が右肩下がりに下がって行くと思われます。
先週も言いました様に、来年のモーゲージ銀行協会(MBA)の予想では、来年は不動産市場に出回る物件数が上昇、金利が下落し、売買金額は大きく上昇と見込んでいます。ただし、金利が下がっても、他の費用が上がってしまえば住宅購入への意欲が殺がれてしまいます。投資の場合も同様で、その他の費用は重要な要因となりますね。物件購入でローン金利が一番目につくところですが、山火事、水害、ハリケーンなどの影響もあり、火災保険料金が上昇している都市が多くあります。また、固定資産税が高額な州、都市もあります。この費用も押さえて置いたほうが良いでしょう。 
急激に固定資産税が上昇した都市トップ5は以下となります。
(2019年からの上昇率の比較です)

  1. Indianapolis, IN   (66.7%)

  2. Atlanta, GA               (65.8%)

  3. Jacksonville, FL         (59.6%)

  4. Tampa, FL                (56.7%)

  5. Miami, FL                 (48.1%)

 固定資産税率が高い都市として知られているのが、Austin, TX、 Newark, NJ,  San Antonio, TX, Houston, TX,  Chicago, ILなどです。      税率は郡、市、によって違いますので、具体的な数字は住所で調べる必要があります。
逆に固定資産税が低いのはNashville, TN,  Phoenix, AZ, Las Vegas, NV, Charlotte, NC などです。
 最後に、中古物件の在庫状況ですがニュース・ソースはRealtor.comです。
全米規模では物件在庫はパンデミック以前と比べると未だに21%在庫が少ないのですが、以下の6つの州では2019年以前のレベルよりも在庫が多くなっています。テネシー州+14%、 テキサス州+13%、アリゾナ州+11%、フロリダ州+10%、コロラド州+7%、アイダホ州+6%
在庫が多い州と物件価格が下がっている州はほぼパラレルしています。
ただし、移民流入が多い州では必然的に在庫が増えている様です。
 
【経済の動き】
一連の経済指標では米国経済は底固いとのデータが出ていますが、インフレの緩和を示すデータが引き続き出てきているため、FRBが11月のFOMCで0.25%の利下げの可能性を約94%、12月でさらに0.25%引き下げの可能性を70%と金融先物市場では織り込んでいます。詳しく見てみると雇用も徐々に弱くなっているのですが、インフレは収まり、経済は底固いとのマスコミ報道ばかりなので、一般には米国経済の先行きは楽観視されている様ですが、実際は何時か大きな景気後退に突入するか危ない状態だと思います。スーパーマーケットや小売りでは、顧客を呼び込もうと値下げの動きが広まって来ています。小売りやレストランチェーンなどでは店舗の閉鎖、再編のニュースが毎日のようにあります。セブン・イレブン、Wendy’s, The Vitamin Shoppe, Pet Supplies Plusなどなど。ウーバーもライドシェア事業がホリデーシーズンに思わしくない予想がでて、株価急落となっています。GDPは伸びているのにどうして不景気なニュースがそこかしこから出てくるのでしょうか?
政府支出の増加がGDPの増加に貢献し、政府雇用の増加が雇用を下支えしている可能性が大です。
11月1日に発表された、ISM(米供給管理協会)の10月の製造業総合景況指数は、46.1ポイントと2023年7月以来の低水準に低下し、7カ月連続で50を下回りました。 
市場が注目していた10月の雇用統計では、医療と政府部門の雇用が増加、他は横ばいないし減少となっています。
平均時給は前年同月比4%増となりましたが、平均消費が5%増となっています。おかしくないですか?
時給より消費が増えているんです。
おなじ生活水準を保つためには収入が足りなくなっているという事ですね。クレジットカードか蓄えからお金を出すしかありませんから、
じりじり消費を抑える動きが強まってくるでしょう。
 雇用統計を詳しく見てみると、10月は12,000人の雇用増で、予想では113,000とかなり弱い数字が出ています。
また、8月の雇用統計は81,000人下方修正され、78,000の増加、9月は31,000人の下方修正で223,000となりました。
失業率は先月と同じ4.1%と報告されていますが、220,000人が労働力から除外されています。実際の失業率は4.3%となります。
更に、先月は164,000の正規雇用と227,000のパートタイム雇用が失われています。先月言いました、臨時雇いの16歳から19歳の雇用が無くなったからです。この年齢の雇用は次の長い休みが来るまで失われます。FRBはこれらの事実を認識しているので、間違いなく利下げを続けるでしょう。
 
【今週の???な国際ニュース】
先月22日から24日にロシア中央部のカザンでBRICSの年次定例サミットが開かれました。このサミットでは西側諸国が作った既存の世界経済システムに頼らない独自の経済システム構築に関して話し合われ、
BRICS独自の貿易決済システムが構築され?サミットの宣言で謳われています。内容は保険、格付け、貿易、決済、通貨など決済に関連したものから、穀物取引、産業運輸、インフラ、デジタル環境の共同整備まで多方面にわたるとのことです。G7がロシアやイランの資産を凍結、没収など通貨を使った制裁を科したことから、G7以外の中小の諸国は一気に自衛の為にBRICSに集まり始めました。どこまでBRICSのシステムが機能するのかは不明ですが、脱ドルに向かってゆくことは間違いないと思います。 今回のサミットで驚くことは国境で戦争状態にある中国の習近平とインドのモディが5年ぶりに会談し、中印国境紛争を解決したことです。 また、インドネシア、マレーシア、タイ、ベトナムのASEANの4か国が入っていることです。(これらの国は日本の大きな貿易相手国ではないのでしょうか?) ASEANは米国側ではなかったのか? ソビエトが崩壊するまでは、こんな事が起こるとは夢にも思いませんでした。一般に言われる様に、米国のドル覇権が崩壊するとは思いません。世界の西側主要国がBRICSの国の国債を買い、それらの国の株式市場に投資するとは考えらません。しかし、今まで西側諸国に食い物にされていたアフリカ諸国、中東諸国、東南アジア諸国などがロシア、    中国(核保有国)の庇護の下に独自の発展を遂げてゆく可能性が出てきました。それはこれまで、弱小国からの食糧、天然資源などを搾取してきたEU諸国の没落が早まるのではないかと思います。日本はとちら側に付くのでしょうか? インドの様にうまく両方と付き合ってゆけるのでしょうか? 世界が大きく変わろうとしているこんなニュースを日本にいると殆ど聞く機会がないのはどうしてなんでしょうか???
 
【豆知識】
典型的な米国の住宅購入者年齢は56歳。
初回購入の年齢中央値は38歳
 
 
80年代と比べて約10年遅くなっています。
家の値段の上昇率が収入の上昇を上回っているのですね。
日本人と同じく米国人も貧乏になっているのでしょうか?

【今週のローン金利】

11月4日

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