前川のニュースレター
この写真は我が家の裏庭に咲いたフルーツの木の花です。
何の花かお判りでしょうか? 日本ではあまり見かけないものです。
正解はこのニュースレターの最後でお知らせします。
7月17日のニュースレター
【株式市場の動き】
金融機関大手のJPモルガン・チェース、ウェルス・ファーゴ、シティー・グループなどの好決算を受けて、株価が上昇しました。
7月のニューヨーク州製造業景況指数は強弱入り混じった結果で、また明日からの本格的な決算発表待ちで様子見状態で、大きな変動はありませんでした。
ダウ工業株は76.32ドル上昇して、終値は34,585.35ドルで引けました。S&P500, ナスダックも上昇して終わりました。
【不動産・住宅ローン金利動向】
先週の消費者物価指数、生産者物価指数の発表により、インフレが収まってきていることが証明され、ドル安が高進し、米国債の価格が上昇、長期金利の指標となる米国10年国債の利回りが下がり国債の利回りに連動する住宅ローン金利も先週月曜日と比べて下がりました。しかし、皆が待ち望む金利水準には未だ程遠いです。今月26日にFOMC(連邦公開市場委員会)があり、0.25%の政策金利利上げが発表されるでしょう。この所の消費者物価指数などいろいろな政府発表のデータから、7月の利上げで一連の利上げが終了すると見込まれています。利上げ打ち止めの次は何時利下げに転じるかと市場の興味が移って行きます。今から、年末にかけてどれぐらいインフレ率が収まるか、景気後退はあるのか?などによってローン金利がどれぐらい下がるかが変わってくるでしょうが、大きな流れは、住宅ローン金利は今が恐らく今が山でこれから下がってくるでしょう。未だに変動金利が高く、固定金利が低いいびつな状況となっていますが、短期金利が長期の金利より高いので、この様な状況が続いています。 ただ、先週も言いました様に、先が見えてきましたので、これからヘッジファンドや大手投資家が国債の買いに入って来ますので、国債の利回り下落、ローン金利下落が期待できます。また、大きな景気後退がなければ、短期金利も下がってくるでしょう。
一般の米国人にとって、住宅購入は家族を持つこと、大学を卒業すること、良い職を見つけることよりもプライオリティーが高い事だと言われています。金利が下がり、家の供給が増えて、家の取り合いで値段が上がる状況が改善すれば、また、家の購入が増えてゆきます。ただ、金利がどこまで下がればいいのか?家の値段もどれぐらい落ち着けばいいのかを判断するのは、株を何時売って、何時買えばいいのか?と同じように、市場の見通しを持っていないとラスベガスでかけるのと同じで、運次第となってしまいます。今までの経験では、金利下落、家の価格下落局面ではどうしても待ちすぎて、チャンスを逃すことが多いので、よりいい物件の購入には長いスパンでものを見ることが必要だと思います。
また、米国では、州、郡、街によってもマーケットが違うので、大新聞の全米の統計は役に立たないこともありますので、注意が必要です。
今、インフレ、高金利から反転し始める時期に入り始めますから、大きな流れと、的確な情報の入手が大事になるでしょう。
【経済の動き】
引き続きインフレの低下が続きそうです。インフレ下落はいろんなデータから読み取れます。米国では、オンラインでの物販の価格が3年ぶりの速いペースで下がってきています。その大きな理由の一つは、コロナで目詰まりを起こしていたサプライチェーンが正常化し、輸送コストが大きく下がったことで、業者の仕入れコストが下がったことです。家電は8.3%、電子機器は12.9%、コンピューターは16.9%と大きく下落しています。また、卸売在庫は前年同月比で3.7%増加しており、これも消費の減少が理由だと思われます。先週予想された通り消費者物価指数、生産者物価指数などのインフレ率が下落、しかし、FRBのターゲットとしているインフレ率2%を達成するためには、今後かなり時間が掛かるとの予想が出ています。一番には家賃の下落があげられます。消費者物価指数で計算される家賃レベルは、持ち家の人のローン支払が額を家賃に計算して入れているため、ローン金利の下落もインフレ率の下落に影響してきます。家賃の算出方法は昨年の家賃を考慮しているため、順調に下がってきている家賃レベルを考えると、今後は下がると予想され、インフレ率の下落に大きく寄与すると思われます。新車の出荷台数が増えて、中古車価格が下落傾向は続いていますので、この中古車価格もインフレを抑制する効果があります。
気になるのは、保険価格の上昇です。自動車保険、家の火災保険などは大きく値上がりしています。ただ、インフレ率への影響は家賃、中古車価格の方が大きいので、趨勢は下落でしょう。面白い例では、アマゾンの夏の大型セール・プライムデー(11日から始まっています)です。Gapの衣類が6割引き、アップルウォッチが3割引きなど安売りが目立ち、例年よりも割引率が拡大しています。他の大手、ウォールマート、ターゲット、ベストバイ、なども同じ状況です。やはり、一般消費者の懐事情が影響しているのでしょう。
さらに、インフレ率が下がると予想されるデータがあります。大手銀行の利益率を支えているのが消費者ローンの金利収入だという事が今回の決算発表で明らかになりました。また、クレジット申請却下率も上昇しています。これは車、クレジットカード、住宅ローンなど、クレジットのスコアーが悪い方、たくさんのクレジットを既に持っている方が増えているために起こっていることで、消費者ローンが増えているのは、生活が苦しいからでしょう。Wall Street Journal のレポートでは、消費者ローンが増えているのは、返済への自信があるから借り入れが増えていると言っていましたが、果たしてそうでしょうか? 私は生活費の高騰が現金不足に繋がり、ローン借り入れが増えていると考える方が自然だと思います。この傾向が続くとそのうち、フォークローズ(家の差し押さえ)やショートセール(ローン残高未満の値段で住宅売却=銀行の損失)が増えてくると考えられます。
米国議会では、民主党は来年の選挙を見据えて、景気が落ちて欲しくないので、FRBに対して利上げを停止するように圧欲を掛けている様です。
米国の利上げが終了して、ドル高がドル安トレンドに入って行くと、円が高くなってきますね。また、ドル建てで債務を負っている国や石油、食料品をドル建てで購入している発展途上国などはドルが安くなってくるととても助かります。ドル安は輸入大国、発展途上国にとっては助かりますが、グローバル企業の収益を下げることになるので、EU、日本、米国などの大手の企業業績は下がってゆくでしょう。
上記の様な世間の動きや、来年の大統領選挙などを考えれば、利上げはストップするでしょう。
【今週の???なニュース】
以前はディズニーランドで人気のアトラクションには長蛇の列ができ、2-3時間待ちのものもあったが、夏休みに入った今でも家族連れが激減し、20分待ちで乗れるようになっている。どうしてそのようなことになったのか? まずは入園料の価格高騰。2泊3日のホテル付、食事付き、全てのアトラクション乗り放題のパッケージは二人でなんと、4,800ドル(約\667,200)冗談でしょう??? ディズニーランドは2021年3月に記録した株価時価総額3,350億ドルから今年の4月には1,620億ドルへと半減しました。
CEOのモレル氏は退任し、人員削減、採用凍結、経費削減など新CEOは対応策を打ち出しましたが、フロリダ州のディズニーワールドでは税最優遇、土地利用規則緩和、防水などの自主管理など特別措置が終了し、株価は145ドルから86ドルへの下がっています。この株価低迷、入場者激減の理由は入場料の値上げだけでなく、もう一つの原因があります。以前バドワイザーの売り上げが急落した話をしましたが、ディズニーにも同様な問題があったのです。企業が気象変動、銃規制、人種平等、LGBTなどに積極的に取り組んでいると宣伝したことが影響しました。 フロリダ州のデサンティス知事は保守派で有名で、上記の様なWOKE(意識高い系)の運動には反対で、ディズニーとは真っ向対立をし、次々と意識高い系の運動に法律で対抗しています。 米国では民主党、保守党の対立と言うより、愛国主義とグローバリストの対立となっています。これは世界的にもこの傾向が進んでいます。
企業がどちらか一方の方を持つと、このようなことになるのでしょう。企業を中心として進めるSDG’sなども危ういですね。
【国際政治ニュース】
先週はBRICS共通通貨に関してのお話をしましたが、別の考察もあります。
BRICS通貨が出来て、BRICSの経済圏が出来るという事は、世界がブロック経済化されるということになります。以前にも世界がブロック経済化した時がありました。
1929年の世界大恐慌の後がそうです。イギリス、フランスなどは大恐慌を受けて、自国の持つ植民地をブロック化して、植民地圏内では関税を低くして、域内だけで経済を回し始めました。経済の囲い込みです。1932年のオワタ協定で英国は英連邦を形成し、圏内では貿易をポンドで決済するポンドブロックを作ります。 米国は北米、南米まとめて、ドルブロック、フランスはフランブロックを作りました。この時、3つのブロックに入れてもらえなかった日本、ドイツ、イタリアは輸出、輸入が激減し、3国で同盟して枢軸国を形成してゆきます。このブロック経済化によって、1929年から1934年までの間に世界貿易の7割が減少してしまいました。輸出輸入が激減し、各国は通貨安競争を始めます。 自国の通貨を切り下げて、輸出を有利にしようとしました。これが世界の対立、第2次世界大戦へとつながって行きました。 まさか、そんなことは無いでしょうが、ブロック経済化は世界の対立を作ることにもなりかねませんね。 しかし、よく考えるとEUはEURO経済圏を作りましたが、世界対立よりも、域内の問題の方が多いですね。経済規模や経済の強さの違う国同士が一つの中央銀行、通貨を使うのですから、その中では弱い国が強い国と同様の為替レートを使う訳で、経済力の弱い国はどんどん弱く、強い国は実力より低い為替レートで貿易しているようなものですから、とても有利になります。EUではそれが、ドイツであったり、ギリシャだったわけで、お金持ちの国が経済力の弱い国をいつも助けることになり、お互いに不満を持つことになります。ですから、BRICS経済圏は簡単には出来ないだろう、出来ても上手くゆかないだろうと思います。サウジアラビア、中国、イラン、ロシア、ブラジル、インドなど個性の強い国の集まりです。宗主国と植民地ではありませんからね。心配なのはBRICSのメンバーは多くが産油国なんです。日本は米国側に付いて対立すると石油が入ってこなくなります。今から考えておく必要がありますね。
【豆知識】
米国の会社内メールでよく使うで略語
LOL: Laugh at Loud (大笑いだね)
BFF: Best Friend Forever (ずっと友達でしょ)
IRL: In Real Life (実生活では)
YOLO: You Only Live Once (人生一度きり)
Tl;dr: Too long didn’t read (長すぎるから読んでない)
SUP: What’s Up (最近どう?)
AMA: Ask Me Anything (何でも聞いてよ)
JK: Just Kidding (ほんの冗談だよ)
Brb: Be right Back (直ぐに戻ります)
BFN: Bye for now (またね)
*写真はグワバの花でした。
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