米国発前川のニュースレター
いつも私のニュースレターを読んで頂き有難うございます。
3週間ぶりにお目にかかります。この3週間の間に米国の株価、為替、金利が大きく変動しました。今日は、その理由と今後の動向予想を中心にお伝えしたいと思います。
実家の裏山で山葡萄を見つけました。一時帰国中の日本は前半は残暑、後半は秋の陽気でした。日本の季節は2週間ごとに変わると言われますが、本当にそうなっていますね。
10月14日のニュースレターをお送りします。
【株式・為替市場の動き】
今日の株式市場は、またまたダウ工業株、S&P500, ナスダックとも上昇しています。
10月4日に発表された、強い米国雇用統計の結果、市場の見方が更にソフトランディングへと傾いており、株価上昇を支えています。また、CPI(消費者物価指数)、PCE(個人消費支出)、PPI (生産者物価指数)などの主要経済指標は大きなインフレ低下は見られないものの、大きな流れは緩やかなインフレ低下となっているため、堅調な雇用統計にもかかわらず、引き続きの利下げ期待で、株価上昇、ドル高、円安方向に進んでいます。
しかし、この流れは米国大統領選挙が影響していると考えられます。 以下で、詳しく見て行きたいと思います。
【不動産・住宅ローン金利動向】
米国不動産市場の物件価格の値上がりは落ち着き始めており、一年間の平均値上がり率は約3%とほぼインフレ率と変わらない上昇率となっています。
しかし、全米の主要都市を見てみると、ばらつきが大きく、下落している都市、値上がりしている都市が混在しています。
新築住宅の販売価格は前年比で4.6%下落し、前年比で価格下落はこれで7カ月連続となっています。期待するほどローン金利下落が下がっていないのがその理由うだと言う論調が多いのですが、私はやはり不景気が忍び寄っていることが大きな原因の一つだと考えています。地域別では北東部と西部の落ち込みが大きくなっています。ここカリフォルニアは米国人の人口流出が続いており、IT企業のレイオフ、自動車メーカーの不振など明らかに不景気になりつつあります。人口流出は住宅販売にも影響するでしょう。カリフォルニア、ニューヨーク、シカゴ地域からの人口流出の受け皿は、周辺の生活費が安い周辺地域、テキサス、フロリダなどの住宅供給が十分な州となっています。因みに、過去5年間に90,000人がカリフォルニアからテキサスに移住しています。アリゾナには64,700人、ネバダには54,100人となっています。シアトルやニューヨークにも人口が流出しています。堅調な雇用統計の結果を受けて、大きな利下げ期待が後退した為、米国債の利回りが上昇し、ローン金利が0.5%前後上昇。また円安も進みました。この金利の上昇は堅調な経済指標、底固い雇用データを市場が好感したことによるもので、大きな流れは変わらず、金利下落となります。
FRBのから出されている展望リポートによると、現在4.75%から5%の政策金利は今年中に4.4%、2025年には3.4%、2026年は2.9%と見込まれています。米10年国債の利回りと連動するローン金利はこの政策金利と同様に動きませんが、2年国債はほぼパラレルで動きます。また、大統領選挙後、新大統領はこれまで、就任後ほぼ間違いなく利下げを行います。これらのことも今後の金利下落の見通しを良くしてくれます。私が、今まで、ローン金利下落がほぼ間違いといい続けてきたのはこれら上記の様な理由からです。
【経済の動き】
9月末にはエコノミストはインフレ率が来年早期にFRBの目標に達する一方で失業率は若干の上昇と見ていました。私も同様に、失業率は上昇してきていると実感していました。 これはFRBの予想と同じでした。しかし、ふたを開けてみると雇用統計が異常に強く、経済指標も消費も堅調とのデータだ出てきました。 これは大きなサプライズでした。ただ、この統計を疑問視する声も多々あり、これまでも繰り返されたよう、数カ月後にデータを下方修正してきた経緯がある為、一概には信用できないと思います。その理由としては、以下の様なものがあります。
雇用統計から分かることは、異常な政府関連雇用の上昇、16歳から19歳のFull timeの雇用が231,000上昇、労働時間が減っていることなどが挙げられます。このデータから考えられることは、民主、共和両党の選挙協力の為の人材雇用です。私の所にも頻繁に電話やTEXTが入って来ます。寄付のお願いや、投票のお願いです。これらを担当している人達は、ボランティアもあるでしょうが、選挙期間のみの臨時雇用でしょう。また、民主党は経済が強く雇用も堅調であることを見せる為、意図的に政府雇用を増やし、データを良く見せている可能性が大いにあります。
米供給管理協会(ISM)発表の9月の製造業景況指数は下落しているのに、非製造業の需要が伸びています。雇用指数は低下し、雇用が抑制されているのですが???。 さらに、米新規失業保険申請件数は10月第一週の統計では1年ぶりに高水準となっています。製造業などでのレイオフがその主要因と説明されています。 具体的には、9月11日にボーイングが全世界の従業員の10%に相当する1万7,000人を削減すると発表、大手自動車会社のEV関連への投資縮小、EV各社の雇用削減、Biotech関連会社の倒産が過去10年で最大の水準となるなど、高金利、インフレによるコスト上昇で利益の確保が厳しい状況となっており、強い経済データと雇用統計は実態経済と乖離している様に思われます。
更に、ウォール街、商社も今後の石油消費減速を予想しており、OPECもここに来て減速予想を下方修正。石油消費減速=景気後退を意味しており、世界の金融市場で日本以外は、金利が下がる傾向を強めていると思います。ユーロ圏も利下げモードに入っており、労働市場の軟化、ドイツ経済の悪化、中国経済に依存していたEU諸国の景気も後退するでしょう。この状況が今後の金利下落予想を後押しをすると思います。
11月5日の選挙後或いは今月にも何かをキッカケとして、株価の急落が起こる可能性も考えられる状況だと思います。例えば、イスラエルがイランの核施設、石油関連施設への攻撃、中国経済の大失速などはあり得ます。
【今週の???な国際ニュース】
イスラエルのヒズボラへの攻撃が止まりません。司令官を殺し、メンバーをポケベル、トランシーバーに仕込んだ爆発物で攻撃しました。司令官は地下基地に居たという事なので、ヒズボラの幹部たちの居場所を的確につかんでいたとういう事です。まるでミッション・インポシブルを地で行く様な出来事です。これまで自重していたイランもさすがに、こらえきれずにイスラエルに弾道ミサイルを181発を撃ち込みました。イスラエルは正式に発表していませんが、自慢のアイアンドームが弾道ミサイルには有効ではなかったので、2つの空軍基地などにはかなりの被害が出た模様です。人的被害はほとんどないという事ですが、実際は如何か分かりません。イスラエルは、米国に急遽THAAD(ミサイル防空システム)を送ってもらえるよう依頼、バイデン大統領は承認しました。このことからも、イランのミサイル攻撃がかなりイスラエルにダメージを与えたことは確かなようです。こうなると、イスラエルは報復として、イランの核施設、油田を攻撃するのではないかと言われています。本来なら、この様な情報が出れば世界の原油価格はもっと高騰しても不思議ではないのですが、若干の上昇で落ち着いています。それは、先にも言いました様に、世界的な不景気で原油の需要が落ちているからです。しかし、もしイスラエルがイランの油田を攻撃すれば、原油価格はかなり上がるでしょう。(1バレル100ドル以上?) そうなれば、原油価格が低迷している現在、サウジアラビアを含めた産油国は大喜び、特にロシアを助けることになりますから、米国としてはイスラエルを止めるでしょう。しかし、イスラエルのネタニヤフ政権はバイデン大統領の支持には従いません。それだけではなく、イランが対抗措置として、ホルムズ海峡を封鎖したら、世界経済に大きな打撃を与えます。日本は中東からの原油の輸入が出来なくなり、それこそ、石油ショックどころではすみません。中東産油国も輸出が出来なくなるので、イランに自重を求めるでしょう。ですから、イランはホルムズ海峡の封鎖をしたら、中東での孤立を意味するので、海峡封鎖には踏み切らないでしょう。さらに、米国の2つの空母打撃軍が中東地区に展開しているので、米国が直接イランへの攻撃することも可能性であることがわかっています。その為、イランは米国との直接対決を避けるためにも、軽率な行動は起こさないでしょう。
米国はかなりの軍事費用を掛けてイスラエルの安全を守っているのです。また、相変わらずハリケーン被害にあった人たちは二の次で、ウクライナ支援に熱心です。それは良いのですが、米国は足元が崩れそうになっているにも関わらず、どうしてこのようなことをするのでしょう?
財政支出が増え続け、国債増発を続けていれば、債券市場が壊れてしまう可能性もあります。例えば、2022年春以降ニューヨーク市で受け入れた難民申請者は10万人、1日に価格費用は何と、980万ドル、約一日14億円、今後3年間で掛かる費用は概算で120億ドル=約1.7兆円掛かることになるそうです。ニューヨーク市だけで賄える金額ではないので、国に助けを求めます。国家財政がひっ迫しているにもかかわらず、不法移民に費やす費用がうなぎ上りとなているのです。カリフォルニア州でもこれまでに20兆円の費用が掛かっているとのこと。これだけ財政支出をするのですから、その金額はGDP増加となり、インフレを高進させます。
また、財政支出により、国の赤字が増え続けているのです。どうして国民生活への悪影響、インフレを高進させてしまい、治安の悪化を招く不法移民を止めないのか? 本当に????です。この問題が今年の大統領選挙の争点になっているのは当然のことで、誰が不法移民を無制限に受け入れたのか?
常識的な米国民は誰に投票するのがいいのかは、考えるまでもない選択でしょう。これらの移民政策を進めてきたのはバイデン、カマラハリス政権だったのですから。
【豆知識】
今月最も家賃が上昇した都市、下落した都市ランキング
家賃が上昇した都市 家賃が下落した都市
1.Washington, DC +12% Jacksonville, FL -11.3%
2.Virgina Beach, VA +11.3% Raleigh, NC -10.4%
3.Cleveland, OH +11.1% San Diego, CA -10.4%
4.Baltimore, ML +10.6% Austin, TX -9.9%
5.Chicago, IL +9.1% Tampa, FL -7.7%
6.Minneapolis, MN +8.3% San Francisco, CA -7.5%
7.Providence, RI +7.8% Pittsburgh, PA -5.8%
8.Cincinnati, OH +7.3% Phoenix, AZ -5.6%
9.Houston, TX +7.0% Nashville, TN -4.6%
10.Louisville, KY +6.4% Miami, FL -4.4%
【今日の住宅ローン金利】