米国発前川のニュースレター
いつも私のニュースレターを読んで頂き有難うございます。
2週間お休みしてましたニュースレター今週から配信再開させて頂きます。
日本はロスアンゼルスより暑くて街を歩くと汗ばむ陽気でした。
東京の街は相変わらず海外からの観光客で賑わっていました。
桜の花もきれいですが、5月はいろんな花が各地で咲き始める
とても華やかな季節ですね。用水路の脇に何気なく咲いている
あやめ?の写真を思わず撮ってしまいました。
5月28日のニュースレターお送りします。
【株式・為替市場の動き】
24日発表の耐久財受注が市場予想の0.8%減に反して、0.7%増となったことや、海上運賃の上昇、また、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁がCNBCのインタビューで「さらに多くの月にわたるインフレ鈍化を示す明るい指標」が必要だとの考えを示したうえで、利上げの可能性も排除しないなどと発言。
その為、インフレ圧力が未だに強く、FRBによる利下げが遠のいたと市場が受け取り、株価は大きく下落しています。
午前11時現在で、ダウ工業株は293.45ドルのマイナスで、38,776.14ドル、S&P500も8.84ドルのマイナスで5,295.88ドルとなっています。ナスダックはNVIDIAやAMDの上昇に助けられて76.42ドルプラスの16,997.61となっています。
ドル円はこの所の米10年国債と日本10年国債の利回りの差が縮小したのにも拘らず依然として円安が続いています。今日は157.17円と157円台にまた入って来ました。6月7日の雇用統計で失業率の上昇や雇用の弱さが確認されれば株高、多少の円高に振れてくると思われます。
【不動産・住宅ローン金利動向】
折角下がり始めた住宅ローン金利ですが、先に述べた耐久財受注やミネアポリス連銀の発言、海上運賃の上昇、原油価格の上昇などから市場ではインフレが低下せず、FRBの利下げが遠のいたとの観測から、米国10年国債の利回りも急上昇。今日は金利が若干上がっています。しかし、前回のニュースレターの金利表にある金利より若干下がっています。
次の雇用統計次第では大きく金利が下がる可能性もあります。期待しましょう。大きな波を見れば、今後金利は上昇し続けることは無いでしょう。
FRBは利下げは未だ実施していませんが、国債の購入を再開しましたので、米国10年債の利回り低下には良い効果をもたらすでしょう。
国債の利回り低下は長期金利の低下となり、ローン金利の低下に繋がります。しかし、なかなかローン金利が下がってこない為、住宅売り物件の在庫も思ったように増えず、おかげで住宅購入が出来る人が少なくなって、賃貸需要が高まっています。その為、家賃も全米平均で見ると若干上昇気味です。しかし、家賃が下がっている都市もあるのです。
住宅価格の上昇が昨年全米一だったのはサンディエゴでしたが、そのSan Diegoは今年に入って家賃は下がっています。
過去1年で家賃の下落が大きかった都市は以下となっています。
Seattle, WA - 7.3%
Austin, TX -6.6%
Nashville, TN -5.9%
Jacksonville, FL -5.6%
Miami, FL -5.0%
San Diego, CA -4.7%
Phoenix, AZ -4.6%
Charlotte, NC -4.5%
Tampa, FL -4.3%
Orlando, FL -3.2%
家賃の下落の理由はいくつかあるでしょう。例えば、治安の悪化などによる人口の流出、住宅価格、家賃の高騰による人口流出なども考えられますが、一番大きな理由としては、賃貸物件建設の増加による供給過多です。特にFlorida, Texasはコロナ時に多くの人が移住しました。急激な人口増加のため、アパートの建築が急増し供給過多に陥りました。現在は移住ブームが落ち着いたので、賃貸物件のオーナーはテナントを獲得するのに苦労している様です。また、FloridaやCaliforniaでは自然災害の増加から家の災害保険金額が上昇していますので賃貸物件運営コストが上昇しています。
一方、家賃が急上昇している都市もあります。
Minneapolis, MS +10.3%
Cincinnati, OH +9.9%
Chicago, IL +9.1%
New York, NY +8.9%
Washington, D.C. + 8.6%
Indianapolis, IN +8.0%
Virginia Beach, FL +7.7%
Houston, TX +6.7%
Boston, MA +5.7%
Detroit, MI +4.9%
現在建設中の賃貸用住宅件数が最も多い都市はダントツでPhoenix、AZ、次はDallas, TXとなっています。 Houston, TX、Huntsville, AL、Charlotte, NCと続きます。供給過剰になっている都市でも引き続き建築が続いています。という事はこれらの都市の家賃は引き続き弱含みと考えられます。
ただし、Austin, TXやHuntsville, ALはThe best place to live in USAに選ばれている都市なので、需要の強さも同時にあるのでしょう。
【経済の動き】
米国の経済指標の強さには驚かされます。本当でしょうか?
家計債務は2024年の第一四半期に対前期比で1,840億ドル増加して、17兆7,000億ドルとなり家計への圧力が高まって来ています。
2020年第一四半期からは25%近く増加し、クレジットカードの支払い遅延率が上昇し、利用者の6人に1人が信用枠の90%以上を利用しています。これ以上はもうクレジットカードが使えない状態の人が増えているという事です。消費の減退が進みそうです。米国社会では自動車なしに生きて行けませんが、そのローンの支払い延滞も増えています。
今月に入って、Kroger,Home Depot,Target, Dollar Treeなどの株価を見てみると面白いことが分かります。
Krogerはご存知スーパーマーケットの大手Ralphsなどの親会社です。株価は安定していますが、他の小売では株価下落しているのです。
生活必需品の食料品の売り上げはまだ下がっていませんが、他の小売りは下がって来ています。財布のひもが固くなってきているのが見て取れます。
また米国ISM製造業景気指数は4月の景況感指数が49.2に下落予想の50.3から下落しています。これも景気の先行きが怪しくなっていることの
証拠の1つでしょう。 先に言いました、船運賃の上昇はイスラエル・ハマス紛争でスエズ運河が使えないことからアフリカ周りでヨーロッパ航路は航海日数が余分に増えることになり、燃料費が余計にかかり、また、世界規模で船の数が足りなくなって、貨物スペースの取り合いになっているのが原因です。更に、コンテナススペースの確保が難しくなっており、物流に影響が出始めています。製品の注文から配達までの時間が掛かることから新学期、サンクスギビング、クリスマスなどのピークシーズンの為の前倒し需要が起こっているのが一つの原因で、さらに、中国製品への追加関税の発表で高い関税が適用される真野駆け込みに輸入による輸送量増加がもう一つの原因のようです。この船運賃上昇はインフレの要因の一つにります。アジアから米国西海岸への運賃は昨年12月と比べると約3倍に跳ね上がっています。これからさらに上昇すると予想されています。 OPEC+の減産も続きますから原油価格も当分大きく下がって来ることは無いと思われます。米国だけではなく、世界の景気もじわじわ後退しているのにウクライナ、イスラエルなどへの支援や大量な移民の流入などによる財政支出の増加が インフレを助長しています。いくらFRBが金融引き締めをしても簡単にインフレはコロナ前の状態にはもどりません。インフレなのに景気が後退すると言う最悪な状況(スタッグフレーション)に向かって行っているように思えます。未だに米国の経済界ではソフトランディング(景気後退しないでインフレ解消)と言っていますが。 もし、スタッグフレーションに陥ると、当然、株価は急落、家の価格、金利も下落となるでしょう。ウォーレン・バフェットが株を売って現金で資金保有を進めていることや、世界各国で金の需要が高まっていることなどは先を読んでのことなのでは?
【今週の???な国際ニュース】
イスラエルとエジプトの部隊が27日、パレスチナ自自区ガザとエジプトの境界にあるラファ検問所で衝突し、エジプトの兵士が1人死亡しました。
詳細は不明ですが、死亡したエジプト兵はイスラエルとパレスチナ人の銃撃戦に巻き込まれたようです。エジプトはパレスチナ人難民の受け入れを拒否していますが、イスラエルはパレスチナ人をガザ地区から追い出したいし、パレスチナ人はガザ地区には水も食料もなく、医療も受けられず出来ればエジプトに逃げたいと思っているでしょう。
ところで、報道では、ラファから逃げ出したパレスチナ人の人数が5月13日の30万人から5月14日には36万人、5月16日の50万人、5月21日には80万人へと増えてるのですが、何処に逃げたのかは書かれていません。エジプト国境は閉まっていて、エジプト政府も受け入れを拒否していますから80万人はガザ地区のラファ以外の街に逃げたのでしょうか?他の地区は瓦礫の山で住める場所を確保できません。エジプトがパレスチナ難民を受け入れないのにはお国の事情があります。詳しく述べませんが、ガザ市民200万人がエジプトに来てしまうとエジプトの政権が倒れてしまう危険性があるからです。しかし、ラファ地区には140万人が閉じ込められ、その内80万人が消えています。公には報道されていませんが、恐らくエジプトにコッソリと?逃げているのでしょう。 それなら、エジプトの兵士が死亡したという記事の意味が分かります。
【豆知識】
最近発表の2024年から2025年にかけてのBest Places to Live in USAは以下の都市となりました。
生活費、環境、文化施設、学校、天候などを総合的に考慮して選ばれています。
Naples, Florida
Boise, Idaho
Colorado Springs, Colorado
Greenville, South Carolina
Charlotte, North Carolina
Raleigh, North Carolina
Huntsville, Alabama
Virginia Beach, Virginia
Austin, Texas
Boulder, Colorado
【米国住宅ローン金利表】
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